EP.1 変化していく関係 △

コンコン


「入っていいよ。」

「失礼します。」ガラ

玲に促されて俺は生徒会室の中に入る。


俺は朝のやり取りに恐怖を抱きながらも

約束通りに逃げずにここまで来た。


「遅いから来ないのかと思っていたよ。」

「俺は約束は守る。」

「嘘はつく癖に…」ボソ

「…っ」ビクッ

玲の冷たい声色に俺の身体は反応する。


ガタガタ


震えが止まらない。

彼女のことを見ることができない。

前に嘘をついたときに彼女に

植え付けられた恐怖が俺の体を支配している。


「冗談だよ。

 だから…翔。

 そんな顔をしないでくれ」スタ

そう言って俺の目の前まで近づいてくる。


「君にそんな顔をされると私は…」サス

「れ…い?」

彼女は俺の頬を手で撫でてくる。


その手はひんやりしてとても心地がいい。

手つきは壊れ物を触るように優しい。


「君を虐めるの押さえられないよ」ゾクゾク「玲、何を…んん!?」ガシ

突然、彼女は俺の頭を掴んだかと思うと

そのまま俺の顔を強引に引き寄せてきた。


「かける…んっ……ちゅっ」

彼女は激しく舌を捩じ込んでる。

俺が拒もうとしても無理矢理押し入ってくる。


「ぅん…っ…れい…んん」

「ちゅぱ…かけるの唾液…ゴク…もっと」

俺は頭を固定され、されるがままだ。

そんな俺の唾液を彼女は花の密を吸うように

俺の唾液を飲み込んでいく。


「ちゅぱ…かける…舌をだして…」

彼女は口を少し離すと

今度は舌を出すように俺に要求してくる。


「ハァハァ…」ベロ

「ふふ、いいこだ」


レロ…チュパ…レロレロ…

絡み合う部分が目に映り、とてもいやらしい。

繋がっていることを意識させられる。


「れい……あやまるから…ゆるひて。」

俺は無様に舌を絡めながら赦しを乞う。

もう、俺に出来ることはそれしかない。


「翔…」

俺の誠意が伝わったのか

彼女はキスをやめ、真剣な顔で俺を見つめる。

助かった…

俺は解放されたことで安堵し気を緩めた。



「そうか…





 

 君はもっとして欲しいんだね。」

「え?」



それが間違いだとは思わず…


「シたいのなら、素直にそう言ってくれ。

 普通に頼んできても私はシてあげるのに…

 それなのに態々、私を喜ばせるだけために

 いやらしいおねだりしてくれるなんて…」

「違う…」

「本当に健気でかわいいなぁ…君は。」ヌギ

俺に欲情を抱きながら彼女は服を脱ぎ捨て、

彼女は自分の裸体を露にする。


「違う!俺はこんなところでーー」

「照れなくてもいいよ。

 ほら、ここはこんなに…」サス

「…っ」ビク

下腹部を優しく撫でられたことにより

俺の体は勝手に反応してしまう。


いや玲の言うとおり元から…


「やめてくよ…もう俺は」クシャ

俺は彼女にもう辞めるようにと懇願する。


「ぁん…///

 そんな顔をされるとまた私は自分を…」ガバ

「玲!?ぁあ!!」

しかし、それが彼女の琴線触れてしまい、

彼女は俺に覆い被さりそのままーー








数十分後、

結局、彼女に俺の言葉は届かず、

生徒会室で行為をすることを強硬してきた。

結果、その間の室内では二人の息づかいと

その体から響く水音だけしか聞こえなかった。



「私の気持ちが伝わったかい?

 私には君の愛が伝わってきたよ。

 ふふ、君の愛はやはり心地いい。」サス

「はぁはぁ…。」

玲は俺の横に座りながら、

満足そうに自分のお腹を擦っている。


避妊はしたはずなのにどこか不安になる光景

俺は息絶え絶えになりながらそう思った。


「何か言うことはないのかい?」

「ごめん…なさい。」グタ

俺は服を着た後、ソファに力なく座り込み

彼女に促され改めて謝罪の言葉を口にする。


「少しやりすぎたかもしれないね。」

そう言う彼女の顔に罪悪感は見えない。

むしろ、嬉しそうに笑っている。


生徒会室《こんなところ》でやることを少しだと…


「でも、君が悪いんだよ。

 だって、また嘘をついたからね。」

「はい…」

俺は彼女の言い分に大人しく返事をする。

結局のところ、玲が暴走したのは俺が悪い。


あのとき、正直に言ってれば…


「それで朝はなんで朱里といたの?」

玲はこの状態の俺に五十嵐の件に聞いてくる。

今日の彼女は俺に優しくする気はないようだ。


「実は朝ーー」

俺は今日の成り行きを玲に話した。

彼女が納得するとは思えないが…


「そうか…なるほどね」

予想外にも彼女はあっさり納得してくれた。


俺の訴えが通じたのか?

いや、それにしては物分かりが良すぎるような


「つまり、朱里が悪いんだね。」

彼女は淡々とした声でそう言った。

その声には抑揚がなく、まるで感情がない。

 

「違う…五十嵐は何も悪くない!」

「何が違うと言うだい?

 翔の都合も考えずに家に来て、

 無理矢理、一緒に登校させたんだよね。

 害悪以外の何に例えられると言うんだい?」

「…。」

五十嵐を庇う俺に正論ぶつけてくる玲。


確かに五十嵐のやったことは非常識だ。

当事者の俺もそう思っている。


「そういう子にはお仕置きしないとね…」

「玲、彼女に何かするのはやめてくれ!」

俺は冷たい声色で呟く彼女を必死で止めた。


なんとなくだ。

なんとなく…

ここで玲を止めないと五十嵐が酷い目に会う。

そんな気がした。


「私は君のためを思って言ってるんだよ。

 それなのに君は彼女のことを庇うのかい?」

彼女の視線が俺を射ぬいてくる。


「私は彼女のことを許したくない。

 だって、私の大切な翔を困らせたんだ。

 相応の報いを受けさせないと…」ギリッ

玲は俺のことを思って怒っている。

その気持ちに嘘も偽りもないだろう。


だが、俺はーー

 

「彼女は…五十嵐は俺の友達なんだ。

 だから、何もしないでくれ頼む…玲。」

俺はそう言いながら玲に頭を下げる。


俺のせいで誰かが酷い目に会うなど嫌だ。

ましてや、

それが仮にも友達であるならなおさらだ。


「友達…」

俺が口にだした友達という言葉に反応する玲。


違和感があるのだろう。

明らかに俺が口にする言葉ではないからな。


「…ふむ、君がそう言うのであるなら、

 私も今回は目を瞑ろうと思う。」

「玲!!」

理解を示してくれた玲に対して

俺は思わず喜びの声を出してしまう。


「でも、私は彼女をただで許したくはない。

 だってそうだろう?

 私の愛する翔に迷惑をかけたんだ。

 本来なら、重罪ものだろう。」

「それは…」

玲はそれと同時に五十嵐に対する

怒りが収まらないことを俺に教えてくる。


「それを私は君のために我慢してあげるんだ…

 だから、目を瞑るご褒美をくれるよね?」

「ご褒美?」

彼女はそう言って俺にご褒美を求めてくる。


五十嵐の行いが本当に許せないのだろう。

だから、その分の対価が欲しいらしい。


「なぁに…簡単なことだよ。

 スンスン…いい匂いだ。

 君は匂いも愛らしいね…」スーハー

「…ん、首の匂いを嗅ぐな」

「かわいい反応をしてくれるじゃないか。

 君は生娘かい?」

怒りを収めた玲は流れるように

俺の首元に顔を埋め匂いを嗅いでくる。

彼女の髪の毛が当たって少しくすぐったい。


「このまま嗅いでるだけもいいけど、

 今回のご褒美はだからね…」スーハー

「おい…何を」

「動かないで」チュ

そのまま俺の首にキスをしてくる。

行為の時はよくすること。

だが、今回はいつもと違った。


ーーーぢぅ…ちゅっ…


激しく俺の首に吸い付いてきているのだ。


「っぁ…玲…痛い!!」

「ぢゅ…ぢゅるる…んんっ」

吸い付く力が強く、俺は玲に痛みを訴える。

だが、玲はそんな俺を気にせず吸い付く。


パッ…


「ごちそうさま」ギュ

数分立つと玲は唇を首から離して、

俺の体に軽くハグをしてくる。



「満足したか?」

「そうだね…

 君からもしてくれると私は満足するかな?」

満たされたのか聞くと指を口に咥えて、

欲求不満そうな顔をしながら俺を見てくる。


甘えん坊のようなその態度は

普段の玲とはかけ離れたものだ。


「首をだしてくれ…」

「君は本当に甘いねぇ」


チュ


「ぁ…///」

そんな彼女に俺は誘導され、

彼女の首筋に優しくキスをした。


「かけるぅ…もっと…」

「ちゅっ…ちゅっ」

彼女が物足りないと言うので

俺は何度もキスをしていく。


「ぁん…翔…厳しくしてすまない…

 …本当は…っん…優しくしたいのに

 君を…んん…見るとどうしても」

彼女はキスをされる度に喘ぎながら

懺悔にも近い言葉を俺に伝えてくる。


「翔…愛してる。

 君がいるだけで私は幸せなんだ。

 だから、私に嘘なんてつかないでくれ。

 君の全てを晒け出してくれ…」

「…」

彼女の言葉に俺は思わず手を止めてしまう。

その言葉は俺にはとても重い物だった。


だから俺は…


レロレロ


「んん…そんな舐め方…

 ふふ、君も私に興奮してるんだね…ぁっ」

「…」

俺が無言で首を舐めはじめると

彼女はとても嬉しそうに感じはじめた。

俺は無理矢理ごまかすしかなかった。



俺には彼女を受け止めることはできないから…






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