第19話
南にあるワイバーン飛行隊の基地に
ファイヤワイバーン四小隊、計十二騎。
ブラックワイバーン四騎。
が出撃する。
ファイヤワイバーンは小型でファイヤーブレスを吐く。(戦闘機という感じ)
ブラックワイバーンは大型で爆発属性のブレス。(爆撃機という感じだ)
「小隊長、鉄の空飛ぶ船が森の向こうから来たって本当ですか?」
肩に、”Ⅳ―Ⅲ”(←第四小隊の三番騎の意味)と書かれた女性が、魔術無線で聞いた。
「あっ、それって、”雪の徽章”をかかげてるんでしょう」
”Ⅳ―Ⅱ”と書かれた男性だ。
「むっ、小隊内無線に切り替えろ」
”Ⅳ―Ⅰ”と書かれた男性が答える。
三人が切り替えた。
これで小隊内だけの会話になる。
「……そうだ」
小隊長だ。
「じゃあっ、行方不明のアルテ王女が乗っておられるんじゃあっ」
女性である。
「えっ、その船には無警告の撃墜破壊命令が出てますよね」
”Ⅳ―Ⅱ”の男性だ。
「……今王都で何か事件が起きてる」
「王弟ですかっ」
王弟の亜人嫌いは有名である。
ちなみに、この女性の夫はドワーフだ。
第四小隊の武器やワイバーンの鞍のメンテなどのお世話になっている。
「このままじゃあアルテ王女を……?」
”Ⅳ―Ⅱ”の男性だ。
「くっ、命令だ……」
小隊長が苦し気に言った。
◆
「ふはははは、これでやっと、魔薬の密売が再会できるぞっ」
王国騎士団長だ。
名を、”スカ―リ”と言う。
「ふふふふふ、奴隷の密売もだっ」
ワイバーン飛行団長である。
名を、”ザッパー”と言った。
王都のある屋敷。
スカーリ王国騎士団長とザッパーワイバーン飛行団長が大声で笑う。
手にはお酒の入ったグラス。
「ええ、これからも良き商売を続けていきましょう」
その前には商人風の男性。
彼は人族だ。
ハナゾノ帝国の西の貴族である。
この地は昔から、竜教会原初派の拠点があり。魔薬や奴隷の密売が盛んであった。
少し前から、”レンマ”と、”シルルート”、”ハナゾノ”、”ヘタリナ”の周辺国が協力してこれらの根絶をしているところだ。
「マジーンも良く踊ってくれるな」
「単純バカだからなあ」
二人が王弟であるマジ―ンを馬鹿にした。
「”亜人奴隷法”を出させるんだろう」
「そうさ、これで亜人を堂々と奴隷に出来るな」
「ふふふ、そういえば
「そうかそうか、また狩っておくよ」
ワイバーン飛行団長が答えた。
王と王妃を追い出した王都のことである。
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