第18話 勇者を救う②
ロレンツィオ君、ダメだよ、ミケランジェロ君に勇者サルヴィアちゃんを託そうなんて考えたら。そりゃ、幼なじみで、互いに力を合わせて、肩を並べて戦った、信頼感でもつながった2人で、その上、お似合いの2人だから順当にいけば結ばれる2人だよ、確かに。でもね、ミケランジェロ君は勇者様を助けられなかったばかりか、あんな目に合わせてしまった自分の不甲斐なさにショックを受けてしまっているんだよ。真面目で、責任感が強すぎなんだよ、彼は。それに、生死を共にした女騎士ちゃんとの間に強い感情で結ばれて、その上、お互いを慰め合って、彼女も使命を果たせなかった、仲間を、親友を死なせてしまってショックを受けていたんだ、離れられれない関係になっていて、勇者サルヴィアちゃんを救うことは、救おうと思っているけど、出来なくなってしまっているんだよ。ロレンツィオ君、君しかいないんだよ!マリエッタちゃんも、手伝って。
「勇者様。あなたは、使命を立派に果たしたのですよ。」
はロレンツィオ君。
「わ、私は…あんなものに汚されて…。」
嗚咽を流すサルヴィアちゃん。
「この世界に洗い落とせない汚れなんかないんですよ、勇者様。」
ロレンツィオ君、よく言った。
「私も同じです。」
マリエッタちゃん。
「ち、違う…。あんな化け物と…。」
「いいえ…私の方がずっと汚れたんです。私は、心まで汚れたのです!。」
「おい…。」
「なにを?」
マリエッタちゃん、頑張れ!思いの丈を全て吐き出しちゃえ。
「私は、男の甘い言葉に唆され、主であるベアトリーチェ陛下を弑逆しよとまでしようとしていたのです、それが当然のことだ卑しい人間やダークエルフの汚れた血を持った女だのと決めつけたのです。本当に純粋なハイエルフなど存在していないというのに。ハイエルフ王国は、他のエルフ族、ハーフエルフ達、そして人間との提携によって成り立っているというのに。私は卑しい野心によって動いていたのです。でも、あなたは違う。あなたは、前世の記憶に引きずられて、騙され、汚された。でも、勇者としての理想を、心を汚してはいない!」
うんうん、マリエッタちゃん、よく言ったね、褒めてあげるよ。
「で、でも、あんな化け物に汚された私の気持ちは…。」
ああ、まだ言うか!ロレンツィオ君、頼むよ。
「この世に洗って落ちない汚れはない、先ほども言ったではないか。前世の私が原因ならば、私と共に洗おうじゃないか?」
「そうですわ。勇者様。」
おー、2人で優しく抱きしめてー、サルヴィアちゃん、抵抗できないよう~。まあ、僕がロレンツィオ君に与えた力が大きいんだけどね。
「わ、私を陵辱して…メチャメチャに…壊して…下さい。」
と喘ぎながら、何かを懇願するように口走るサルヴィアちゃんの耳元で、
「そんなことを言ってはいけません。自分を大切にして下さい、勇者様。」
とマリエッタちゃん。
ひたすら優しく、ねちっこ~く愛するロレンツィオ君。サルヴィアちゃんがぐったりしたら、マリエッタちゃんが震えるようにすがりついてきて…。
翌日、すがすがしい、何かから解放された表情のサルヴィアちゃんを見て、ホッとした顔の賢者様、ミケランジェロ君。それを違った意味で、ホッとしてのぞき込んでいる、傍らの女騎士ちゃん。
「幼なじみの賢者の妻に、橋渡しをした方が良かったのでは?」
ダメだよ、ロレンツィオ君、そんなことを考えては。3人とも、それは耐えられないんだからね。これが正解なんだよ、わかってね。
「2人には、これからも勇者様を支えて助けていってもらいたい。」
「もちろんです。」
と頭を下げる2人。2人は、今夜ベットインなんだよね。
勇者様とハイエルフ聖騎士様は、自然な態度で、王太子殿下を守るようによりそっている。決して、ベタベタとか、愛人関係とかを感じさせるものではないけど、親しさ、信頼関係の強さが自然と感じさせるね。ロレンツィオ殿下と勝利を祝い、今後の提携、友好を再洗礼派教会総主教の前で誓い合う女魔王様も、それを同盟国の一つとして正式に見守ることとなった西ハイエルフ王国女王陛下も、寂しそうな顔をしつつも、わかっているわ、という心がロレンツィオ殿下に伝わっている。
さあ、ロレンツィオ君、次に向けて快進撃だよ!サルヴィアちゃんも、マリエッタちゃんも、ロレンツィオ君に協力して頑張ってね!
「すっかり聖騎士様の顔ね。しかも、平常心で気負いも高まりもない、怖くなる程ですよ。」
「それは勇者様では、ありませんか?でも、以前お会いした時は、そうではないことをわかることすら私には出来ませんでした。なぜでしょう?」
「私も同じですよ。全てロレンツィオ殿下のおかげです。」
「そうですね。」
“なのに…。なぜかしら、前世の、あれほど…、記憶が遠くに、曖昧になっていくような?あれは、一体何だったの!”と二人。
次のことを話し合っているロレンツィオ君と女魔王様の背中を見ながら、2人は自分達の一段以上上の高見に登った境地を感じながら、前世の記憶に悩んでいた。まあ、本当はなかったことなんだから、ロレンツィオ君を知ったから消えかけているンだってば。
「もう、僕では助けることなど出来ない段階に…。ロレンツィオ殿下のおかげだ。僕には、とうていかなわないお方だ。」
「でも、殿下のご指示ですから、力及ばずとも…。」
「ああ、ともに微力だけども、勇者様を支えよう!」
「はい。もちろんです。」
はミケランジェロ君と女騎士ちゃん。仲良く、お幸せにね。僕とロレンツィオ君に感謝するんだよ!
で、ロレンツィオ君と女魔王様。
「まあ…お互い…次の世で…とにかく、あやつめ聖女を利用して、我が方に全面攻勢をかけようとしておる。王太子殿下の見込み通り。予定どおり、待ち構えて、撃退、追撃か?結構、やっかいな数と状況だぞ。」
「こちらには、勇者様も加わったし、他の聖女達も揃ったさらに、小さいながらも、魔族と人間が提携した国も加わる。」
「万全ということか?」
「まあ、魔王様が頼りだがね。」
「こいつ…。我もお前を頼りにしておる。」
2人は笑い合った。そう、次の相手は聖女ちゃんだよ、ロレンツィオ君!
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