第42話
首都、”パンデモ”の南で、ユキメたちと王国騎士団の戦いが始まった。
同時に、北から三段空母、”
ヴィイイ、ヴィイイ
飛行艦、”
「前方に、敵影多数」
「ワイバーンですっ」
「うむ」
カイラギが、艦橋の前の窓越しに、双眼鏡を覗き込む。
「ワイバーン
横に、遠くを見る様に額の上に手を置いたアルテが並ぶ。
「約八十騎といったところですか~」
青い雲の間から黒い塊が翼をはばたかせながら近づいて来る。
カイラギが艦長席に戻り、艦内放送委のマイクを取った。
「総員第一種戦闘態勢っ」
「艦載機(騎)前機(騎)出撃っ」
「「「了解っ」」」
「わたしも行ってきますわ~」
アルテがグレーターワイバーン、”マカロン”で出撃する。
「……お気をつけて」
少し心配そうにカイラギが言った。
サクラギとイリスの乗った、可変翼飛行艇、”ネコジャラシ”。
下部(三段)甲板から、
竜騎士、”ギルモア”と飛竜、”ピーテッド”。
クノイチである、”イーズナ”と、クファルカンのシノビ二人と
ワイバーン小隊、三人。
計9機(騎)が
艦は並速で前進。
「艦砲の射程に入ります」
エルフの砲術長、”シャシャル”が言った。
それぞれ二本の砲身がワイバーンを指向する。
「うむ、つるべ撃ちで砲撃開始っ」
「撃てえっ」
大砲が巨大な鉄の杭を撃ち出す。
ワイバーンは、砲弾の直撃は言うまでもなく、横を通り過ぎただけでも衝撃で、防御障壁をはがされ墜ちていった。
右に並んでいた、”アッシュオブイグドラシル”も砲撃を開始する。
ワイバーンのブレスが届く距離まで近づくころには、ワイバーンは約半数、四十騎まで数を減らしていた。
ワイバーンが近づいてくるとニャンドロスの移動要塞が前に出た。
巨大な亀の甲羅の真ん中には神社。
その周りを和風の城壁が囲む。
城壁には、腰に日本刀、自分と身長と同じ長さの和弓を持った鎧武者。
ニャンドロスの民は優秀な”弓取りなのだ。
「破魔矢を放てえっ」
武者たちが、対魔法障壁の特性を持つ矢を放つ。
一射目で防御障壁を、二射目で本体のワイバーンを落としていった。
さらに、アッシュオブイグドラシルに装備された対空銃座でワイバーンの数を減らす。
「
アルテのグレーターワイバーンを先頭に九機(騎)が、上空から敵ワイバーンに降下して言った
◆
「な、何が起こっているんだっ」
ワイバーン
ヒイイイ、ヒンッ
鏑矢が出すような音を出しながら巨大な鉄の杭が飛んでくる。
パン、パパパン
直撃はめったにないが、横を通り過ぎるだけで、ワイバーンの防御障壁が乾いた音を出しながら砕け散った。
さらに、防御障壁で止めきれず、翼を破られ墜ちていくものが多数。
「くっ、前進だっ、そこのお前、私の前に出て盾になれ」
スカーリが叫ぶ。
ワイバーンの交戦距離までまだまだ遠い。
――亜人たちと戦いたくない
という理由でサボタージュやボイコットされ、本来なら百二十騎いるワイバーン隊は、八十機しか集まらなかった。
士気も低い。
何とか、隊を半数まで減らしながらブレスの射程距離に近づいた。
「は、破魔矢だあ」
元々ワイバーンは弓兵に弱い。
それに加え、防御障壁を壊してくる破魔矢だ。
バタバタと味方が落ちていく。
パパパパパパ
流線型の空飛ぶ船から小さな杭のようなものがたくさん飛んでくる。
対空銃座だ。
「耐えきれないっ」
防御障壁に小さな杭が連続で当たり砕け散る。
「
凛とした女性の声が不思議と戦場に響いた。
「グレーターワイバーンだっ」
「りゅ、竜騎士もいるぞっ」
「クファルカンの大鴉っ」
「鉄の機械がっ」
ワイバーンと飛竜、大鴉と飛行艇が、残っていたワイバーン飛行団にとどめを刺した。
残ったワイバーン
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます