第17話 魔法が効かないのなら!!

 魔法が一切効かないモンスター、デスパペット。

 念力のような力で攻撃してくるため、離れていても油断ならない。


 しかし、拙者はもう気づいてしまった。こやつの攻略法。

 魔法がダメなら……忍術だ!!


「よーし、ワクワクしてきたでござるーっ!! 見よ、これが我がーー」


「ま、待ってくださいサユキさん」


 こはる殿に止められた。


「なんでござるかこはる殿」


「私の天使スキルが告げています。忍術は、やめたほうがいいです」


「なんででござるか?」


「相手のレベルは160ですよね? サユキさんの忍術では、たぶん、その……」


「なっ!? 勝てないと申すか!!」


「えーっと……」


 そんなわけない。

 拙者の忍術に不可能はない!!


「サユキ、こはるちゃんの言う通りや。やめといたほうがええ」


「リリカ殿まで。拙者のムキムキの術ならあんなやつ!!」


「ほなやってみ」


「うおおおおおお!!!!」


 体の内側から、チャクラをみなぎらせる。

 気が高まる……溢れるっ!!


「忍法・筋肉ムキムキの術!!」


 拙者のパワーッ!! が上昇した。


「ワンパンで終わらせてやるでござる!!」


 ゴン、と思いっきり殴りつける。

 殴りつけたけど……。


「うぅ、手が痛い……」


 まるで巨岩を殴ったかのようにビクともせず、ただ拙者の拳を痛めただけだった。

 こ、これがレベル160の耐久力。


 あ、デスパペットが拙者と顔を合わせた。


「ぬわっ!!」


 念力によって吹き飛ばされる。

 ぐえ、壁に激突しちゃったでござる。

 日頃から鍛えてなければ即死だった……。



:言わんこっちゃない


:侮るなって


:舐めプすな


:素直に逃げよう



「うぐぐ……」


「大丈夫ですか? サユキさん」


「平気でござる。しかし、どうすればやつを倒せるのか……」


「ひとつだけ、方法があります」


「?」


「魔法です」


「はい?」


 だって、デスパペットには魔法は効かないはず。

 拙者お得意の最強攻撃魔法、全方位ホーリースパークですら通用しなかったのに。


 まさか催眠魔法? 眠らせるとか?

 でも、魔法に耐性があるなら、それも無意味のはず。


 拙者が頭を悩ませていると、リリカ殿がハッと目を見開いた。


「そういうことか!!」


「どういうことでござるか?」


「サユキ、魔法や、魔法を使うんや」


「だから魔法は……」


「デスパペットにやない。サユキ自身にや」


「……あっ!!」


「気づいたみたいやな」


 魔法にはいくつかの種類がある。

 攻撃系、状態異常系、召喚系。

 そして、強化系。


「拙者自身を魔法で強化しまくって、物理攻撃でござるな!!」


 こはる殿が頷いた。

 なるほど、原理としてはムキムキの術と同じ。

 ただレベル999の魔法による強化なら、ムキムキの術以上に強くなれるはず。


「さっそくやるでござる!! えーっと、ハイパーハイテンション!!」


 魔法の名前を唱えた途端、拙者の全身にブワッとパワーが溢れた。

 ムキムキの術よりも遥かにヤバいパワーッッ!! のみなぎり。

 まるで拙者の肉体が大きくなったかのように、元気と力で満ちている。


 いまなら……素手で星も破壊できる気がする!!


「よーし、行けサユキ!!」


「がってん承知!!」


 と言いつつ、このまま『魔法』だけの手柄にはしない。

 強くなった手段は魔法でもいいが、トドメを刺すのはやはり忍術。

 というか、体術!!


「行くでござる」


 まずは一発、デスパペットを殴る。


「さ」


 後ろに回り込み、


「る」


 身を屈めて思いっきり蹴り上げる。


「と」


 さらに拙者もジャンプして、蹴り上げられたデスパペットより高く昇る。

 そこで思いっきりカカト落とし!!


「び」


 空中から地面に叩きつける。

 最後に、倒れているデスパペットの腹に、膝から落下してトドメの一撃を食らわせた。


「サユキ連弾!!」


 地面がめり込むほどの強力な一発!!

 デスパペットはピクピクと痙攣し、やがて、力尽きた。


 拙者の大勝利である!!


「やるやんサユキ!!」


「すごいです!!」


 ふっふっふ。

 はっはっは。


「ハーッハッハ!! みたか、拙者のにんーー」


「さすがサユキの魔法はチートやね」


「……」



:弱点ないのかよ魔法スキルw


:なんでもありやんけ!!


:物理でも最強でした


:単独で3回目の凶悪モンスター倒したの初じゃない?


:魔法(物理)レベル999


:もはや敵なしで草



 あ、誰も触れてない。

 拙者の忍体術……。


「サユキさん」


「こはる殿」


「かっこよかったですっ!! 猿飛サユキ連弾!!」


「う、うぅ〜。こはる殿しか勝たんでござるよ〜!!」


 そんなこんなで、拙者たちのダンジョン攻略は再開された。

 あの色黒とマッシュは……放っておけばいいか。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき

このままだとリリサユではなくサユこはになってしまいかねない!!


お、お、応援よろしくお願いします……。

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