第4話 いまさら設定解説
触手の妖怪を撃破し、拙者とリリカ殿は先へ進んだ。
途中、別れ道があったり、落とし穴があったり、ザコ妖怪が出てきたりもしたけれど、経験豊富なリリカ殿によってどうにか無事に攻略を続けられていた。
「みんなで妖怪を退治していたら、そのうち絶滅しないでござるか?」
「さあね。なんでも、ダンジョンに漂う瘴気がモンスターを生み出しとるんやと。他のダンジョンもそうらしいで」
瘴気で誕生するとは、やはり妖怪。
「あの町外れの神殿から、他のダンジョンに行けるでござるか?」
「無理やな。世界各地に現れた神殿は、それぞれ決まったダンジョンにしかワープできへんねん。15年前に当然ダンジョンが出現した、ってことになっとるけど、正確にはワープゾーンが現れた、が正解なんや」
「なるほど〜」
:いまさら?
:初心者かよ
:一般常識
:よくそれで魔法レベル999だね
うるさいな。
「そもそも、スキルって何なのでござるか?」
「スキルは、ダンジョンに入った人間に必ず備わる特殊能力のこと。使えるんは、ダンジョンの中だけ。いくら強いスキルを持ってようが、外だとただの人間やね」
「拙者はただの人間ではござらんよ。忍者でござる」
「はいはい」
「あ、あしらわれた……」
:にんじゃ?
:そういうキャラね
:あの舐めプは忍者ごっこか
:魔法使いに変えたら?
くぅ〜、好き勝手言われてる〜!!
本当に忍者なのに!!
「スキルっちゅーのはいろいろあんねん。例えば、私みたいに動物の力を宿したり、剣術が上手くなったり、物と物を融合させたり、逆に物を破壊したり、重力を操ったり、何かを探すのが得意だったり」
「ほえー」
「普通、みんなスキルはレベル1からはじまる。でも、例えば幼い頃からダンジョン外で剣術に慣れ親しんでいた人は、最初からレベル5だったりする。あとは、ダンジョンで経験を積めばレベルが上がるわけや」
「拙者、魔法の経験なんてないのにレベル999でござるが?」
「うーん、ほんまに不思議やねー。そもそも、魔法スキルって基本的にどれかの属性のみ使えたりするもんやのに、サユキは全部の魔法が使えるもんね。……そりゃ、稀に複数のスキルを持っとる人もおるけどさ、サユキは異常や」
褒められているのだろうけど、あまり嬉しくない。
だって、拙者は忍者だから。
魔法なんて興味ない。
とまあ、そんなこんなで地下3階。
ネバネバスライムをファイアーボールで蒸発させたところで、
「あれあれえ? 可愛い子ちゃん2人はっけーん!!」
「有名配信者のリリカじゃねえ?」
筋肉質な男性2名が後ろから声をかけてきた。
他のダンジョン配信者……じゃない。ドローンがない。
同じ体型でも、方や金髪で、方や色黒だ。
「こんにちはでござる。拙者、猿飛サユキでござる」
「ござるぅ? 面白い子じゃ〜ん。何歳?」
「13歳でござる」
「え」
男たちが顔を合わせて話し出す。
なんだろう。
:逃げよ
:相手にしちゃだめ
:ナンパじゃん
:無視だ無視
「いいじゃんいいじゃ〜ん、俺らと遊ぼうぜ」
「13歳と遊べるなんてラッキー」
リリカ殿が拙者の手を握った。
「リリカ殿?」
「行くで。無視無視」
「なんででござるか?」
「たまに湧くんや、あぁいうの」
あぁいうのとは?
まったく、忍術学園の外は不思議なことでいっぱいだ。
「黙って行かせるわけねえだろ!! やれ相棒!!」
「おう!! 緊縛スキル発動!!」
色黒が、どこからか縄を取り出し、リリカ殿に向けて投げた。
縄はうねうねと触手のように動き、なんとリリカ殿を縛り上げてしまった。
「うわっ」
「リリカ殿!?」
:まずい
:リリカちゃん!!
:誰か通報しろ
:逃げて!!
「へっへっへ、ここで楽しまなきゃ嘘だぜ。そこのチビもすぐに縛りあげて遊んでやるよ」
「サユキ、あんただけでも逃げえや!! 私なら大丈夫やから!!」
逃げる? 恩人のリリカ殿を置いて逃げるわけがない。
だって拙者は、誇り高き忍だから!!
「リリカ殿、安心するでござる。拙者がどうにかするでござるよ」
「え、あ、そっか、サユキは最強の魔法使いなんやった」
「魔法なんぞ使わんでござる。人間との戦いは慣れているでござるからな!!」
キリッと、男たちを睨む。
「か弱き乙女を狙うとは、何という悪行!! もはや妖怪と同等でござる」
「はあ? なに言っちゃってんの?」
懐からクナイを取り出す。
「猿飛サユキ、いまこそ、忍術の本当の力を見せてやるでござる!!」
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※あとがき
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