二月「チョコレートは裏切らない」⑧
それから私たちは二人ごとのチームになってボウリングを二ゲームした。
ここでも一ノ瀬先輩やシロならともかく、絹木先輩の異様な運動能力が発揮されていた。割合普通に投げている他の二人に比べ、圧倒的に遅いゆるゆるした速度であるにも関わらず、的確にトップのピンから少しだけ右にずれたストライクを取りやすい位置を当て、のろのろと周りのピンを倒していく。爽快さはまったくなく、投げた本人も特に関心もなさげで、倒れきるまでぼうっと眺めて、それから無言で戻ってきた。ストライクを取っても、特に一ノ瀬先輩とハイタッチをするでもない。一方の私とシロのコンビといえば、可もなく不可もなく、何かもう、普通、としか表現できないほどの出来で、点差は広がっていくばかりだった。どうもテンションが上がらない。名目はダブルデートということになるのかもしれないけれど、連携もしているようでもなく、互いに会話をするでもなく、これは何なのだろう。いや、ダブルデートでないとすれば、ツインデートになるのか。
何だ、ツインデートって。
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