第12話 新キャラ登場!! どころの騒ぎではない!!

 それはある日の朝食でのこと。


「リリカ殿、今日から新しいダンジョンに行くでござる!!」


「あー、すまんけど、今週はテスト勉強したいから一緒には行けへん」


「え。じゃあ今日もダンジョンは休みでござるか……」


「ドローンの扱い方や配信の始め方はもう覚えたやろ? ひとりでも行けるはずや」


「で、でも、ちゃんとできるかどうか……」


「忍者なんやから、ビビってどうすんねん」


「そ、そうでござるな」


 てなわけで、拙者、ひとりでダンジョン攻略をすることになった。


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 訪れたのは二駅離れた町にある神殿。

 そこから『ククリ』なるダンジョンへワープできる。


 さっそく受付を済ませて、ワープ。

 おぉ、ククリはサルタと違って、迷宮のようなダンジョンのようだ。


 両側に高い石壁が立ち、くねくねと道が曲がっている。


 天井もかなり高い。

 では、配信をはじめよう。と思った矢先、


「きゃーー!!」


 女性の叫び声が聞こえてきた。

 これは、リリカ殿と出会った時と同じパターン。

 急いで声がした方へ……って迷宮だからどう進めばいいのかわからない!!


「待てよ、そうだ。サーチ魔法!!」


 バーチャルディスプレイに、半径100メートルまでの迷宮の地図が表示された。

 うーん、やっぱり便利すぎる。拙者の魔法スキル。

 地図には人や、モンスター、アイテムの位置まで表示されていた。


 そこに人が集まっている箇所がある。声の方向的に、ここに違いない。


「いま行くでござるーっ!!」


 颯爽と駆けつけてみれば、拙者より小柄な長い白髪の女の子が、男性に襲われていた。


「大丈夫でござるか!?」


「あ、はい。あなたは……」


「猿飛サユキ、忍者でござる。いま助けるでござるよ」


「忍者さん……」


 丸くて大きな瞳、白い肌、ふりふりな服。

 まるで妖精さんのように可愛い女の子だ。


 一方で、


「ぬ、お主は」


「お前は!!」


 少女を襲っていたのは、かつて拙者とリリカ殿をナンパした筋肉質チャラ男の、色黒の方であった。

 たしか緊縛スキルなる能力を所持していたはず。


「懲りないやつでござる。またナンパでござるか」


「赤ちゃんゴリラの亡霊!!」


「違うでござる!! 金髪の方はどうしたでござるか?」


「お前の花粉爆弾で、いまだに苦しんでいるんだよ!!」


「まだ治らないのでござるか? 花粉症」


「あいつは症状重めなんだ!!」


 かわいそうに。


「なんにせよ、お主では拙者に勝てぬ!! おとなしく家に帰るでござるな」


「ぬぬぬ〜、今日こそは可愛い女の子と遊びたかったのによ〜。こうなったら……おいお前ら!! ちょっと待ってろ!!」


 色黒がおもむろにスマホを取り出し、誰かに電話をかけはじめた。

 数十秒くらい話して、再度こちらを見やる。


「くっくっく、あと30分もすれば俺の先輩が来てくれる。お前も終わりだ!!」


「ずいぶんな自信でござるな。受けて立つ!!」


 少女が拙者の腕を引っ張ってきた。


「え、待つんですか?」


「忍者である以上、戦いから退くことは許されぬので」


「あ、なるほどぉ〜」


 むむ? 心なしか少女の目が輝いているような?


「お主、名は?」


白雲しらくもこはるです」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 それから30分のときが経ち。


「待たせたな」


 拙者たちの前に、筋肉質なサングラスの男がやってきた。

 確かに、色黒の先輩というだけあって、ほうれい線が目立っている。

 色黒がクククと喉を鳴らした。


「覚悟しろよ忍者!! この人は俺たちチャラ男界の大先輩。かつて絶滅の危機に瀕していたチャラ男界を救った、今年45歳になる愉快田ゆかいだハシロウさんだ!!」


「こ、今年45歳になる愉快田ゆかいだハシロウ!?」


 な、なんだか強そうだ。

 ハシロウがサングラスを取り、拙者を睨んだ。


「お前が噂の忍者娘13歳かい」


「そうでござる」


「俺はちびっ子に性的興奮しないタイプだが、後輩のためにも人肌脱ぐぜ」


「やれるもんならやってみるでござる。拙者には最強の魔法スキルがあるでござる!!」


「けっ、なら行くぜ!! スキル発動!!」


「ぬぬ!?」


 ハシロウが手をかざす。

 しかし、なにも起きない。


 失敗した? わけではないはず。

 それとも、すでに何かが……。


 その瞬間、


『忍者なんていまどき古いでござるでしょ』


 頭の中に、誰かの声が響いた。


『普通に遊ぼうよ、いい年の女の子でござるんだからさ』


「う、うぅ、だ、誰でござるかこの声は」


『てかチートな魔法でチヤホヤされて、金も恋愛も大勝利の方が人生楽しくないでござるかあ?』


「や、やめるでござるうううう!!」


 なんだこの声は。

 さっきからグチグチと、拙者が嫌がることを……。


「はは、かかったようだな。これが俺の自慢のスキル。『悪魔スキル』だ!! お前の心の中に潜む悪魔の声を大きくして、闇堕ちさせるのだ!!」


「や、闇堕ち!?」


 つまり頭の中の声は、拙者自身の声。

 拙者の内側から出てきた、言葉!?


 み、認めなくない。認めなくない!!


『本当はリリカ殿みたいに髪を染めてみたいと思っているくせにでござる』


「そ、そんなこと……」


『忍者、やめちゃおうでござる。せっかく可愛い顔しているのだから、遊びまくっちゃおうでござる。あそこのお兄さんたちとワイワイござればいいじゃんでござる』


「や、やめ……」


『いまどき、忍者は、古いでござるよ』


「うわああああ!!!!」


 た、助けてリリカ殿。

 このままでは拙者、闇堕ちしてしまうッッ!!






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※あとがき

こういうバカスキルとの戦い、定期的にやりたいなあ。

いいでしょ? いいよね?

やったーっ!!


お、応援よろしくお願いします。

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