第31話 みんなを娶って・・・そして看取って・・・ありがとう (最終回)

「久しぶりに、みんなで集まれましたね。」

 すっかり王妃の余裕の笑顔を浮かべたオルシーニちゃんは、王宮の自分の小さな庭園の東屋に、5人女性達とテーブルを囲んでいた。侍女達が、お茶やお菓子を皆の前に置いた。

「今日は、みんなでゆっくりと。皆さんも当分、王都に滞在でしょう?」

と微笑むオルシーナちゃん。

「昨晩は、陛下を独り占めして・・・どうでした?」

 トルナちゃん、聖女としてはしたない言葉は厳禁だよ。

「とても、幸せでしたよ、久しぶりでしたし。」

といたずらっぽく、オルシーナちゃんは、マリエッタちゃん、サルヴィアちゃん、トルナちゃんの方を見た。邪気はあまりない、少しは皮肉も嫉妬はあるということだよ、念のため。

"愛の営みを、陛下、ロレンツィオ様から・・・皆の協力で教えてもらったのよね。それ以前は、欲望の吐き出し先でしかなかったことに、ようやく気が付いたのよね・・・。"

 あの戦いの2年後、ロレンツィオ君は、晴れて父、国王から正式に王位を継承。国王となり、オルシーナちゃんは王妃になったんだ。

 戦争だ、外交、国内視察に多忙なロレンツィオ君の留守を守りながら、サロンを主催して、情報の収集、発信などに忙しいオルシーナちゃんと、それぞれ目的によってロレンツィオ君に同行してゆく5人。

 今回は、マリエッタちゃん、サルヴィアちゃん、トルナちゃんを従えた遠征。

「3人とも、陛下と毎日一緒で、ずるいですよ…。」

「それは…、ねえ?」

「お役目ですから…。」

「私は、後方の砦とか神殿に、ということが多かったですから…。戦場で、お二人は陛下と天幕の中での仮ベッドや寝袋を一緒にして、時にはハンモックですら一緒に、皆の目を盗んで…ともっぱらのうわさ話でしたわ。」

“こ、この裏切り者!”と二人。

「でも、神殿や砦に帰った時は…。」

「一晩独占させてもらってたんですよ!」

と2人から反撃を喰らって、ペロリと舌を出すトレナを見て、5人が噴き出した。

「まあ、ロレンツィオ様の悪行…頑張りを話しあいましょう。さあさ、お茶が覚めてしまわないうちに、御菓子と一緒に。」

とオルシーナちゃん。

「そうですね。今晩からに備えて…。」

とヴァーナちゃんが、御菓子を食べる手の動きを再会した。

「私とオルシーナ様の御菓子作りは、ロレンツィオ様のためのものに…。相変わらず、ロレンツィオ様に、陛下に、ご苦労をおかけするためのものですね。」

 前半がかえって、皆の黒歴史をぶり返しかねないことに気づいて、後半で笑いをとった、つもりなんだよね、イッポリートちゃん?


 そうやって、彼女達が頑張れる日々を作ってくれたね。ロレンツィオ君?

 三位一体教会教皇様のところに、会談で呼ばれての騙し討ち、君と6人は協力しあって、切り抜けて母国に帰還、その壮烈な、同時に甘~いお話しは世界に広まり、スレイマン大帝は大笑い、庶民までが面白がったよ。ただ、3人の女性だけが、悲しそうな顔をしていたけどね。

 王妃オルシーナちゃんが、まずはじめに亡くなって、続くように残りの皆が亡くなった。

 君は、

「誰を一番愛していましたの?」

「もちろん、君だよ。」

と誰にでも臨終際に、耳元で囁いた、こんの~嘘つきー!非難してないよ、それでよかったんだ。この世界の維持は、彼女達のハッピーエンドが要だからね。

 王位を甥っ子に譲り、後見して6年、もう大丈夫だよ。

 約束の日だからね、ご苦労様。あらためて、お礼を言うよ。ありがとう。

 あの3人、オルシーナちゃんより前に亡くなって…臨終の時は、生まれ変わったら、今度こそ君とと結ばれたい、って願っていたけど、ごめん、異世界転位の君とは、それができないんだ。本当にごめん。では、安らかに。君の魂は、君の元の世界に戻すから…。さようなら。


「何で、また?」

 なんて顔しない。分かっているよ、約束が違うというのは。

 また、新しい世界が、似たような世界が生まれたんだよ。それが色々あってね…、そのあんたがまた失敗をやらかしたんだろう、という顔をしないでよ、ぼくじゃないから、旧知の女神から泣きつかれてさ、今度はチート級のスキルをどっちゃりあげるから、お願いするね。選択の余地はあげないからね、じゃあよろしく。


最終回です。外伝というかを二つ付け加えます。よければ読んでい下さい🙇‍♂。

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