第10話
ヴィイイ、ヴィイイ
「これは訓練である、これは訓練である」
「全騎(機)、
三段空母、
一段目の滑走路から、
「ラフロイグ、
タンタンタンタン
バッ
少し走ってから甲板の端から飛び立つ。
二段目にある平型艦橋から下に、がっしりした竜が飛び立つのが見えた。
「え~と、アルテアレ、グレーターワイバーン、”マカロン”出ます~」
同じようにアルテが黒いワイバーンに乗って、一段目から飛び出した。
「サクラギ、飛行艇、”ネコジャラシ”出ますっ」
ゴオオオ
可変翼を全開にした飛行艇が、三段目の上部飛行甲板から垂直離陸した。
「全騎(機)発艦終了、編隊を取れ」
「「「了解」」」
魔導無線から声が流れた。
ブンブンブン
巨大なプロペラを回しながら空母が空を飛んでいる。
その前方に、先頭に飛竜。
左後ろに、ワイバーン。
右後ろに、飛行艇。
三角形の形に並んだ。
「続いて着艦訓練に入る」
「「「了解」」」」
無事、
◆
艦の二段前部、平型艦橋(フェリーの操舵室のような感じ)から横に出た外部通路。
カイラギがコーヒーを片手に外に出ていた。
「あ、アルテ王女、訓練に参加していただきありがとうございました」
通路の奥から長身の女性が歩いてくる。
「いえいえ~」
「本来なら本艦が全力でお守りするのですが……」
――いかんせん退役間近のロートル艦だ
「いざとなったら、リリス様と一緒に本艦からお逃げください」
――魔の森の上空を超えて、魔族領へ
何があってもおかしくないのだ。
「そんなことは出来ませんよ~」
アルテ王女が少し頬を不満そうに膨らませて、
「この艦と一緒に戦いますわ~」
「……そうですか……」
ふっ
自分は自嘲気味に笑った。
「ハナゾノ空軍名物、薄いコーヒーでもいかがですか」
「いただきます~」
艦橋に後ろにある給湯室で、コーヒーを入れてアルテ王女に渡す。
外部通路の前は大空だ。
白い雲が足の下に見える。
二人で並んで薄いコーヒーを飲んだ。
「ふ〜、ふ〜」
猫舌なのだろうか、息を吹きかけながらゆっくり飲んでいる。
彼女の瞳が薄く桜色に色づいていた。
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