ビアクが証拠を示す
「どうしました?」警察ライトで個々の人物を照らしながら警察が聞くのに山倉が答える。
「はい、通報したのは私です。あの、この2人の挙動が怪しかったので私たちが問い詰めたのですが、いきなり打ちかかって来たのです。どうもこの女の子を川に沈めようとした節がある」
「えーっ?女の子を川に…?」
「な、何を云いやがる…あ、いや、何を云っているっ?!お巡りさん、怪しからんのはこいつらの方だ。いきなり暴力をふるって私の子を奪い取ろうとしたのです。こいつらを幼児誘拐で逮捕してくれ。おお、痛(い)てえ…」と主犯格の、最初に私を殴った男が左肘あたりをさすりながら嘯き相棒の男にも目配せをしたようだ。
「まったくひどいですよ、お巡りさん。あっちの、あの女に散々蹴飛ばされて…うう痛(い)てえ…」とこちらはその相棒が云う。
しかし「何云ってる!ちょっとお巡りさん、こっち来てよ。こっちに証拠、あるからさ」とビアクなる女性が私を介抱するようにしながら警官を呼んだ。警官の1人がこちらを照らしこちらへと降りて来た。「あんたらは?…おお、だいぶ殴られてるな」私を照らしながらそう云うのに「そうだよ。あいつらがいっぱい、いっぱい殴ったんだ。可哀想に…おじさん、だいじょうぶ?」と気遣う。「ああ、だ、だいじょうぶだ(本当はだいじょうぶじゃなかったが…)」と強がる私に「おじさん、ちょっと待っててね」と云い残したあとビアクは警官をダンベルが置いてある所へと連れて行った。
「これ、見てよ。これ、女の子の足に付けて、川に入れよとしてたよ。ひどいよ、あいつら。悪魔だ」
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