第18話 楽しい日々!!

 デスパペットとの激闘を終えて、拙者たちはククリの攻略を再開した。


 2階は、複数枚の扉の中から正解を見つける作業が続く。

 されど、こはる殿の天使スキルは迷いや選択、悩みを正しき方向へ導くことができるのだ。

 つまり、ククリのような『迷わせる』ダンジョンとは相性がいい。


 実際、こはる殿のおかげで連続して正解の扉を開けて、先へ進めている。


「順調でござるな!!」


「んなことよりサユキ、凄いことになっとるで」


「凄いこと?」


「現在視聴者数30万人。登録者も40万人突破したわ」


「なんと!!」


「凶悪モンスターを倒したのがデカかったようやな」


 拙者もコメントを確認してみる。

 おぉ、確かに盛り上がっている。


 魔法スキルレベル999なら、魔法耐性を持つ凶悪モンスターすら圧倒できる。


 みんなそれに驚いているみたいだ。


「ふふふ、拙者、いま大人気でござる」


「よかったですね、サユキさん」


「よーし、この調子でガンガン攻略するでござるよ!!」


 ククリは10階層まであるが、リリカ殿がBランクのため4階までしか上がれない。


 拙者たちはサクサク攻略を進め、4階のボスであるオークを眠らせ、なんだかよくわからないレアな剣を手に入れた。


「炎属性の剣や。ダンジョン内でしか具現化せえへん」


「ふーん、いらないでござるな」


「じゃあ捨ててええんちゃう?」


 てなわけで捨てた。拙者は必要なものしか持たないので。



:おいおい


:まあ、サユキにはいらないか……。


:今日はここまで?


:こはるちゃん、真剣にお付き合いしよ



「ほな、帰ろか。1階の出入り口までワープできるアイテムあるから。こはるちゃんも、ええ?」


「はい!!」


 配信を終了させ、ククリから出る。

 ワープのための神殿をあとにして、拙者たちは非日常から日常へ戻ってきた。


 高いビルの数々、目にも留まらぬ車の往来、忙しない人々。


「リリカさん、サユキさん、今日はありがとうございました。とても楽しかったですっ」


「それはよかったでござる。また一緒にダンジョンに行こうでござるよ」


「はい!!」


「毎朝のランニングも、忘れちゃダメでござるよ」


「はやく一人前の忍者になりたいです!!」


 最後にペコリと頭を下げて、こはる殿が去っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 拙者たちも帰る。リリカ殿と手を繋いで、ゆっくり歩いていく。


「なんとか3体目の凶悪モンスターを倒せてよかったでござる」


「最後、かっこええ格闘術もキメれたしなあ」


「かっこよかったでござるか?」


「かっこよかったで」


「もー!! じゃああのとき言ってくれたらよかったのに!! 拙者、スルーされてしょんぼりしてたでござるよ」


「だって、なんか恥ずいやん」


 恥ずい?

 恥ずかしいということ?

 いったいなにが恥ずかしいというのか。


「はは〜ん。みんなが見てるから、ちょっとイジワルしたんでござるね」


「ちゃうって」


「リリカ殿、案外照れ屋でござる」


「だからちゃうって」


 ふふふ、とかいってリリカ殿、耳が赤い。

 意外とわかりやすいタイプだ。


「拙者、今日は充実したダンジョン攻略ができた気がするでござるよ」


「そうなん? 忍術でバズらんかったけど」


「拙者のスキルとこはる殿のスキル、それにリリカ殿の知識が合わさって、まるで本当にチームみたいでござった」


「……」


「拙者、山ではずっと独りでござったから、こうやって仲間と任務をこなすの、楽しいでござる」


「ふふ、ならよかったわ。また3人でダンジョン行こな」


「はいでござる!! リリカ殿、拙者を拾ってくれて、本当にありがとうでござる」


「もうええよそれは。私も、サユキに会ってから楽しいし」


 リリカ殿がニコリと笑った。

 夕日に照らされた、綺麗な笑顔。


 なんだか無性にソワソワして、拙者はもっとリリカ殿に密着して歩いた。

 ほんのり香る、リリカ殿の匂い。

 拙者の好きな匂い。


「望み通り忍が増えたら、どうするん? 配信続けるん?」


「うーん、おそらく。でも、目標がないと楽しくないでござるよね」


「せやなー。もし私がサユキなら……ダンジョンの謎を解き明かすかな」


「謎?」


「気になるやん。なんでダンジョンが現れたのか、誰が作ったのか。サユキぐらい強かったら、いろいろ調べてわかりそうやん?」


「確かに」


 言われてみれば、気になる。

 ダンジョンが出現して、いつの間にかアトラクションみたいな場所になって。

 いったいダンジョンとは何なのか、調べてみるのも楽しいかもしれない。


「ふふふ、じゃあしばらくは、リリカ殿やこはる殿とダンジョンに行く理由があるでござるね」


「嬉しそうやん。でもまずは」


「はい!! 残り4体の凶悪モンスターも、絶対に倒してみせるでござる!!」


 それから家に帰って、リリカ殿と晩ごはんを食べた。

 今日はリリカ殿と一緒に寝たかったので、ベッドに潜り込んだら、優しく抱きしめてくれた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき


そろそろ、真面目な話をチラホラやってもいいですかね?

基本はギャグですけど。


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