第26話 どこから始めればいいかな?

“え、え~と~、どこから始めようか?”ロレンツィオ君、女性の哀れな格好に見とれているんじゃありません!まあ、ここで縄を解くとか、別室に運んでからとか、色々あるけど、どちらも彼女には恥ずかしいからね。迷うのも分かるよ。4人ちゃんは…こちらも呆然中か…無理もないなあ。ロレンツィオ君、決断だよ!

「あれ?」

「ロレンツィオ君~!僕だよ~、忘れちゃった、ぼくのこと~?最高神様だよ~!五人めのヒロインちゃん、落ち着いたよーだね、よー色男~!でも、その格好、恥ずかしくないの~?」

「あなたが…その…その最中に呼び出したからではないですか?」

 マキャベリ君が、布で覆いをしてその中で彼女の縄目を解いて…と提案、レオナルド君が、それでは、と周囲にあるものを寄せ集めてテントのようなというか、の密室的空間を即席に作ったんだ。マリエッタちゃん達が、中に入って…しばらくして布で全身を覆った1人を連れた3人が出てきた。まずは浴室、それからは…。

「相変わらず、君のジゴロぶりには頭が下がるね。五人めのヒロインちゃんも納得して、満足させたんだ。ついでに4人とも…、このスケベ!」

「まあ、みんな見ておられたわけですから、弁解はできませんけど、元々は最高神様の言いつけでしょう?」

「そうだよ!だから、責めているんじゃなくて、褒めて、感謝感激しているんじゃないか、分からないかい?」

「それはありがとうございます。」

 彼は、ため息をついた。失礼しちゃうなあ。

「で、これから如何するのかな?あと1人だけど。」

 また、ロレンツィオ君は大きなため息をついてー、本当に失礼だな。

「事後処理と東西ゴート神聖帝国と話をつけて、海の魔王討伐に向けての準備…。それから、彼女、ヴァーナの処遇、特別な異能のない2人目ですから…。」

「そうだね~。まあ、君が考えてよ。彼女は御菓子作りより、事務管理にむいていると思うよ。」

「しかし、行政官や副官、側近の職務を…。」

「他の4人のための事務管理なら?」

「ああ、それがいいかもしれませんね。」

 どう?いい考えだろう?感謝しなさい!

「いや。」

 何、僕に逆らうの?

「聖騎士、勇者、聖女には、外で戦って、あるいはやってもらうことが、ありますから、彼女には外で彼女らへの支援と連絡役をやってもらいましょう。イッポリートには、彼女と私への連絡役、物資補給、そして帰ってきた時の世話を役目としましょう。それではダメですか?」

 ま、まあ、その方がいいかな?

「分かったよ。合格だよ。」

 その疑わしいという目は?僕の威厳のためにも、素直に僕に騙されなさい。

「じゃあ、オルシーナちゃんを救うために頑張ってね!いよいよクライマックスだからね。」

 彼を元の時空間に戻してあげた。ノロノロと起きあがって、そばに寄り添う5人に、オルシーナちゃんを救うことを説明した、こんこんと。5人とも、大人しく聞いていたし、素直に頷いた。うん、合格だよ!みんなで、ロレンツィオ君を助けてあげてね!

「兄上。あまりにも寛大過ぎるのではありませんか?」

 イケメン、文武両道のイケメン俳優のジュリアーノ君、当然かもしれないけどさ、余計なことはいわないでね!執務室、砦の中に急ごしらえで設置した、に二人っきりになった時に、思い余って、王弟ジュリアーノは、兄ロレンツィオに訴えた。

「国民が納得しないのではないかと?」

 ジュリアーノ君は頷いた。

「一般の庶民とて、なんとなく六人が庇われていると感じているでしょう。それに、皆一度は・・・。兄上の後を、王位を、彼女達の子供の誰かが継ぐということは、反対するかと思います。」

ジュリアーノ君は、本心から心配しているのは確かなんだよね。かれには邪気はないんだ、よくできた弟の見本みたいな男なんだ。ぼくには、よ~くわかりますよ。

「お前のいう事は正論だ。だから、私は彼女らとの間に子供ができたとしても、王族とはしないし、ましては王太子にもしない。だが、私は彼女ら以外の妻は、愛人も含めて、娶らないつもりだ。」

「は?それでは・・・?」

 戸惑うジュリアーノ君に、

「お前の長男を私の養子にし、王太子の位につける。お前に王位を継がせるか、私が退位してお前に王位を譲るのもいいが、やはり長子が継ぐという秩序を壊すわけにはいかないからな。」

 「しかし、あの子はまだ三歳で・・・。」

 オルシーニちゃん出奔からしばらくして、彼は結婚、しかもすぐに息子、少しま前に娘を設けているんだよ。

「ああ、養子にするといっても、君達から引き離さないよ。彼が成人して、国をまかせられるようになるまで、私が国王となっている。彼に譲った後も、助力するよ、死ぬまで。」

「兄上。そこまで、お考えになられていたんですか。」

 ロレンツィオ君は、黙っていた。ジュリアーノ君には、これ以上聞くな、と言っているように思えたけど、ロレンツィオ君は次に謂うべき言葉が思いつかなかっただけだよ~、ね?ロレンツィオ君?間ができてしまって、何とか繕おとして、いつもは賢明なジュリアーノ君には似合わないことを口に出しちゃった。

「いつも、5人相手にしては、さしもの兄上とて…子供ができませんよ。さらに1人増やすおつもりだし…。」

と軽口を言ってしまったんだ。言ってからしまったという弟君の顔を見て、

「妻を愛し過ぎる、人の十倍は愛でているお前ほど元気ではないよ。」

「だ、誰がそのようなことを。」

と兄の切り替えしに動揺したジュリアーノ君だけど、ロレンツィオ君が笑い出したので、釣られて笑い出しちゃった。実は、ジュリアーノ君夫婦の夜の奮闘ぶりは、僕がロレンツィオ君に話したんだけどね。それはそれは…。

 こほん!

「公表は近いうちにする。しかし、その前に、海の魔王との戦いだ。陣頭指揮をとるから、後は任せる。他国からの侵攻もあるかもしれないから、十分注意してくれ。」

「分かっております、兄上。」

 さあさ、2人とも、最後の詰め、しっかりとね。

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