第6話 女魔王様との同盟?

「魔王様が、ここにどうやって?私の目の前にいるのは、見えるのは、魔法で映し出している幻影か何かかな?」

「おや、冷静に考えるとは…。そうとも言えるし、そうではないとも言える。確かに、結界を通して、さらに我のいるところから、ずっと離れたここに現れた我は、物は触れるし、触れられれば実体があると感じられる存在だが、大した力はないし、ずっと離れた、我の城にいる我の幻影でもある。」

「それで、その体でここに座って、何をなさろうとしておられるのですか、魔王様は?」

「どうじゃ、我と手を組まぬか?聖女がいなくなった今、この国の守りは手薄じゃ、極めて。だが、我は、お前を助けてやろうと言うのだ。どうじゃ?」

「魔王様は、魔界で唯一無二の存在か?それとも、他の多くの魔王との戦いに忙しいのか?」

 そうなんだよ~、ロレンツィオ君。魔界はね、戦国状態なんだよ。この女魔王様も、複数の他の魔王と対立していて大変なんだよ。でもね、彼女の領地には人間の町もあって、人間を活用、保護もしてるんだよ。だから、ここに来て、君を取り込もうとしているんだ。まあ、どういうわけか、君の悪評、心外な内容だろうけど、で、取り込みやすいと考えたんだけどね。その悪評は存在してないし、問われれば“?”と女魔王様も思うけど、何となく、そう頭にあるんだ。それも今消えたけど。これは、この世界の設定のせいさ。さあ、どうする?

「魔王様、どうだろうか、恒久的な提携を…攻守同盟、協力協定を締結しないか?」

「は?」

 面食らっている、いる、女魔王様~!

「お互い、敵がいる訳ではないですか?では、手を携えて、協力しては戦う方がいいのでは?互いに協力して、互いに富国強兵したらどうでしょうか?」

「そ、それは…。そういう発想は、初めて聞いたぞ。ロレンツィオ、お前は面白い奴かもしれんな。考えてやろう。しかしのを。」

「何ですか?」

「聖女がいなくなって大変な時に、よく、そんな提案ができるものだな、お前という奴は。」

「そこまで知って…それで、ここに来たのは、それだけ、そちらも追い詰められているということでは?」

「む…。そこまで言うか…。ならば、どう思う?」

「攻守同盟には、互いに好都合な時期ということではないかと?」

「ふふ…。流石だ。気に入った、お前の提案、真剣に考えてやろう。」

「では、こちらも。」

 おや、交渉成立かい。おや、お互い好意いっぱいの目で見つめ合って、握手しちゃって~。だめだよー、君はヒロイン達、あの6人と結ばれて、幸福にしないといけないんだよ、浮気は駄目だよ~。

 ああ、魔王様、少し目をうるうるせちゃって…。あ、ロレンツィオ君も、名残惜しそうな顔を、その上、まんざらでもなさそうな顔!この浮気者!相思相愛でも、神様は許しませんからね!世界のために…分かってくれているよね。

 この後、色々話したけど、ロレンツィオ君は分かってくれていたよ。彼の顔は、少しさびしそうだったよ。かえってロレンツィオ君が可哀想になったよ、僕の方が。

 女魔王様ことラウラとの攻守同盟は、彼、本気だったよ、思った以上にね。彼女への好意とは関係なく、彼は国益として真剣に考えて、その結論に達したんだ。

 聖女を“失った”以上、魔族との戦いはより不利になる。すると、人間の世界ではトスカーナ王国の東西北に面する東ゴート帝国、西ゴート帝国、北のエストリア帝国に対する備えを削らなければならなくなる。しかも、聖女様は、魔王の妻になるんだよね。ラウラと対立している魔王だよ。大義名分を、聖女様というか、元の小説にはあるけど、それはさておき、トスカーナ王国に攻め入るんだよね。だから、ラウラとの同盟は一石二鳥どころか三鳥以上になるんだよね。共同戦線を張れれば、互いに支援しあえれば、効果は倍増だしね。

 おおおう、ロレンツィオ君もラウラちゃんも、さっそく動きだした。側近などを集めて、熱っぽく語っている、いる。打ち合わせなんかしていないのに、言っていることがぴったし一致、ツーカーというか、以心伝心というか、気があっちゃって~、このこのー!。

 ラウラは、ロレンツィオを誘惑して、悪行はさせるけど、彼を、トスカーナ王国を助けないばかりか、略奪するからね、本来?は。マイナスがプラスになったわけだ。ロレンツィオ君、ポイントゲットだよ。この調子で頑張ってね!

 

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