第23話 趣味

「この女性、サトナカに見覚えはありませんか?」

「ふざけるな! 人を犯人扱いしやがって。もうなにも話すつもりはない!」


「もうけっこうです。私はもうこの場所にいるのは耐えられない」

「もう! なに言ってるんですか、ヤマダさん! ここ、取調室、あなた刑事! 仕事してください!」


「なんなんだよお前ら! こんな女知らねえっつってんだろ!」


「そうですか、わかりました。あ、この部屋のドア、開けといてもらっていいですか?」

「ヤマダさん! いや、もういいや、ヤマダ、ヤマダ! ほんっともう! いいわけないでしょ! ほんっと困った人だわ。ああすみません。ね、アマノさん。お願いします、この女の正体がわからないとあなたの無実も証明できないの、ね」


「知るかよっ!」


「ですからもうけっこうです。ところでアマノ。これ」

そう言ってヤマダはアマノに別の写真を見せる。


「おい、これ! すげえじゃねえか、なんだコレすげえ!」

「ヤマダ、なにやってんですか」


「こんなのもあります」

「うわっ! まじリスペクト!」


「あ、じゃあこの女は?」

「ああ、見たことはねえけどサトナカって名前は聞いたことあるような」


「ほ、ほんとうですか!?」

「どこで?」


「そういやあ、あの電話以来様子がおかしくなったな」

「やっぱりそのサトナカって女が?」


「それはまだわかりません。しかしやることは決まりました。トオノさん、サトナカの行方を追いましょう」


「ヤマダさん。あなたほんとになんなんですか?」

「なにとは?」

「あの写真、あんな物なんで持ってるんですか?」


「趣味です」

「趣味ってあなた、アマノに見せたあの写真が?」

「おかしいですか?」

「おかしいでしょ? なんなんですかあれ」


「内緒にしといてくださいね」

「当たり前でしょ」

「そんなにおかしいですかねえ?」

「おかしいですよ、なんなんですかこれ。ジオラマですよ?」


「愛好家にはね、これで伝わるんですよ」

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