犯人たちの最後の抵抗

「おいおいおい、署まで来いとは、そりゃいったいなんだ?!ええ?俺はただ娘を取り戻して家に帰りたいだけだ。逮捕するならこいつら、誘拐未遂の連中を逮捕してくれ。同行など…俺は行かないぞ!」

「いや、それはダメだ。暴行致傷、挙動不審の嫌疑でどうしても署まで来てもらわねばならない」

「それはないだろう?!娘を奪われそうになって、それを防ぐために抵抗するのは当たり前じゃないか!ものの道理が分かっているのか?おまえ。ああ?」とこちらは従犯格の男だ。それへビアクが口をはさむ。

「ばかやろう。誰が誘拐か。なんであたしたち誘拐するか。おまえ、デタラメ云うな!」

「まあまあ、あなた…ビ、ビアクさん…」彼女の剣幕に押されながら私が云い、連れの女性も抱いていた幼女を下におろしてから抑えに入ろうとしたが、しかしそれを見た主犯格の男が幼女を奪うために近寄って来た。

「ダメ!この子に手を触れちゃダメよ!あなたには渡せないわ」

女性が幼女の前に立って男の接近を防ぎ山倉も間に入って男を押しやる。

「貴様ら…(警官に)おい、これを放置しておくのか?!娘を取り戻そうとする親を邪魔するこいつらを…ええ?…制止しないのか?!」

「そうだ!職務怠慢だ!ものの是非を弁えない、お、お前を訴えるぞ!」と男ら2人が怒号する。

「いや、だから待て。そういうことを取り調べるために署まで行こうと云っているんだ」

「ばかやろう!誘拐犯に娘を囲われたままで、お、俺が我慢できると思うのか?!俺は断固実行するぞ…いいな」そう云い放ってから主犯格が幼女に向かうのを警官が手を掛けて制止する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る