第21話 会議
担当者会議
「係長お願いします! これで上を説得してください。我々が考えぬいた結果なんです。これがベストなんです!」
「いやあどうかなぁ? 何度も話し合ってるけどこれ通るかなあ? 一応伝えるけども」
署内会議
「係長、本当にこれで行くのかね?」
「課長、すでに会議を重ね決定しましたのでこれを覆すのは容易ではないと思われます」
「いや、しかしこれは」
「技術部が総力をあげて測定しましたのでこれが最高ではないかと思われます」
「そうか。わかった、ではこの件は私から部長に伝える」
「はい、ぜひとも宜しくお願いいたします!」
調整会議
「課長、これはあまりにも厳しい数字ではないかね?」
「いえ、しかし部長。様々な部署で会議を重ねこれがベストだと結論付けられております。部下たちからもぜひこれで行きたいと」
「いやしかしだね、業界でこの数字を出しているところは見たことがないぞ。本当に大丈夫なのかね?」
「賭けではあります。部長もおっしゃったように業界でこの数字をあげているところはありませんので。しかし開発にこれだけの期間をかけた商品もまたございません。これが当たれば業界全体が変わります。ぜひご決断を!」
「わかった。我が社の命運はこの商品にかかっている。社長のご決断を仰ごう」
社長の決断
「部長これはさすがに厳しいぞ」
「はい。承知いたしております。しかし現場からすべての会議を経た結果です。ぜひご決断を」
「うーむ。しかしなんとかならなかったのかね? 十分はさすがに長すぎないか?」
「はい。しかし、だからこそです! これまで十分という時間を待つ商品は存在しませんでした。今の時代だからこそ逆に受け入れられるのではないかと」
「わかった。この時代だからこそ、か。部長、君のチームに賭けてみようじゃないか。十分か、面白いじゃないか」
こうしてインスタントラーメンの待ち時間設定は十分に決定された。
(完)
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