中原美佐緒「河は呼んでいる」

山倉も顔に笑顔を戻して「ああ、それじゃ。とにかくさ、頑張ってよ。近い内にまた会おう」と言い残して窓を閉め2人連れを追うように信号に向かって走って行った。その親子連れ(?)は信号を直進し山倉は右折して行った。女の子が後ろを振り向いて私を見たような気がする。はたして信号の先は隅田川の土手堤だ。まさか…と危惧しながら、その女の子を気づかうように、またあとを追うように、しかし結局のところ私は同方向なる家路へと着いたのだった。


(※ここで、第一章の終わりで、この小説を書くきっかけとなった音楽、中原美佐緒嬢の「河は呼んでいる」をご披露しておきましょう。その歌詞♬〜デュランス河の 流れのように 小鹿のような その足で 駈けろよ 駈けろ かわいいオルタンスよ 小鳥のように いつも自由に〜♬を聞きながら天啓のように小説の構想が浮かんで来たのです。何だってえ?この可愛いオルタンスを河の底に沈めるだってえ?…沸々とした怒りの情とともに、この格差世と、それゆえの利・善・美指向に至った人間たちを糾弾してやろうと思い立ったのです。もちろん小説の指針はそれのみではありませんが、次ページの第二章「デュランス河の畔で」以降は、オルタンスに見立てた幼女を巡ってのサスペンスタッチとなってまいります。ではどうぞお楽しみください)


中原美佐緒「河は呼んでいる」↓ URLをユーチューブにコピペしてお聞きください。

https://youtu.be/QkDtPIlRYcA?si=kAXJZWWM0Qgczxp7

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