第30話 リリカちゃんの……彼氏!? 

「リリカ殿、今日もダンジョンに行くでござる!!」


「ええけど、知り合いも一緒やけどいい?」


「知り合い??」


「あと、諸事情で配信もせえへんけど」


 まあ、ダンジョンを攻略するだけでも修行になるか……。


 てなわけで、拙者とリリカ殿はこはる殿と合流し、城型ダンジョン『ツクヨミ』へ向かった。

 受け付けのプレハブ小屋で時間を潰していると、


「よっ、リリカ」


 爽やかなイケメンが、やってきた。

 リリカ殿の顔が明るくなる。


「マーやん、遅いでー、もー」


「ははは、ごめんごめん」


「この子らが前に話したサユキとこはるちゃんや」


「どうも、今日はよろしく。僕のことはマーくんとかマーさんとでも呼んでください」


 こはる殿がペコリとお辞儀する。

 しかし拙者はピクリとも動けなかった。


 な、なんだ……こいつは……。

 何者なのだ。


「ほな行こか」


 リリカ殿とマーやん殿が、並んで先頭を歩きだした。


「サユキさん、私たちも行きましょう」


「……」


「サユキさん?」


「……れでござるか」


「?」


「誰でござるかあいつはーーっ!!」


 リリカ殿とどういう関係なのか。

 ま、まさか、ままま、まさか、彼氏!?


 急いで神殿に入り、ダンジョンへワープする。

 スタート地点は、城の一階ロビーであった。


 城型ダンジョン『ツクヨミ』は、常に暗く、窓の外は夜である。

 ちなみに、外には出れないらしい。


「こはる殿、スキルを使うでござる」


「はい?」


「天使スキルでやつの正体を暴くでござる!!」


「ご、ごめんなさい、天使スキルはそこまで万能じゃありません」


「意味不明な能力のくせに!!」


 リリカ殿がこちらへ向けて手を振る。


「急ごうやー。各階で謎解きして、アイテムを入手しないと上に行けへんでー」


「は、はいでござる」


 リリカ殿がマーやん殿と楽しく会話をはじめる。

 マーやん殿、おそらく20歳前後の男性。

 どこでリリカ殿と知り合ったのだろうか。


 待てよ、マーやん殿の顔、どこかで見たことがある。


 スマホで『マーやん』と検索してみる。


「なぬっ!? ヤツも配信者でござったか!?」


「結構人気みたいですねえ」


「イケメンダンジョン配信者として、女性から絶大な支持を得ているらしいでござる」


「リリカさんもファンなのでしょうか?」


「まさか!! まさかまさか!! 拙者、聞いたことがあるでござる。配信者同士が裏で繋がって、イチャイチャする事件が多発していると!!」


「事件ですか? それ」


 もしやリリカ殿はマーやん殿にメロメロで、マーやん殿もリリカ殿にメロメロなんじゃ……。

 もしやもしや、今回配信をしないのは、こっそりイチャイチャしたいからなんじゃ!?


「そんなの嫌でござる!!」


「リ、リリカさんがそれで幸せなら良いと思いますが」


「リリカ殿は拙者のリリカ殿でござる!! こんなの解釈違いでござるよ!!」


「わ〜」


 こうなったら、マーやんの嫌なところを見つけ出して、リリカ殿を幻滅させてやる。

 くくく、拙者はダークヒーロー。

 今日の拙者は、悪いでござるよ。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき


リリカ殿……嘘でござるよね??

次回、真相が明らかに。


乞うご期待ッッ!!

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