第22話 探してる本
ずっとずっと、探している本があるんだ。
その本はこの世界のことじゃなくてね、全く別の世界、そう、異世界のことについて書かれているんだ。
『ニニラカン大陸で生活するために』っていう本なんだけどね。
この本には、大陸に存在する各国の特徴や成り立ち、歴史が書かれていてね。
あ、でもそこはあんまりおもしろくないんだけど。
でもね、この本の本当にすごいところは、大陸各地の動植物、特に魔物に関する記述が詳細に記されているところなんだ。
今、本に関する情報はネットを少し検索したらたくさん出てくるんだど、どれも本当のことなんて書いてない。断片的な情報だったり嘘ばっかり書いてあったりするんだ。
なんでお前にそんな事が分かるんだ、って?
しかたないじゃない。だってこの本は僕が書いたんだもの。
なにを言ってるんだって?
信じられないかもしれないけど、僕は異世界に行ったことがあるんだ。
そう、やっぱり信じてもらえないか。
そりゃあそうだよね、今この日本にはそういうゲームやアニメ、マンガであふれているしね。そう思うのもしかたない。しかもその手のお話は死んじゃったりして異世界に行ったりするもんね。
だけど、だけど僕はね。
異世界『ニニラカン大陸』ってところに転移して、また地球に戻ってきちゃったんだ。
まだ信じられないって?
仕方ないな。
じゃあ少しだけ、異世界のお話をしてあげよう。
もしかすると、君も異世界『ニニラカン大陸』に転移するかもしれないからね。
僕が自分で書いた本を探している理由はまさにそれ。
君がニニラカン大陸に行ったときに困らないようにするためなんだよ。
そんなに驚かなくていいよ。
この手紙を読んでるってことは君は僕の子孫、もしくはご先祖ってことになるからさ。
この手紙には少し細工がしてあってね。僕の一族にしか読めないようにしてあるからさ。
『ニニラカン大陸で生活するために』を探し出して。
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