EP.1 変化していく関係 □

あれから、

少しして俺は生徒会室から解放された。


身体は重いし精神的にも限界だ。

それでも、

無理矢理身体を動かして家の方まで向かう。


「あっ、そういえば忘れてた」

帰りの道中、俺はあることを思い出した。


ウィーン


今朝、五十嵐に色々食べさせたのを思い出した

俺は帰る前に何かを買って帰ろうと

スーパーに寄ることにした。


「玲は卵焼きとごま和えが好きだから

 今日は卵と小松菜でも…ん?あれは」

俺がかごの中に食材を詰め込んでいると

目の前に見覚えのある人物を見つけた。


「今日は翔さんの家…そろそろ」

「美鈴か?」

「は、はい?」

そこにいたのは美鈴だった。

声をかけると挙動不審にこっちを見てきた。


「か、翔さん」

「おう、そうだな。」

俺だと気づくと彼女は驚きで目を開く。

こんなところで

俺に会うとは思っていなかったようだ。


「買い物か?」

「はい!翔さんに何か作ろうかと…」

「そうか…それはありがとうな」ナデナデ

俺の為に買い物をしてくれている

彼女を見ると思わず撫でてしまった。


「翔さん、こんなところでなんて///」

「悪い…つい」スッ

俺は美鈴に言われてすぐに手を引っ込めた。


「あっ…」

しかし、美鈴は少し名残惜しそうな顔で

俺の手を見つめてくる。


「美鈴は何を作る予定なんだ?」

「ええとですね、チャプチェを」

「確か、春雨の入ってる中華料理だよな」

「そうです!

 家ではピーマンを入れるんですが

 翔さんは食べられますか?」


なんとも言えない美鈴の表情が気まずかった

俺は彼女に料理の話題をふった。


思ったよりも食い付きがよかったは

正直、運が良かった。


「ああ、大丈夫だ。」

「それはよかったです!

 ところで翔さん…」

「なんだ、美鈴?」

俺がピーマンを食べられることを伝えると

彼女ははほっとしながら言葉を続けてくる。




「その首の痕はなんですか?」

美鈴はハイライトを失った目で俺を見てくる。


俺はこの瞬間世界が止まったと錯覚した




ーーーーーーーーーーーーーーー



「「…」」

買い物を終えて帰るとき俺たちは無言だった。

すごく空気が重いが俺はなにも言えない。


『家で話を聞かせてください…全部ですよ』


空気が重いのは店内での出来事が原因だ。

俺の首の痕。

生徒会室で玲が俺につけた

それに美鈴が気づいてしまった。


「美鈴、着いたぞ」

「…」

気まずい空気のまま俺の家の前まできた。

俺は美鈴に話しかけるが彼女は反応しない。


独占欲の強い彼女がキスマークを見たんだ。

今の彼女の胸中はなんとなく分かる。


まさかこんなミスをするとは…

俺としたことが夏休み明けで油断していた。


ガチャ スッ


俺が玄関の扉の鍵を開けると 

美鈴は静かに家の中へと入っていく。


バタン ガチャ


後に続き俺も家の中に入り扉に鍵をかけた。

その時だったー


「…」スーハー

「おい…美鈴。」

美鈴は後ろから俺の首もとに

顔を近づけて深呼吸をしてくる。


「くすぐったいぞ。」

首に息が当たってむずむずしてくる。


「…チガウ」ボソ

「なんだ美鈴?」

彼女が小声で言った言葉を

俺は聞きとれなかった。


「…翔さん、お風呂行きましょう。」

「いや、先にご飯のー」

「いいですよね。」

「分かった…」

有無を言わせぬ彼女の命令に俺は従う。

今の彼女に逆らわない方がいい気がした。


「行きますよ」ニギ

「おい…引っ張るな」

彼女は俺が了承すると

俺の手を取って風呂場にまで引っ張ってくる。


バサ


「なんで…美鈴が服を脱ぐんだ?」

「一緒に入るからですよ。」

「いや、それは」

「今さらじゃないですか?

 これ以上のこともシていますし。」

「そうなんだが…」

彼女は当たり前のように

俺と風呂に入るつもりのようだ。


彼女の言ってることは正しいのだが…


「いつもは別々だろ。

 それに…

 一人は夕飯の準備をした方が効率的だろ。」

「私の言うことを聞いてくれないんですか?」

言い訳をする俺に

向かって彼女はスマホを取り出す。


「…一緒に入ればいいんだろ」

「分かればいいんですよ。」

俺は彼女の脅しに屈して

彼女と一緒に風呂に入ることになった。


… 




カポーン


「翔さん、まずは体を洗いましょう」


風呂場に着くと

美鈴に言われて、体を洗うことになった。


ワシャワシャ


「私が背中を流しますね。」

俺が髪の毛を洗っていると

美鈴が後ろから声をかけてくる。


「自分で「流しますね。」…頼む」

体を洗って貰うのを断ろうとしたが

彼女の有無を言わせず態度に俺は諦める。


ヌチュヌチュ

美鈴は丁寧に泡を立てて洗う準備をしている。


「じゃあ、始めますね」ピト

「…」ビク

彼女の手に背中を触れられ俺は体を震わせる。


「クスッ…敏感なんですね」

「早く洗ってくれ。」

恥ずかしさを誤魔化すように彼女を急かす。


「翔さんの背中は大きいですね」ニュッニュッ

「そうなのか?」

「はい、とても大きくて素敵です。」ギュ

彼女は俺の背中を洗いながら話しかけてくる。

背中の大きさなど自分では分からないが

彼女には魅力的に感じるのだろう。

時折、抱き締めたりもしてくる。


「ぁ…」

「気持ち良さそうですね。」ニュッ

彼女の言う通り声が漏れるほど気持ちがいい。

体の至るところに手が優しい手付きで

動く感触が俺を快楽へと導いていく。


ゴシゴシ


彼女は洗う場所が首になると先ほどと違い、

強く擦るように洗いはじめた。


ゴシゴシ

ゴシゴシ

ゴシゴシ


「…首はもうよくないか?」

「まだです…」

彼女は念入りに俺の首元を洗ってくる。



ゴシゴシ

ゴシゴシ

ゴシゴシ

ゴシゴシ

ゴシゴシ


「美鈴…痛いからもうやめてくれないか」

「…ダ…ナイ」ゴシゴシ

俺がやめるように彼女に言っても、

彼女は聞く耳を持ってくれない。


分かってる…

擦ってるとはキスマークのところだ。

彼女は俺の首元にあるその存在を許せないのだ


「そうだ…」 

「みす…ぁぁぁぁ!?」バシャ

何かを思い付いた様子の

彼女に俺は声を変えようとしたが

その瞬間に頭からお湯をかけられた。


「何をするんだ、美鈴!!」

俺がいきなりお湯をかけたことを

美鈴に注意しようとするとー


「始めからこうすればよかった…」ヂュ-

「いたっ…!?」

彼女は俺の正面に回ってきたかと思えば

そのまま俺の首元に吸い付いてきた。


ぢゅっ!ぢゅっ!ぢゅっ!

激しい吸い付きに俺は強烈な痛みを感じる

その行為はもはやキスではない暴力だ。


ぢゅぼん


「消えた…消えた」ジー

「…っ」

彼女は勢いよく唇を離したと思うと

俺の首元を凝視して呟きはじめた。


「よかった…これであの人に…」ギュ

「…むが」

そして、安堵したかと思えば

俺の頭を抱き抱えてくる。

そんな体制となれば自ずと

俺の顔は彼女の胸に埋もれてしまう。


「むぐぐ!」

「ぁん…翔さん…そんな暴れないで」

無理矢理離れようとするが

彼女に首を抱えられていて上手くできない。


クラァ

酸欠と暑さで頭がくらくらして…


「むが!?」グラァ

「きゃあ!」


バタン

俺は仰向けで倒れてしまう。


「翔さん!大丈夫ですか!?」

「…あぁ」

俺は美鈴の心配する声に

意識が朧気になりながらも返事をする


酸欠でまだ意識ははっきりしていない。

しかし、幸い頭は打たなかった。

それだけは救いだった。


「…ハァハァ」

「…」ジー

「…ハァハァ…みすず?」

俺は涙目で息を整えると

無言で見ている美鈴に話しかける。


「…マス」

「どうした、みすず?」

何かを言っているようだが

頭が正常に働いていないので聞き取れない。


「翔さん、エ○チすぎます…」

「何を言ってるんだ?」

彼女は俺の頭が正常になっていても

理解できないことを言っている。


「あぁ…先輩の涙目…ハァ」ペロ

訳の分からないことを言った後、

俺の涙目を舐め取り始める美鈴。


「やめろ…汚いぞ」

「嫌です…先輩の全ては私のモノです。

 だから、絶対あの人には渡しません。」ヂュ

「いっ!?」

美鈴は俺の言うことを無視すると

今度は先ほどと違うところに吸い付く。


「私は翔さんから私以外の女の匂いがするのも

 他の人が印をつけているのも嫌なんです…」

彼女は俺に対して不満を口にしてくる。

俺への酷い執着を見せつけてくる。


「だから、今から沢山私の印をつけます。

 そうすれば、他の人にも

 翔さんは私のモノって分かりますよね?」

彼女はそう言って俺に再び吸い付いてくる。


ヂュ…ボン


ヂュ…ボン


ヂュ…ボン 


何度も何度も何度も繰り返し吸い付く。

繰り返される痛みの中で

俺は美鈴を止めようと彼女の方を見た。

だが…俺には彼女のことはできなかった。


だって…


俺を犯してる彼女の表情がーー















ーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき

いつも読んでいただきありがとうございます!

この度は楽しみにしてくださる

皆様にお詫びがございます。


次回の投稿を境に毎日投稿から

毎週投稿に切り替えたいと思います。


理由としましては新作を書きたいという

自分のわがままです。

本当に申し訳ございません。


これからは毎週月曜日の6時に投稿していきます。


頻度は下がりますがこれまで通りがんばりますのでどうかよろしくお願いいたします。



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