第33話 決着、そして……

 対戦が終わり、彼女との音声チャットが再接続される。 


 …………。


 声が出ない。が、何とかして無理矢理声を出す。

「わ、私の負……」


 みや「イトウさん、強いねー!危ない所だったよ」

 彼女の言葉に遮られる。

 今迄に聞いた事のない高揚感のある声だ。

 息もかなり上がってる。

 声が心なしかとても色っぽくも聞こえる。


 みや「スッゴイ楽しかったぁー……」

 恍惚としている。


「完全に私の負けだ。全く歯が立たなかった。約束通り何でも言う事を聞く。私を好きにしていいわ」


 みや「すっかり忘れてた。さっきのは何の話?私が不良と喧嘩した話?」


「そう、その話。貴方にお金を奪われたと聞いたわ」

 みや「そんな事はしてないよ。あの時……」


 みやさんは語る。


 私の持つ情報も合わせると真相はこうだ。


 当日、不良(恐らく山田)に絡まれ取っ組み合いの喧嘩になる。

 そこを佐藤が仲裁したが、収拾がつかなく事が大きくなった為場所を変える。

 しかし、佐藤は別の用事があった為席を外す。

 そこで山田は何を思ったか、みやさんとの対決を選ぶ。みやさん指定の対決方法は勿論さっき対戦したFPSのゲームだ。

 漫画喫茶で対決しボロ負けした山田は、いたたまれなくなり、漫画喫茶から出てすぐに佐藤を探しに行く。

 そこに入れ違いで佐藤がみやさんの前に戻って来る。

 山田との対決の話を聞き、山田のした事のお詫びとしてみやさんの欲しいゲームと本を買ってあげる。

 その時に山田と合流。

 そこで山田は佐藤がお金を払わされてると思ったのだろう。

 そして、佐藤はさらにお詫びとしてみやさんを家まで車で送り届けた。


 山田自身がお金を取られたわけではなく、佐藤のお詫びを「佐藤がお金を払わされた」=「お金を取られた」と変化した様だ。

 確かに佐藤からはお金を取られたとも聞いていない。


 佐藤のフォローは完璧だった。

 みやさんの話だと隊がどうのとかの話も何も聞いて無いらしい。

 元凶は山田だった。皆を巻き込み迷惑な話だ。

 取り敢えず後で殴り飛ばしておこう。

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