第三章 夢の絆
現れたアスラ―
「おい、こら。ゴミめ。うぬは性懲りもなくまだ俺様に逆らい続けているな。20年経ってもまだ分からんか?参らぬか。お前のようなゴミが粋がっていったい何をしようと云うのだ?ああ?」
「くそう…ア、アスラ―め…」
「そうだ。俺様だ。感心に俺様の名をよく覚えていたな。ふふふ。いいか?俺様の宝物A子に手を出すな。かかわるな。お前ごときゴミが連れ添えるような存在ではないのだ。 穢らわしいこと限りがない。余り分からぬから先程うぬを叩いてやった。こうしてな…」
ついで悪魔が私の顔面を殴り出した。何回も何回も執拗に。私は堪らずに…
「や、やめろ。やめてくれーっ!」と悲鳴を上げる。それに応じたか悪魔が手を止めた。
「わかったか?!この世迷い者め。身の程を知れ!今迄はチンピラどもをうぬにひっ付けて、うぬを眠らせず、うぬの生活を邪魔して来ただけだったが、改めぬなら…今度は、殺すぞ!こうしてな」と云って片手で私の首を絞めつける。万力のような力だ。チアノーゼを呈しながら『A子、B子もこうやって…』と思いを致した途端誰かが私の手を握った。「小父さん、私たちはいつも一緒よ。いつも一緒。B子も一緒。そのことを忘れないで。忘れないで!」と呼び掛けてくれる。そしてその身から光を放った。悪魔の手が緩み、遠のいて行った…。
「田中さん、田中さん…」肩を揺すり呼びかける看護婦の声で目を覚ました。未だ悪夢の余韻が残っていて些かうつけ状態だったが何とか昨日来の経緯に思いを致す。
「ああ、どうも…」
いま居る所は昨夜救急車で運び込まれた荒川区西尾にある佐藤病院という3階建てのホスピタルだった。都電荒川線の宮の前駅に近いところである。
「目が覚めましたか?どうですか?身体の具合いは。痛みますか?」
「ええ、まあ…」
返事しながらも私は痛み云々よりも何よりもまず尿意をもよおす。
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