case.? ????

俺は大学生というものに少し憧れがあった。

なんと言っても

最も程度の高い学問を学んでいるのだ。

どんなすごい人間がいるのか気になるだろう。


「これから、酒飲みにいかない?

 代金はこっちが持つからさ~」

「ごめんなさい。

 友人との約束がありますので…」

「その友達も誘っていいから。

 きっとその友人も楽しめるから。ね?」



大学前に来た瞬間、この光景だ。

憧れなど一瞬で消えてしまった。

最も程度が高いが聞いて呆れる。


「いいかげんに…あっ!かーくんだ。」

男に言い寄られていた女性が俺に手を振る。


忘れてたが一応、彼女も大学生だったな。


ーーーーーーーーーーー


「ようこそ、私の大学のキャンパスへ!」

「へぇ~、きれいですね。」

爽やかな笑顔で俺を歓迎してくる二宮さん。

あの後、俺は彼女に学食まで案内された。


二宮梨央

海でバイトをしていたときに

逆ナン(?)をしてきた大学生だ。

ちなみに学年は二年生だったらしい。


「二宮さん。それで用件はなんですか?」

俺は彼女に呼ばれた理由を尋ねる。

俺がここに来たのは偶然ではない。



『かーくん、私を…助けて!!』


彼女が電話で俺に助けを求めてきたからだ。


「別に前みたいに敬語でいいわよ。」

「それは助かる」

あまり堅苦しいのは嫌だから

これぐらいの距離感の方が楽でいい。



「私のことは梨央ちゃんって呼んでね。」

「二宮さんはなんで俺を呼んだ?」

「スルー!?」

ふざけたことをぬかす彼女を俺は無視する。

やっぱり、彼女はポンコツのようだ。


「あんたって見た目はいいのに

 中身は本当に駄目なんだな。」

「そんなに誉めなくても…///」

「誉めてねえよ!」

バカにしているのに照れ始める二宮さん

都合の悪い部分は聞こえていない様子だ。


「もしかして、お姉さんのこと口説いてるの?

 …かーくんなら、私はいいよ。」

「俺が良くないんだが…」

「付き合うなら毎日、朝と夜に電話して

 休みの日は沢山デートしようよ。

 そういえば、かーくんは学生服好き?

 私が制服を着てデートをしてもいいよね!」

彼女は俺の言葉を勝手に解釈した後、

自分の世界に入ってしまった。


俺はなにも言っていないのにすごい想像力だ。もっとも、微妙に古い。

それが彼女らしくて逆に安心する。


「かーくんは学生さんだから

 あまり遠出できないし。

 近くのどこかでいい宿とか探して

 温泉なんかも一緒に入ったりして

 そして夜にはーー

 キャーーーーー!!

 もう…かーくんのエッチ…///」

彼女の妄想は止まることを知らない。

あの一言でここまで妄想を膨らませられるのは

ある種の才能とも言えるかもしれない。

 

まあ、俺はいらないけど


「…」

残り少ない夏休みを使って、

俺は何に付き合わされているのだろうか

そう疑問に思いながら、

彼女が冷静になるまで無言でいるのだった。







「かーくんは積極的だね…

 おねえさん、少し興奮しちゃったわ」ハァハァ

「あんた、頭大丈夫か?」

なぜか、二宮さんは息切れを起こしている。

勝手に彼女が暴走していただけで

俺は特になにもしていない。


「告白は海の夜景をバックでお願いね!」

「告白に夢を見すぎだろ…」

彼女は随分ロマンチックなお願いをする。


大学生にもなってもこれは…


「◯女も拗らせるとこうなるのか」ボソ

「◯女って言うな!」

俺が小さな声で言ったはずなのに

彼女はすごい勢いで食いついてきた。


あ…やっぱりそこは気にしているのか


「どうせ、私は◯女ですよ~」

そのまま、彼女はすね始めてしまう。

絵に描いたようなめんどくさい女だ。


「学前みたいなのは駄目なのか?」

「ん?ああ…コンパね。

 ああいうのは私にはちょっとね。」

「ナンパいいのにか?」

「できれば、私から見つけたいし、

 ああいうのは体目的なだけだもん。

 私はまずは普通にイチャイチャーー」ダン!

「そういうもんなのか」

彼女は机を叩きながら力説してくる。

俺には対して違いが分からないが

彼女にとっては違うものなんだろう。


「ナンパも誰かさんにしかできなかったし…」

彼女は恨めしそうに俺の方を見てくる。


むしろ、バイトの邪魔をされた俺の方が

目の前ポンコツ女を非難したいのだが…


「それは悪かったな」

「絶対に悪いと思っていないやつ~

 私のはじめてのナンパだったのに!!」

彼女は適当に謝罪する俺にツッコミを入れる。


あれが初のナンパだったのか…

この人、本当に残念な人だな


「話を戻すが今日は何すればいい?」

これ以上彼女を怒らせる前に話を戻す。

俺は彼女とおしゃべりをしに来た訳ではない。


「そういえば、そうだったね。

 かーくんが誘ってくるから忘れてたよ。」

「それで?」

理不尽に俺のせいにされるがスルーする。

ようやく、話が進みそうなのだ。

ここは俺が大人になろう。


 

「かーくん、実はねーー」

「はいはい」

軽い調子で話す彼女に俺は適当に返事をする。


どうせ、この分じゃ大したことない。

そう俺は思っていた。



「かーくんに私の彼氏になって欲しいの!」



彼女の発言をを聞くまでは…





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「…」ジー

「…」

俺は一人の女性と見つめ合っている。

お互いに向き合っているのに言葉は発さない。

周りから見ると異様な光景だろう。


「二人とも暗いよ!

 もっと、明るく行こうよ!!」

独特な空気を発している俺たちに

二宮さんがテンションを

高めにして話しかけてくる。


あれから少し時間が経ち、

訳あって俺は

二宮さんの部屋に行くことになった。

そして、今は

俺、二宮さん、二宮さんの友人

の三人で食事をしている状況だ。


「彼はのかーくん。

 名前は佐藤翔くんって言うの~

 見た目はちょ~っと怖いけど

 優しい子だからみなちゃんも仲良くしてね」

「どうも…」

俺はみなちゃんと呼ばれた女性に挨拶をする。


「ふーん…」ジー

彼女は冷たい雰囲気を放ちながら、

俺のことをじっと見てくる。


彼女の見た目は

短めの髪に赤いメッシュをしていて

顔もかわいいらしい顔立ちをしている。

スタイルはいいが胸は…やめておこう。





「かーくん。この子はね。

 宮沢南みやざわみなみちゃん。

 私の親友なんだ!!

 クールだけど照れ屋さんなだけだから、

 ツンツンされても照れてるだけだから、

 あまり気を悪くしないでね。」

「よろしく」ジー

「ああ…よろしく」

女性二宮さんに促されても挨拶をしてくる。

二宮さん曰く、彼女はクールで照れ屋らしい。





そう…

俺は彼女のことを知っている。




宮沢南は…




俺の元◯フレだ

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