新作作ってみましたよ(777文字継続中)

第15話 嘘

「どうしてそんなに口からポンポンポンポン言葉が出てくるんですか?」


「だから騙されるなっていってんだろ。マコトもこっち側なんだからそういうので人を褒めるなって」


「いや、褒めてませんよ? で、今のどこが本当でどこからが嘘なんです?」

「え?」


「誰なんです? ユウコって」

「だから知らないって言ってんだろ。そんなの勝手に口から出てくんだからさ」


「いや、どうかなあ?」

「なにが?」


「それはどうかなあ? あんなの口から勝手に出てきてるようには見えませんでしたよ? 嘘なんですか?」


「ああ。って、まああんたはそれでいいんだけどな」


「ああ、って! ひどい! そうだ、あれは? あれは本当ですよね? こないだヒロキさんが言った、地下都市! あれは怖かったですよ、ほんとにあるんですか? あのー、あれ」


「ん? ああ、こないだの幻の地下都市な。なんだったっけ? えーっと、デルフィウム! はい、あれ、そう!」


「なんです?」

「あれな、大当たり! いやあ、あれは良かったなあ」


「で? どこまでが本当なんです?」

「今世間を騒がしてる連続物資盗難事件、あれ実は地下都市からの指令で、地下に物資を集めて地下都市国家を建設しているって話しな」


「ええ! あれは本当なんですよね?」

「嘘」


「え? 地下都市国家建設が嘘?」

「それも嘘」


「え? え? じゃあ地下都市からの指令って言うのも?」

「嘘」


「じゃあじゃあ連続物資盗難事件は?」

「それはほんと」


「え? だって! え? どういうことです?」

「なんで同業者に教えなきゃいけないんだよ。物資盗難事件はほんと。それ以外は俺の頭から出てきた嘘なの!」


「ひっど! ヒロキさん、地獄に落ちますよ? って盗難事件の事は?」

「ああ、地獄ってもんがありゃあそうだろうな。俺が知るわけないだろ、盗難事件の事なんてさ」


 ヒロキは詐欺師である。彼はこうして釣り針に餌をつけるようにマコトを使い、大きな獲物を狙っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る