中秋の名月
「待て!云うことを聞かないのなら任意同行から逮捕に切り替えるぞ!」
「な、何を~?!」
この時サイレンを鳴らして別のパトカーが到着した。待ち受けていた警官から素早い指令を受けてバタンバタンとドアを鳴らしその警官とともに3名が堤を駆け上がって来る。「ちっ」と舌打ちして口を噤んだだけである。さてもこれからどうなることやら、満身創痍ながら私も警察署(たぶん荒川警察署)に同行せねばならないだろう。山倉には悪いことをしてしまった。ここに来て霧が薄らいで来たようで夜空を見上げれば満月が垣間見えた。そう云えば今は中秋の名月の候だった。
渋谷少女A続編・山倉タクシー 多谷昇太 @miyabotaru77
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