第14話 視聴者どもめ……。

※前回までのあらすじ!!


謎の少女白雲こはる殿のおかげで悪魔スキルを退けた拙者。

このまま2人で迷宮ダンジョンを進むことに……。


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 こはる殿と迷宮ダンジョンを進む。

 迷宮、といっても拙者の魔法なら周囲の地図が表示されるし、


「……こっちです」


 こはる殿がテキパキと拙者を導いてくれている。

 人を導く天使スキルとやらの力なのだろうか。



:こはるちゃんすごい


:天使スキルなんてはじめて聞いた


:こはるちゃんマジ天使


:かわいい


:すき


:真剣にお付き合いしたい



 うぅ、コメント欄の者共め、すっかりこはる殿にメロメロだ。

 そりゃあ、こはる殿は可愛いけれど。


「サユキさん、これまでどんな忍者的な活動をしてきたんですか?」


「ふふふ、知りたいでござるか〜?」


「知りたいでござるです!!」



:かわいい


:ござるです!!


:かわいい


:真剣にお付き合いしたい


:かわいい



「主に政治家からの仕事が多いでござるな。悪い政治家の賄賂の証拠を集めたり、そやつにとって都合の悪い資料を、処分される前に盗んだり」


「おぉ!! すごいです!!」


 あのときばかりは拙者、本物の影のヒーローだったなあ。

 ちなみに同じことをリリカ殿に話したら、「犯罪やないの?」と言い放たれてしまった。

 仮に犯罪でも、拙者はダークヒーローだから許されるのだ!! 許されたい!!


「あとはまあ、要人の猫を探したり、浮気調査でござるかなあ」


「素敵です!!」



:暴露していいのかよ


:割とガチじゃん


:こはるちゃんかわいいね


:真剣にお付き合いしたい



「やっぱりサユキさんかっこいいです。憧れます」


「ふっふっふ、なりたいでござるか? 忍者」


「なってみたいですぅ」


 や、やったああああ!!

 先生に報告しないと!!



:やめとけ


:やめとけ


:やめたほうがいい


:やめとけ


:真剣にお付き合いしたい



「なんででござるか!!」


 そんなこんなで迷宮の奥まで進む。

 広いフロアにいるボスを倒せば、2階に上がれる仕組みだ。


「で、こいつがボス妖怪でござるか」


 現れたのは首が3つもある巨大な妖犬、ケロベロス。

 サーチの魔法によると、犬のレベルは10程度。

 ザコである。


「ふん、この程度、さっさと倒して次に進むでござる」


「がんばってください!!」


「よーし、ファイナルフレイム・オーバーレイ!!」


 最強の火属性魔法らしい。

 どんな威力なのか、確かめてみる。



:なにその魔法


:ドキドキ


:名前からしてヤバそう


:オーバーフレイムの進化系か!?



「いくでござるよ〜!!」


「待ってください!!」


 こはる殿が腕を掴んできた。


「な、なんでござるか?」


「まさか倒すって……命を奪うんですか?」


「そりゃあ」


「そんなの……かわいそうです……」


 こはる殿の目が潤み始めた。

 泣きかけている!?


 いやいや、相手は生き物ではなく妖怪。

 瘴気によって生まれる怪物。

 そんなに気にしなくても……。


「ケロベロスさんだって、がんばって生きているのに……」


「で、でも……」


「なんとか、手加減してあげられないでしょうか。少し眠らせるとか」


「そんな地味な倒し方じゃ、視聴者は喜ばないでござるよ」



:喜ぶぞ


:手加減してやれ


:血も涙もないのか


:舐めプしろ


:舐めプせえよ


:鬼かてめえ!!


:こはるちゃんを泣かせるな


:ケロベロスがかわいそうだよ!!



「ええええええええええ!?!?!?!!!???!?!?」


 いつも「舐めプすな」とか言ってくるくせにぃ!?

 こ、こやつら、こはる殿に気に入られたいからって手のひらを返しやがって……。


「サユキさん……どうか……」


「わ、わかったでござるよ。スリーブ」


 ケロベロスがスヤスヤと眠ってしまう。

 こ、これでも一応、倒した扱いなのだろうか。


「ありがとうございます、サユキさん」


「じゃあ、2階へ上るでござるか」


「あ、私は冒険者ランクがCなので、ここまでしか進めないんです」


「そんな制度があったんでござるか? うーん、じゃあ、拙者は先に行くので」


「はい、また会いましょう!! とっても楽しかったです!!」



:は?


:おい


:お前ひとりになってどうすんねん


:ずっとこの階にいろ


:こはるちゃん……いなくならないで……


:ドローンをこはるちゃんに渡せ


:こちとら真剣にお付き合いしたいんだよ!!



「ぐ、ぐぬぬ……」


 こやつら、こはる殿に惚れすぎでござるよーーっ!!


 なんだか、ドッと疲れてしまった。

 結局、こはる殿と連絡先を交換して、家に帰ることにした。


 はぁ、いつになったら忍術でバズれるのやら……。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき

冒険者ランクは攻略の功績によって上昇します。

ランクによって進める範囲が決まっていて、それを破ったら治安部隊に警告・強制退場されます。

受け付けで発信機を渡されて、居場所は常に把握されています。


ちなみにサユキもCなんですよね。



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