俺と寝る女は彼氏持ち
関係詞
プロローグ 誰とでも寝る男
高校2年の6月。
俺は炎天下の中、学校に向かって歩いていた。
シャツが汗で湿っていてすごく気持ち悪い。
「おいおい、あれ見ろよ。
噂のヤリチンじゃね?」
「どれ…マジじゃん。
金髪とかいかにもだな。
絡まれたらやばそうだから
あんまり見ない方がいいかもな」
知らないやつらが
俺のことを見ながら陰口を言っている。
人の印象は見た目が9割というが、
全くもってそのとおりである。
ソースは俺。
金髪
よく焼けた肌
ガタイのいい体
これが俺、
見る人が皆、このように思うだろう。
不良
俺は別に授業をサボったり、
非人道的なことをしているわけでもない。
普通に生活しているだけだ。
しかし、他人からみたら不良なのだ。
金髪なのは生まれつきだし、
肌は焼けやすいだけ、
体はただ鍛えているだけなのに
悲しい限りである。
どんなに中身をまともにしても
見た目で弾かれるんだからやってられない。
だから、俺は噂を放置することにした。
その結果が
毎日違う女と寝ているヤリチンクソ野郎
という称号をいただけた。
たった一年、
この学校に通っただけでこのザマだ。
先ほど陰口を叩いてたのも一年だったので
おそらく学校全体でそう思われている。
だから、俺に寄り付くやつなどいないのだ。
まあ、内面も見ずに外面で決めつける奴らと
仲良くする気などさらさらないけどな
「あちぃ」
夏の暑さで沈んだ気持ちになりながら、
重い足取りで学校まで歩くのだった。
…
…
俺は教室に着くと机に倒れ伏す。
まわりに人がちらほらいるがどうでもいい。
昨日は眠れなかったので
少しでも寝とかないと体が持たない。
…すぅ
意識が沈んでいく。
「…君、…きて。」
気持ちよく寝ていると肩を揺すられる。
それと同時に聞き取れないが声が聞こえる。
「佐藤くん。起きて!!」
「なんだ!?」
大きな声に驚き顔を上げるとそこには
見知った顔があった。
「あ、やっと起きた。
そろそろ、
HR始まるから起きてた方がいいよ。」
「ああ、助かった。
ありがとな。五十嵐」
親切にも俺のことを起こしてくれたのは
隣の席の
茶髪のショートカットで
少しパーマがかかっており、
顔も童顔で保護欲を掻き立てる。
水泳部のエースで
前年の期末テストの成績も総合2位であり、
俺と違い見た目も中身も完璧な人だ。
あんまり、話すことはないが
どうやら心配して起こしてくれたようだ。
「構わないよ。それにしても珍しいね」
へぇ~結構見ているんだな。
俺は真面目に授業を聞いている方で
授業では寝たことなどない。
なのに不良扱いとかマジでおかしい。
「いや、昨日眠れなくってさ」
とりあえず、優しい彼女に返事をしなければと
俺は理由を話す。
「最低!」
そう言うと彼女は顔をそむけてしまう。
どうやら俺が寝れなかった理由を勘違いしているようだ。
あ~
結局、彼女も噂でしか俺を見ていないのか
世の中の理不尽感じながら、
俺は授業の準備を始める。
「…?」
その時、強い視線を感じた気がするがおそらく気のせいだろう。
―――――――――――――――――――――
キーンコーンカーンコーン
本日、最後の授業も終わり放課後になった。
今までなら、一人暮らしの家で
勉強なり筋トレなりしていただろう。
今日は違う。やることがある。
街に繰り出すことに決めた。
やりたいことというのは
端的にいうとナンパだ。
今夜、俺と寝てくれる人を探したいのだ。
結局のところ
俺は噂通りの人間ということだ。
俺は毎日、だれかと寝ないと眠れない人間だ。
夜に病的なまでに人肌が恋しくなるのだ。
だからこそ、俺は毎日女と寝ている。
そこに偽りはない。
だが、周りが俺のことをクソ野郎と
批判するのはお門違いではないだろうか?
誰かを傷つけているわけでもないし、
相手も俺が複数と寝てることを同意してる。
この関係で
クソ野郎呼ばわりされる筋合いはない。
別に死ぬまでに一人の女しか
抱かない訳でもないだろう。
むしろ、一人の相手とのみで関係を
持っている人間の方が少ないだろう。
何人もの相手を抱いて
パートナーを見つけ出す。
それが人間と言うものであろう。
俺はそれの頻度が少し多いだけだ。
まあ、何が言いたいかって言うと
俺が何しようが他人には関係なく、
一面しか見ない人間に
俺のことなど分かるはずがないということだ。
…
…
まあ、結果的に
今日のナンパは失敗に終わった。
大学生ぐらいを狙ったのだが思いの外
人が少なかったのもあり厳しかった。
昨日も失敗したので
今日こそは成功させたかったのだが…
ーー♪ーーー♪ーーーー♪
夕方の放送が辺りに響く。
辺りはすっかり夕暮れになっていた。
「プハ、うめぇや」
少し喉が渇いたのでコンビニで
オレンジジュースを二本買い、
公園で少し休むことにした。
動き回っていたので体によく染みる。
ジー
視線を感じる。
小さな黒い髪の女の子が俺のことを
正確には俺の持つ
オレンジジュースを見ている。
「もう一本あるけど、飲むか?」
コクリ
どうやら、飲みたかったようだ。
別に構わないので俺はもう一本の
オレンジジュースを少女にあげる。
「もう、暗くなるから
それ持って、帰った方がいいぞ。」
「ありがと」タッタッ
無愛想な少女だがペコリとお辞儀をして
そのまま走り去っていった。
まあ、子どもはあれぐらい自由な方がいいか
小さな子供を微笑ましく見守る。
よくも悪くも見た目で判断しない小さな子供は
嫌いではない俺という存在を見てくれるから。
その純粋さをずっと
持ち続けてほしいと俺は願った。
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