茂平、零落の経緯

前記した如く、ある特別な事情と云うか、災難(典型的な人災)をその当時から私は被っていて、それゆえに文字通り“失われた20年〟をあのあと過ごすしかなかったのだ。何せ〝住居〟でつくづく苦労をするように私は運命付けられているらしく、当時住んでいた川崎市内のアパートが粗暴な土方の寮然としたものだったので私は横浜市鶴見区のアパートへと転居した。つまらないことだが私の鼾がうるさいとかで(大量の喫煙の為に口腔内が荒れ、確かに凄まじい鼾を私はかくのだった)彼ら土方に睨まれ、なお且つプライバシーに関することでも因縁を付けられて、彼らによって睡眠妨害を受けるに至ったからである。眠れなければ働けないから転居は必然だった。ところが、である。その転居先のアパートが又もや土方の寮然とした所で、それプラスこちらはやくざのチンピラどもがそこをシマ化して住んでいる始末。引っ越し当初から女をめぐって互いのドアを蹴飛ばし合うような前住居をも上回る、実に常識を逸した光景が展開されていたのだった。そしてそこでも真下の部屋の土方の夫婦者に(私の部屋は2F角部屋だった)前とまったく同じ理由で因縁を付けられ、睡眠妨害を受けるに至る。最早転居出来ないので家主に処置を依頼したがこれが「自分たちで(店子同士で)話を付けろ」の一点張り。あちらは土方の仲間同士の多勢、こちらは一人きり。致し方なくアパートに住まいながらも車上暮らしをするような不安定な生活を続けた挙句、それも続かなくなって、その後本当の車上生活者へと落ちぶれてしまった。

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