第27話 忍者vs異世界の騎士

※前回までのあらすじ


レベル320の凶悪モンスターを瞬殺した謎の少女ピユシラが、拙者たちの前に現れた!!


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「ピユシラ……どの……?」


 騎士を名乗る少女が、剣を鞘に収めた。

 あの金色の髪、リリカ殿のように染めているものではない。

 それに鎧まで着込んで……異国の者だろうか。



:だれ?


:かわいい


:イケメン女子


:新しい女



 こはる殿がリリカ殿の後ろに隠れる。

 そのリリカ殿も、顔をしかめていた。


「なにもんや、320レベのモンスターを瞬殺するなんて」


「あの程度の練習用モンスター、私の敵ではない」


「練習用モンスター?」


 ギロリと、ピユシラ殿が拙者を睨んだ。


「お前か、あいつの邪魔する宿敵とは」


「あいつ?」


 いったい、誰のことーー。


「おーっほっほ!! わたくしですわーっ!!」


「この声は!!」


 拙者のライバル、魔女のキューリット殿が現れた。


「なぜお主が!!」


「わたくしがピユシラを拾って、家で面倒を見ているのですわ。そして教え込んだのです。私の邪魔をするあなたを倒せって」


「いい加減逆恨みはやめるでござる」



:またお前か


:かわいい子しかいねえなあ


:この空間良い匂いしそう


:誰と真剣にお付き合いしようかなあ〜♡



 ピユシラ殿が拙者に剣先を向けた。


「私はキューリットに恩を返す必要がある。故に、お前を潰す。安心しろ、殺しはいない。ただ負かすだけだ。視聴者とやらの前でな」


「何者かわからぬが、売られた喧嘩は買うのが忍でござる」


「見せてやる。王宮騎士団副隊長の力、剣術スキルレベル800を!!」


「拙者は魔法スキルレベル999でござる!! くらえ、ホーリースパーク威力弱め!!」


「なっ!?」


 魔法陣から発射されたビームが、ピユシラ殿を飲み込んだ。

 威力を抑えたから、死ぬことはないはずだ。


 ビームが止む。


「ピユシラ殿がいない!?」


「甘い」


 背後から殺気がした。

 慌てて前方へと逃げる。


 振り返れば、やはりピユシラ殿は拙者の後ろに回り込んでいた。


「あの威力のホーリースパークを放てるとは、レベル999というのは嘘ではなかったようだな」


 再度、ピユシラ殿が剣を構える。


「お前ほどのレベルの持ち主、初めてだ。相手にとって不足なし」


「こ、来いでござる」


 ピユシラ殿が剣を振る。

 だが遠い。空振りだ。

 違う、何か飛んでくる。


 斬撃派だ!!


「くっ」


 間一髪回避する。

 遠距離技まで使えるとは、恐れいった。


「一気に終わらせるでござる!!」


「私が終わらせるのだ!!」


 ピユシラ殿が猛スピードで距離を詰めてくる。


「忍法・煙幕の術」


 煙玉で拙者の姿を消す。


「こざかしい!!」


 ピユシラ殿が剣を振るうと、その衝撃で煙が晴れた。

 けれど問題ない。一瞬、ほんの一瞬隙が生まれた。


 拙者はいま、天井に張り付いてピユシラ殿に狙いを定めている。


「催眠魔法、ヒプノシス!!」


「しまっーー」


 動きが止まった。

 意識を奪ったのだ。


「今度こそ当てるでござる。ホーリースパーク、威力弱め!!」


 目も眩むほどの光線が、ピユシラ殿に直撃した。


 キューリット殿が叫ぶ。


「ピユシラ!!」


 地に伏したピユシラが、顔を上げた。


「な……バカな……」


「ピユシラ、大丈夫ですの!?」


 キューリット殿が駆けつける。


「バカな……こ、この私が……」


「気が済んだら帰るでござる」


「くっ……」


 キューリット殿の肩を借りて、ピユシラ殿が立ち上がる。

 覚えてらっしゃーい、というキューリット殿の捨て台詞と共に、ピユシラ殿が去っていく。


 その途中、こはる殿とピユシラ殿が顔を合わせた。


「お前は……」


「……」


「なぜ、そんなもったいないことをしている」


「……」


 こはる殿が目を伏せた。


「よく女神様が許したな。お前ほどーー」


「言わないでください」


「お前ほどの強力なモンスターが、か弱い人間になることを」





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※あとがき


なーんかシリアスになる予感。

基本ギャグで進めたいので、暗くなりすぎないように頑張りましゅ。


応援よろしくお願いしましゅ。

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