おまけ(紹介SS)

これは当時Twitter上で公開された発売カウントダウンのSSです。


1.物語紹介


「『藤元杏はご機嫌ななめ』を紹介していく第一回目!」

「なんで吹き抜けに僕達はいるんだろう?」

「いいから、まずはストーリー、ポチ、ざっくりお願い!」

「わかった。そうだな。妻殺しの濡れ衣を着せられ逮捕された外科医藤元杏は、護送中の事故に乗じて逃亡する。彼女は犯人と思しき『片腕が義手の男』を捕まえ冤罪を証明するため逃亡生活に……」

「はいストーップ!! いきなり全然違うの出てきた!」

「名作『逃亡者』より冒頭」

「案の定関係なかった!」

「関係ないといえば関係ない。いや、関係あるといえば、一見無関係なように思われる二つの現象にも必ず共通点は見つけ出せるという法則が……」

「ちょっとちゃんとやりなさいよ」

「嫌だよ。やる気はない。はい、バトンタッチ」

「仕方ないわね。えーっと、この物語は北海道の地方都市である室蘭市を舞台に普通の高校生たちによって繰り広げられる甘キュンミステリよ!」

「これがミステリ?」

「そう、ミステリ。不満?」

「定義によるね」

「これがミステリと定義しなさい」

「一般に公正妥当と認められる可能性が少ない」

「まあいいじゃない。言ったもの勝ちよ」

「ああ、そう。それに甘キュン?」

「そう、甘キュン。不満なの?」

「どっちかというと『鬱ドン』では?」

「うるさいわね」

「うるさい? デシベル的な意味? 音量的には僕より杏さんの方がずいぶん……」

「だまれだまれ」

「……」

「何か言いなさいよ」

「……」

「言いなさい」

「黙れと言われたので」

「相変わらずの屁理屈お化けね、いいわよ好きに喋って」

「僕はドラマ版より映画版の逃亡者が好きだ」

「やっぱり言わなくてよし! 次は真面目にやること!」




2.人物紹介(with 桂花)


「『藤元杏はご機嫌ななめ』を紹介していく第二回目! メインキャラクター紹介! 今日は教室からお届け!」

「なんてことだ……。大変なことに気が付いた」

「ど、どうしたの? 天を仰いで」

「自然数全体の集合よりも実数全体の集合の方が無限に大きい」

「……。え、えーっと、そこで唸っているのが『ポチ』」

「僕には『城山口優斗<シロヤマグチユウト>』という名前がある。少なくともポチではない。犬でもない」

「みんなは『シロ』って呼んでるけど、私だけは『ポチ』。しろにゃまぐち? しろやまぐちって言いにくいから」

「そしてそこの傍若無人が『藤元杏<フジモトアンズ>』さんだ」

「はい、そんなわけで、自己紹介。私は杏、中学までは東京にいたの。好きなものは甘いものと、ポップな音楽かな。最近はQQLっていうアーティストがお気に入り」

「『お兄ちゃん』は?」

「それはもう好きを通り越しているから!」

「あ、そう。そうだ、最近インターネットで杏さんに適切な言葉を見つけたよ」

「なに? なになに? 褒め言葉でしょうね」

「スイーツ(笑)」

「なにそれ」

「知らぬが仏という言葉がある」

「口は災いのもと、って言葉もあるわよ」

「杏さんにしてはまともな切り返しだ」

「馬鹿にされている、ってことはわかった。後で覚悟しておいて」

「さて、次は僕かな、僕は城山口優斗。好きなものといわれても」

「屁理屈お化け。映画オタク。本の虫。唐変木。甘納豆入り赤飯を食べる変人」

「前半については甘んじて受けてもいいけど、最後のだけは道産子を敵に回す発言だ」

「ところでお赤飯って小豆のゆで汁で赤くしているんだけど」

「よく知っているね」

「うん、私、お父さんと二人暮らしだから、あと猫もいるけど、だいたい料理できるし。これでも結構上手いのよ。それで、甘納豆でどうやって赤くするの?」

「そりゃもちろん、食紅を入れるんだよ」

「うへー、変」

「なんだその顔は。まあいいや、えーっとなになに、その他、魅力的な登場人物が盛りだくさん?」

「魅力的、ね」

「あくが強い、肯定表現だ。それよりも僕はこの自然数の……」

桂「それはカントールの対角線論法で証明できるっしょ~」

ポ「あ、月村さん」

桂「こんにちは~桂花だよ~」

杏「えーと、私とポチのクラスメイト、月村桂花さん。ゆるふわ系美少女で、トップクラスの数学の実力の持ち主」

桂「そんなことないっしょ~。あとあと、弓道部だよ~。みんな弓道部入ってね~」

ポ「和むね、誰かと違って」

杏「誰と違って?」

ポ「えーと、次回は……」

杏「こっちを見なさい」

ポ「僕達の住む街、室蘭の紹介みたいだ」

杏「見なさい」

桂「したっけね~」




3.室蘭紹介その1(with 一ノ瀬)


杏「『藤元杏はご機嫌ななめ』を紹介していく第四回目! 私達の住む北海道室蘭市を紹介! さあポチ!」

ポ「高度な文明によって平和と繁栄がもたらされている未来都市、しかしそのシステムは見せかけで摩天楼に住む知識階級を地下で働く労働者階級が支えており……」

杏「はいはーい、そのネタはもうやりましたー」

ポ「フリッツ・ラングの伝説的名作『メトロポリス』より」

杏「わかったから、ちゃんと紹介してよ」

ポ「(ポチポチ)北海道南西部に位置する市、人口は約九万人、主要産業はその地形を活かした港湾、及び隣接の鉄鋼業」

杏「なんで棒読みなの?」

ポ「wikipedia情報」

杏「しっかりして地元民」

ポ「そうは言ってもなあ……。それにしてもここ、埃っぽいね。どこだろう」

杏「そうね、日の光も入らないから薄暗いし」

一ノ瀬「ここに俺らを押し込めたのは当時の執行部のはずだが」

杏「先輩!?」

一「俺は新聞局副局長の一ノ瀬だ。ようこそ新聞局へ、杏ちゃんと『正義の味方』。招いてはいないが好きにしてくれ」

ポ「それはどうも、『詐欺師』」

一「言ってくれるね」

杏「二人とも今日はケンカしない! せっかく紹介する良い機会なのに」

ポ「わかったよ。まずはここに東京にいたころの杏さんによるうろ覚え北海道地図がある」

杏「えっ、えっ、いつの間に!?」

ポ「それではごらんいただこう」(図1)

一「ああ」

ポ「おわかりいただいたであろうか」

杏「ごめん……」

ポ「この北海道地図には室蘭がありません」

一「なんで奥尻島をそんなにアピールしているんだ?」

ポ「正しくはこう。そして室蘭はここ」(図2)

一「だからなんでお前も奥尻島をアピールしているんだ?」

杏「もうわかってるよ」

ポ「まずはこの現実をどうにかしなければいけない。我々は立ち上がらなければならない。我々は戦わずして、滅びはしない。我々は勝利し、生存し続ける。今日こそが、我々人類の、独立記念日なのだ!」

一「キャラクター間違っているぞ」

ポ「『インディペンデンスデイ』の大統領の演説」

杏「はあ、いいからもうそれ。それで、何があるの?」

ポ「特にないよ」

一「特にないな」

杏「あるでしょ! こう、見所、とか?」

ポ「そんなこと言われても、札幌的都会感も、富良野的大自然感も、函館的観光地感もない。人口は右肩下がり」

一「工業都市だからな」

杏「観光的な! ね!」

ポ「あることはあるけど、ホエールウォッチングとか?」

杏「そうそう、そういうの!」

ポ「そもそも観光スポットというのは、旅行先にあるから良いのでは?」

一「そうだな、住んでいると案外行かないぞ」

コンコン

一「なんだ、今立て込んでるんだが……。お前か」

杏「ほらほら、もっと、アピールして」

ポ「でもなあ」

一「届け物だ。俺は用事があるから帰る」

ポ「何ですかいきなり。それにこのメモ。……え?」

杏「どれどれ見せて」

ポ「はいパス。じゃあ僕も帰ろうかな」

杏「どうしたの二人して。なになに、『ここは、観光課が見ている』 え? じ、次回はもっとちゃんとします!」




4.室蘭紹介その2(with リンゴさん)


杏「『藤元杏はご機嫌ななめ』を紹介していく第四回目!」

ポ「静かに、杏さん」

杏「どうしたの?」

ポ「なるほど、システムが掴めてきた」

杏「だからなに?」

ポ「どうやら僕たちは毎回学校のどこかに召喚されるらしい。そしてここは図書室だ」

杏「図書室……。わかったわ、逃げよう」

ポ「そうしよう」

リンゴ「待つにゃあ」

杏「うわっ! 出た!」

リ「人をお化けみたいに言わないでよう」

ポ「まったく杏さんは酷いな」

リ「青年も杏ちゃんに同意したから同罪にゃあ」

杏「スリスリするの、止めてもらえませんか?」

リ「杏ちゃんは良い匂いがするにゃあ」

杏「やばい、今本気でキモいと思っちゃった」

ポ「感情は正直だからね」

リ「うう、酷いにゃあ。私の紹介もしてにゃあ」

杏「ええー。これは図書局員の佐々木凛子先輩、(自称)文学少女、(自称)夢見る乙女、(公認)ぼっち、(通称)リンゴさん」

ポ「喋るタイプのコミュ障」

リ「うっうっあんまりだあ」

杏「(面倒臭い)ほらほら、本題に入るわよ。何か考えてきた?」

ポ「やっぱりこれといってない」

リ「ないにゃあ」

杏「名物の食べ物とかは?」

ポ「まあ、名物というと、やっぱりアレかな」

リ「あ、アレねー」

杏「なに?」

ポ「今ですリンゴさん、杏さんの敬意を得るために買い出しを」

リ「あいあいさー!」

-20分経過-

杏「暇。ポチ、何か芸でもして。好きでしょそういうの」

ポ「勝手なキャラクターづけをしないでくれ」

リ「ただいまにゃー」

杏「おかえりなさい」

リ「ところで買っているときに思ったんにゃけど」

ポ「なんです?」

リ「私、先輩じゃない? これ、パシリってやつじゃない?」

ポ「何言っているんですか。率先して行動する先輩こそ後輩に好かれるんですよ」

リ「そうかー」

杏(不憫ね)

ポ「それでどうでした?」

リ「買ってきたにゃあ。焼き鳥にゃあ」

ポ「ありがとうございます」

杏「焼き鳥? 焼き鳥が有名なの?」

ポ「うん。さあ食べよう」

杏「ん、焼き鳥? これが焼き鳥?」(図3)

ポ「そうだよ」

杏「どうみても豚肉じゃない。リンゴさん、お肉の区別もつかないの?」

リ「それがここの『焼き鳥』なんだにゃあ」

杏「ええー、『焼き鳥』の『お肉』が『豚肉』??」

リ「そうだにゃあ」

ポ「理由は諸説あるうえに長くなら省略」

杏「それに、お肉の間に挟んであるの、長ネギじゃなくて玉ネギじゃない?」

ポ「そうだよ」

杏「薬味がからし!?」

ポ「むしろそれが普通だとずっと思っていたくらいだ」

杏「不思議な食べ物ね……」

ポ「美味しいことは美味しい」

リ「美味しいにゃあ」

杏「……うん、美味しい」

ポ「僕としては、図書室で焼き鳥を食べている、という状況に疑問を持つけど……」

杏「まあいいじゃない、お茶入れてくる」

ポ「いいね」

杏「今日はここまで、次回は学校を紹介するわよ」

リ「もぐもぐ(お金まだもらってないにゃあ)」




5.学校紹介(with 芹菜)


杏「『藤元杏はご機嫌ななめ』を紹介していく第五回目! 今回はいよいよ私達の通っている高校!」

ポ「教室に戻ってきた」

芹菜「ユウト、何しているの?」

ポ「あ、芹菜」

杏「えっと」

ポ「作品紹介をしているんだよ」

芹「ふうん」

杏「彼女はクラス委員の紫桐芹菜さん」

ポ「で、僕の幼馴染み」

芹「そう、腐れ縁の、ね」

杏「……。さあポチ、学校の紹介をしてちょうだい」

ポ「急かさないでよ。えーと、突如現れた高見沢みちるという少女が生徒会長になり、支配されていく学園。彼女は不思議な力を使い、また風紀を取り締まるためにパトロール委員を構成し、意にそぐわない生徒を……」

杏「また無駄な嘘を……」

芹「それは『ねらわれた学園』、ね」

ポ「さすが芹菜」

芹「ユウトにあれだけ映画見せられたらそうなるでしょ」

杏(むー)

ポ「どうしたの?」

杏「なんでもない。今度それ貸して」

ポ「いいけど、僕が持っているのは古いやつだし」

杏「いいから」

ポ「わかったよ」

杏「それで、紹介」

ポ「今日はまた一段と不機嫌だなあ。40人一クラスの一学年七クラス、五クラスが普通科で、二クラスが理数科、合計生徒数は約840人。ちなみに僕達は理数科。校舎は四階建て。一階がエントランスその他特殊な教室、二階が一年生、三階が二年生、四階が三年生。校舎としては、中央に吹き抜けがあるのが特徴的、かな。田舎にしてはそこそこ進学校、だと思う。あとは共学」

杏「私は小中、女子校だったから」

ポ「あ、そうなの? 知らなかった」

杏「うん」

ポ「一気に喋っちゃうと他に言うことなくなるなあ。芹菜大人しいね」

芹「言うことないもの」

ポ「そうだけど。杏さんは?」

杏「うーん、教室の窓から海が見える。結構良い眺め」

ポ「そうだね、他には?」

杏「制服がダサい。ジャージがダサい。上履きがダサい」

ポ「そういう美的感覚は僕にはないけど、芹菜はどう思う?」

芹「別に」

杏「だって、制服は飾るバリエーションないし、ジャージは真っ青だし、靴もなんか変だし、全然おしゃれじゃない」

芹「そう? 思わないけど」

杏「普通はそう思う!」

ポ「ま、まあそこは主観的要素の違い、ということで、どうか矛を収めていただきたく」

杏「ポチはどう思うの?」

芹「ユウトは?」

ポ「……ノーコメント」

杏「むー」

ポ「……次回は僕と杏さんが所属する生徒会執行部」




6.生徒会執行部(with くるみ and 御堂)


杏「『藤元杏はご機嫌ななめ』を紹介していく第六回目! そして最終回!」

ポ「ついに執行部まで来た」

くるみ「お二人とも、どうされました?」

杏「あ、こけ……柏木さん」

く「? どうしました?」

杏「ううん、なんでもない」

ポ(今『こけし』って言おうとした)

く「?」

ポ「えーっと、作品紹介をしているんだよ。それで、今回は生徒会執行部についてなんだ」

く「執行部の紹介、ですか。でしたら」

御堂「満を持して私の出番というわけだな」

杏「御堂先輩もいらしてたんですね」

御「ここは私の住処だからな」

杏(リンゴさんと同タイプ)

ポ「執行部の紹介ですが」

御「ふむ」

く「それでは私が。私達の生徒会執行部は、端的に言って、校内の運営を行う部活動の一つです。本校の生徒活動はおおむね以下の四つに分かれています。各クラスより選出をされる『委員会』、部員五名以上と顧問で構成される『部』、五名未満の『同好会』、人数下限のない『局』。この中で、執行部はその名の通り『部』に該当します。執行部員はそれぞれをまとめるために、部長、副部長の他、統括として五名が割り当てられます」

ポ「五名?」

く「ええ、『部』は体育会と文化会にそれぞれ分かれているので担当は二名ですね」

杏「御堂先輩と柏木さんの担当は?」

く「それは本編で」

ポ「他に何か特徴的なことといえば?」

く「他校の事情を良く知らないので比較は難しいのですが、そうですね、前述のように執行部は『部』なので、部員数が五名を下回ると強制的に『同好会』に格下げされます。過去にはそういった事例も見受けられます。今のところその心配はしなくても良さそうですが」

杏「うん」

く「あと、あとですね、誤解をされないようにお伝えしておきますが、これが一番大切なことなのですが、生徒会執行部は『日常の謎』や『学内組織との対立』や『能力バトル』などは取り扱っておりません」

ポ「ああ、そうなの?」

杏「何か残念」

く「それについては、私もいささか同意です」

ポ「ん、待てよ。でも僕と杏さんは執行部に依頼されて『幽霊事件』、僕は事件とは呼びたくないんだけど、それを調査しているんだけど、それはさっきのところで言う『日常の謎』とかに該当するんじゃないの?」

く「ええ、それには事情がありまして」

杏「どんな?」

御「部室前の箱を見ただろう?」

ポ「ああ、黒い箱ですね」

御「目安箱だ」

ポ「徳川吉宗?」

御「そうだ」

く「一応、執行部代々からの伝統として意見箱というか、生徒からの投書を受け付ける箱があるのです。とはいえ、こちらはほとんど活動をしていないはずだったのですが、何故かこのような投書がありまして」

御「投書がある以上、どのような形であれ調査はしなければいけない」

く「そういうわけなのです。ですから、私達も幽霊事件などというものが実際に存在しているとはあまり信じているわけではないのですが、形式上調査をして報告書を作らなければいけないのです。そこで、新しく来たお二人に白羽の矢が立ったというわけです」

ポ「なるほど、形式上、ね」

杏「何言っているのポチ! 全力で行くわよ!」

ポ「興味が湧かないなあ」

く「どうぞよろしくお願いいたします」

ポ「柏木さんがそう言うなら」

く「あ、あ、ありがとう、ございます」

杏「なんで柏木さんならいいのよ!」

ポ「日頃の行い?」

杏「最悪!」

ポ「そんなこんなで、幽霊事件を調査することになった僕達だったけど、事態は思わぬ方に進んで……。で、今回が最後でいいんだよね?」

杏「知らない! でも手にとってね!」




7.物語紹介 七回目?


ポ「あれ、前回で終わりのはずでは……?」

杏「うん、そのはずだけど」

ポ「それにここはどこ? 学校じゃないみたいだ。霧がすごくて杏さん以外見えない」

杏「私、ここ知ってる」

ポ「どういうこと?」

杏「ここは、私の、夢の中」

ポ「夢の中?」

杏「そう、だと思う」

ポ「どうして夢の中なんかに僕達が?」

杏「わかんない、けど、私、昔からこういう夢を見ることが多かったから、何となくわかる」

ポ「ずいぶん寒々とした場所だ。ここが杏さんの場所なんだね」

杏「うん」

ポ「悪くはない。悪くはないってことは、とても良いってことだ」

杏「ポチ、あのね、あのね、私、本当は……」

ポ「杏さん、それは言わなくていい」

杏「でも、でも」

ポ「いつになく弱気だね」

杏「なによ……」

ポ「弱気な杏さんも悪くないよ」

杏「とても良いってこと?」

ポ「そうだね、そう言い換えても良い」

杏「ありがと」

ポ「感謝されるようなことはしていない」

杏「でも、あの日、ポチは私を助けてくれたでしょ」

ポ「杏さんがそう思うなら」

杏「これからも?」

ポ「杏さんが望むなら」

杏「いつまで?」

ポ「もちろん、この物語が続く限り」

杏「続くといい、ね」

ポ「そうだね、だから、今日はもうお休み」

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