第24話 3人は優しいお姉様してよね。
「ご息女には、苛酷な役目を与えてしまい、申し訳ありません。」
「で、殿下。そのような…もったいない…お言葉。国への義務を果たしただけ…父娘納得の上のことで…。」
両肩を支えられ、ロレンツィオ王太子と父伯爵、そして居並ぶ軍幹部、貴族達の前に姿を現したイッポリートちゃんに視線が集まった時のこと。2人の三文芝居、でも、まあ、公式には納得されたということで。まあ、イッポリートちゃんの姿は、その場では同情を誘うものだったけどね。
その後、勇者様達に伴われて…3人とも優しいお姉様の役割、しっかり頼むよ。
執事君と侍女ちゃんは、よく分かっているようだね、感心、感心。この社会なら当然なんだけどね、それが分からない…あーそれは言わないことにしなくちゃねー!
勇者様、聖騎士様、聖女様が浴室に、即席に作った、砦内のそれだけど、にイッポリートちゃんを連れて行った。随分、臭いが気になる程度になっていたからね、イッポリートちゃんは、ようやく気が付き始めたところだったけどね。
執事君と侍女ちゃんは、素知らぬ顔でイッポリートちゃんの下着を持って、洗うために出ていった、さすがにプロ!恥ずかしさや罪悪感などで頭がいっぱいのイッポリートちゃんを、3人がかりで慰め、体を洗い始めた、偉いよ~!
イッポリートちゃんはやや小柄だから、本当にお姉さん達に可愛がってもらっている、という感じだね。彼女が、口にする後悔、愚痴、罪悪感、自分の理想の勘違いなどの言葉を受け止めて、
「私とて同じ・・・。」
と優しく語る姿は、そう言いながら自分も浄化したいということが感じられたけど、それがかえった安心感を与えている。
「私達4人は、ともにロレンツィオ様の力になりましょう。」
うんうん、よく言ってくれた。
ロレンツィオ君を含めて5人は、円卓の席についていた。イッポリートちゃんは、ロレンツィオ君の対面の席に座っていた。どうでる?第一声は?ロレンツィオ君!
ロレンツィオ君は、まず円卓、テーブルに両手をついて頭を下げた。
「え?」
とイッポリートちゃん。
「で、殿下?」
は3人のハーモニック。
「すまない。私が婚約者への配慮が足りなかったために…としか思えないのだが…あの夜のことがあった。そのせいで君は、父上に…。その結果、君は執事と侍女とともに、このようなことになってしまった。全ては、私から始まった、私のせいなのだ。君達3人には、申し訳なく思っている。」
「ロレンツィオ様…王太子殿下。どうか頭をお上げください。殿下には、何の罪もありません。全ては私の…。」
と涙を流しながら答えるので精一杯でした。
「遠回りで…そもそも最初は…しかし、それも縁と思い、ともに、私と…私達と過ごしてもらえないか、イッポリート殿?」
ロレンツィオ君が上から覗きこむようにして言うと、脇から、
「私達も、それを望ます。」
「ともに、時を刻みましょう。」
「皆で、神へ祈りを捧げましょう。」
慈愛に満ちた3人の笑顔が…、いいよ~。ちなみに全員全裸だよ~ん。
「皆さん。まずは、サンドイッチと御菓子とお茶ですよー!」
イッポリートちゃん、チーズやハム、ソーセージに辛子やお手製即席ソースを絡めて、パンに挟んだサンドイッチ、木の実などをまぶしたお手製即席焼き菓子とハーブを厳選して、かつ木の実も入れた、これまたお手製即席のハーブ茶をテーブルに並べてにっこり微笑んでいた。
「私は、ロレンツィオ様のためには、皆さんの元気を高めることしかできませんから。」
頬張る3人と、イッポリートちゃんから手渡されるサンドイッチを口に運び、和やかな笑顔を浮かべながら食べるロレンツィオ君。
「あれ?」
既視感が、“でも、違う。似て非なるもの?”そうだよ、イッポリートちゃん。ここには、本当の温かさがあるんだ、あいつらは貪っていただけなんだよ。君は、自分で幻覚を半ば作っていたんだよ。
5人は、出陣の前のしばしの時間を、食べ、飲みながら、歓談を楽しんだんだ。“こんなのは無かったわ。”うん、うん、その通り、よく気が付いたね、褒めてあげるよ。
「あ、それに多少の武術は心得ています。ロレンツィオ様の、殿下の護衛…いえ、身をていした盾くらいにはなれますわ。」
付け加えるように強調したんだけど、それは後方に置かれたくない、ロレンツィオ君のそばにいたいという気持からなんだよ、健気だよね、ロレンツィオ君、分かってあげているよね。
「殿下の剣や槍、体術を侮ってませんか?」
マルガリータちゃん。
「悪く見ても、殿下に勝てる正騎士の方の方が少ないくらいですよ。」
これはサルヴィアちゃんだよ。
「銃砲の扱いは、名人級ですよ。魔法は、防御結界、回復、支援、灯り…少なくとも身を守れますよ。」
あまり弁護になっていないよ、トレナちゃん。
お姉さん達、3人はイッポリートちゃんの身を心配して言っているんだよ、嫉妬して遠ざけようとしているんじゃないからね!
「あ、それなら、弾込、火薬の装薬なんかもといいです、これは絶対!あいつらときたら、銃砲をもっともっとと言いながら、火薬の配分も何も全くダメで、ほとんど私がやってたんですから!あ、打ち方だって、私が見本を見せて、撃ったんですよ~!」
胸を、豊かな胸をさらに、はって、強調した。3人は、それなら、という顔。
“こいつの射撃か、損害が出たのは…。”とため息をつきかけたロレンツィオ君だけど、
「4人とも一緒に来てくれ。皆、私の妻なのだから。」
おくびにもださずに、にっこり笑って良く言えました!
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