聖女になんてなりたくなかったのに

『聖女』が教会の権威として称えられていたのも、今は昔の話。血統によって継承される神聖な魔術は、依頼料ばかりに取り憑かれたエヴァイン家の方針によって、いつのまにか奴隷のメンテナンスばかりに使われるようになっていた。
───こんなやり方、正しくない！
とある奴隷少女ソリアとの出会いをきっかけに、次期聖女リアンシェーヌは貴族社会の悪と戦う道に進むことを決意する。これは一人の少女が、たくさんの挫折と出会いによって成長する物語。

【一章あらすじ】
『あなたがなりなさい。私を越えて、誰よりも正しく、誰からも認められる存在に』
思い出すのは母の遺言。傷心のリアンシェーヌは、使命感に襲われながらも部屋に引き篭もる日々を送っていた。
「開けてください。お願いです」
ある夜、リアンシェーヌの下に何処か影のある…続きを読む