第5話
夜が明けて次の日である。
「軍本部に連絡しました」
カイラギの前にいる背の高い女性とメイドに声をかけた。
”アルテ”と”リリス”がソファーに座っている。
「アルテ様は魔族の王家の方なのですね」
カイラギが確認した。
「はい、第一王女になります」
アルテが答える。
「これから本艦は、”皇立魔術学園”のある都市、”フラワーポッド”に向かいます」
◆
ここは、”ハナゾノ帝国”。
東にイグノット海。
西にシェルダの森。
北には
南には、”マジワリの森”。
”マジワリの森”を超えると魔族の国があると言われている。
”皇立魔術学園”は、”マジワリの森”の近くにある都市、”フラワーポッド”にあった。
”皇立魔術学園”はその名の通り、魔術や魔族、魔獣や瘴気を研究する学園である。
”マジワリの森”には沢山魔獣がいて、過去に度々、
魔族や魔獣研究の最前線を走る学園である。
さらに、飛行船の開発と研究も有名であった。
◆
「はいです~」
「わかりました」
アルテとリリスが魔術学園に向かうことを了承した。
◇
グルルル
「大きな船ですね~」
今、カイラギとアルテは三段飛行艦の一番下、飛竜用の竜舎にいた。
目の前には、グレーターワイバーン。
大きさは中型のトラックくらい。
脇に二人乗り(タンデム)用のくらが外しておいてある。
巨大な運搬用エレベーターが、一段目の飛行甲板まで貫通している。
本来なら二段目は、飛行艇用の格納庫だ。
ブリッジは二段目の前方にある。
今二段目は、作業場兼、補給物資の倉庫になっていた。
艦の中央には重厚な装甲をしたシタデル構造。
前と後ろは大きな扉で開閉式である。
「ええ、”補給工作飛行艦、
「元は、三段飛竜飛行艇空母でした」
老朽化して旧式化したため改造されていた。
「まああ、大きくて凄いですわ~」
グレーターワイバーンの鼻先を撫でながら周りを見渡した。
H型の鉄骨。
最大六騎の飛竜の運用を想定されていた。
「しかし魔獣ですよね」
カイラギが、ワイバーンを見た。
グルウ
「……姫様が、”肉体言語(物理)“で
リリスはグレーターワイバーンの尻尾がおびえて丸まっているのを見ながら言った。
「マカロンちゃん、いい子、いい子~」
アルテはグレーターワイバーンの鼻先を優しく撫でている。
「艦長、”フラワーポッド”が見えてきました」
「
艦内放送が鳴った。
壁にある伝声管の蓋を開けた。
「了解、すぐに向かう」
「目的地が近づいてきました。 ブリッジに来てくれますか」
カイラギが二人に聞いた。
「わかりました~、いい子でいるのですよ~」
ワイバーンがコクコクと首を縦に振る。
「姫様……」
リリスがその様子を少し呆れた目で見ていた。
ーーしかし、ワイバーンは凶暴な魔獣だったような……
カイラギが不思議そうに小首をかしげた。
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