32.黒の少年と白の母の関係性萌えを語る

どこにでも雪は降る

九JACK様作(X:@9JACKworld)

https://ncode.syosetu.com/n6656in/

fromカヤナ to赤ん坊を抱えていた女性

サイズの合わなくなったベビーリングのネックレス

※アクセサリー写真は近況ノートから

https://kakuyomu.jp/users/yamachi_s/news/16818093082190970862



 差別が当たり前の世界、それが間違っているということを教えてくれる人が誰もいない世界、自分が差別されていることに疑問を持つこともない世界…これは白人至上主義の地に生まれた黒人カヤナ=ベルの物語。

 カヤナが生まれ落ちた瞬間から、肌が黒いというだけで忌まれ嫌われ蔑まれる運命にありました。彼は生かされているだけマシと言いますが、端からその境遇を見ていると正直なところ…いえ、言及はやめておきましょう。

 カヤナが生かされたのは、長子としてこれから生まれてくる弟妹の面倒を見させるためでした。彼はその役目に誇りを持っていたし、愛を持って接していました。けれど、弟妹が手のかからない年齢になった瞬間にお払い箱。あまつさえ、愛していた弟妹たちからも侮蔑の瞳を向けられます。

 この悲惨な関係性が現実世界にもありうるものであるというのが正直キツいところ。いい意味でも悪い意味でも自分の身に覚えがある人にはぐさりと来るのではないでしょうか。

 しかし、幸運だったのはカヤナが家族を追われ外の世界に触れたことで、差別が当たり前でないと知ったことでしょう。真逆の例えになりますが、なんだか世界一幸せな国と名高かったブータンの幸福度急落の現象に少し似てますね。こちらについては通信機器と情報伝達やSNSの発達で、自身の生活が世界では当たり前でないと気づいてしまったことに起因するそうです。この例はちょっと極端ですが、基本的に自身の知見を広げることは良いことだとやまちは思っております。

 孤独であった彼が、人の温かさをしれたことは大きかったに違いないかと。それがその後の出会いにも繋がったんじゃないかなと思います。


 さて、アクセサリーのお話を。

 今回は結構特殊なプレゼントだと勝手に思っています。

 旅をするカヤナが雪のちらつく寒い夜に少しの時間だけ邂逅した女性へ贈るアクセサリー…彼女とは初対面であり、当然ながら恋人でも友人でもない、下手したら知り合いにすらなりえない関係です。

 そんな二人を繋ぐのは、女性が抱いていた赤ん坊です。そして、女性の最後の願いが海を見る事であったので、その要素をミックスしてみました。

 

 当時のカヤナに豪華なベビーリングを送る余裕はなかったと推測されるので、デザインは極力シンプルに。

 中央にアクセントとして花とパールのパーツを据えました。パールはカヤナと女性が出会った雪の夜と女性が最期に見たいと言った海をイメージして。

 赤ん坊の成長報告を兼ねて、ネックレスにしたベビーリングを墓前に供えたらいいなあと思った次第です。


 短編ながら色々考えさせられ、余韻で想像させる素敵なお話でした。


 それでは解散っ!!

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