第31話 探り合い

 しっかり狙いをつけ冷静に何発かを連続で撃つ。微妙に位置をずらしながら避けづらく連射。


「勝った!」


 そう思った矢先、緊急回避で彼女は避ける。


「!!」


 即座に反撃してくるが、こちらも回避に回り何とか避ける。


「あの距離で避けられる……?そんなの見た事ないよ!」

 同時に反撃までしてきている。

 冗談じゃ無い、あの距離で当たらないのならどうすればいい?

 因みにこのゲームの緊急回避とは名ばかりで無敵時間等はついていない。

 弾も見てから避けれる早さでも無いはずだ。


 兎に角距離を取るが、何処からか弾が飛んでくる。私に当たりはしないが相手が全く見えないし、場所の予測も出来ない。


 圧倒的に不利だ。

 こちらは場が把握できていないのに、常に射撃で牽制されてる。


 引きながら闘ってはいる為、徐々に追い詰められている。前に出ないとこのままでは負ける事も判る。しかし……。


 意を決して飛び出し、弾が飛んで来ていた方に牽制射撃をする。


 たまたまタイミングが合ったのか、立場が逆転。こちらが攻めに回る。


 相変わらず相手の姿は見えないが、この先にある袋小路に誘い込むように動く。このまま一気に行きたい所だが、この先の状況は相手も理解しているはず。

 私がしたように反撃されるタイミングでもある。

 慎重に追い詰めていく。


 しかし先程の人間離れした彼女の回避行動が頭をよぎる。

 徐々に底知れぬ恐怖が私を支配し始めるが、その感情に気付かないフリをして勇気を振り前へ出る。

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