第20話
「方位〇×にワイバーンを複数発見、こちらに向かってきますっ」
伝声管から見張りのくぐもった声が聞こえた。
「ワイバーン飛行団ですね~」
アルテが言う。
カイラギがマイクを取った。
「総員、第一種戦闘態勢、これは訓練ではない」
「飛行艇と飛竜、
「繰り返す、これは訓練ではない」
艦内放送が流れた。
カイラギが腰のホルスターから、大型のリボルバー銃を取り出した。
シングルアクションのコッキングレバーをハーフ位置に。
ジャラララ
大口径の弾丸が四発入ったリボルバーが回る。
柄には眼帯をつけた髑髏のマークが入れられていた。
ガキン
ハーフのコッキング位置を戻し元のホルスターへ。
他の乗組員は、ボルトアクションの小銃を持った。(←この世界の銃器は大体、西部開拓時代で止まっている)
「
――もしかしたら、お迎えかもしれませんし
手には大きなポールアックス。
”雪の結晶の徽章”の入った旗が結ばれていた。
アルテを表す徽章である。
「……どうぞご無事で、本艦に何かあったら迷わず逃げてください」
カイラギがスッと敬礼をした。
「カイラギ様……無事もう一度会いましょう」
答えるアルテの瞳は少し桜色の染まっていた。
◆
「
サクラギが飛行艇、”ネコジャラシ”に走る。
キュウウウウ
整備士が、スターターを回し魔術式ジェットを始動していく。
ゴオオ
前後の魔術式ジェットが目覚めた。
サクラギが操縦席に飛び乗る。
ハンドルを回し可変翼を開く。
その間に木の車輪のついた台車に乗せられた、”ネコジャラシ”がエレベーターへ。
「私も行きます」
リリスが後席に飛び乗る。
狭い飛行艇のコックピットにロングスカートは無理がある。
彼女の侍女服はミニスカートになっていた。
「おお」
「おおおお」
ざわざわ
整備士たちの手が止まる。
飛んでいるリリスのガーターベルトと黒いショーツが丸見えだ。
「……リ、リリスさん、スカートの中が見えてますっ」
サクラギが手を止めて言った。
「? はて? 見られてもいいものを履いているつもりですが?」
リリスのサキュバスムーブ炸裂。
見せショーツというやつか……?
「リリスさんっっ、僕以外に見せないでっつ」
サクラギの魂の叫び。
「まっ、まああ、うふふふ」
「嫉妬かしらっ、独占欲かしらっ」
「続きは帰ってからですねっ」
リリスがとてもうれしそうに笑う。
「ネコジャラシ、出撃はどうしましたっ」
艦内放送だ。
「すいません」
「ごめんなさい」
リリスに見惚れていた整備士とサクラギが大声であやまった。
◆
「行くぞっ、”ピーテッド”」
グルル
”ピーテッド”と呼ばれた飛竜が低い声で答える。
烏帽子のような兜。
魔動甲冑を身にまとい、手にはランスと畳のような盾。
右肩には赤い薔薇の徽章。
左肩にはコーン状のスパイク。
飛竜にも重鎧がつけられている。
大きな
「ギルモア、”ピーテッド”、出るぞっ」
タンッタンッタンッ
第三甲板を、グレーターワイバーンの横を通り、艦橋の下を抜け、艦首から発艦する。
重装甲の竜騎士は、背後に巨大な三段空母を背負って飛んだ。
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