第31話
「鋼鉄都市に飛ぶのじゃ」
黒いネコミミと二股の尻尾。
ニャンドロスを統べる、”
巫女服を着た美少女である、”ヒミャコ・クロ”が言った。
「鋼鉄都市……ですか?」
カイラギが答える。
「そうです。 鋼鉄都市、”アイアンフェロ―”」
「瘴気(まじわり)の森の向こうから来た人たちが作った工業都市です」
”タマ・ミケ”と名乗ったこの国の宰相が言う。
やはりネコミミに二股の尻尾。
「そうじゃ、そこには、飛行艦の技師がいたはずじゃ」
「そなたらの船を直せるじゃろ」
飛竜飛行艇三段空母、”
特に、艦体横のティルトローターが一器、完全に壊れていた。
「今は秋じゃ、アジ―ン王が王都と国を取り返すための
確かにアジ―ン王たちは、春に反撃に出るつもりである。
――情報が早い
イーズナがピクリと反応した。
クファルカンにも猫好きはいるのだ。
まあ、冬に
三カ月の時間の猶予がある。
カイラギが答える。
「それと、竜騎士を……貴国、ハナゾノ帝国に送るのじゃろ」
「はい」
報告のために、ギルモアと飛竜、ピーテッドを帰らせるつもりだ。
「なら、貴国の国民と船を保護していることを書いた親書を持たせよう」
「我が国は、カツオブシの貿易を望むのでな」
「ならば、わたしも行きましょう」
イーズナが言った。
「それは……」
カイラギが考える。
――確かに、第二王女であるイーズナ様が行ってくれれば
「”忍法、写筆の術”でお父様と連絡も可能ですね~」
アルテがのんびりと答えた。
「そうですね、王の花押をつければ、正式な親書になります」
花押とは、筆で書く印鑑のようなものだ。
イーズナが答えた。
「わかりました、行っていただけますか?」
カイラギがイーズナに聞く。
「はい」
イーズナがコクリとうなずいた。
カイラギ達は、謁見を終えた後鋼鉄都市、”アイアンフェロ―”に向かう。
◆
「あれが、鋼鉄都市、”アイアンフェロ―”ですか」
瘴気の森から流れ出るナール河。
河の水を利用するために河沿いに作られた工業都市である。
何本か煙突が立っており白い煙を吐いていた。
所々に風車が回る。
艦長席に座るカイラギの隣の椅子には、アルテが座っていた。
「そうですね~、人界から奴隷として売られてきたり、迷い込んだりしてきた人たちですね~」
アルテだ。
飛行艦の隣には、ミャトが猫巫女のアーケロン
王都に案内したのと同じようにここまで案内してきた。
飛行艦、
「ヒミャコ様から連絡は届いている」
「三段空母とは年代物じゃのう」
二人の男性の声が無線から聞こえてきたのである。
「飛行艦用のドッグに入ってくれ」
無線の後、都市の外壁の一部が開いていく。
開いた壁の左右には、赤と緑の誘導灯が点滅していた。
中には左右にクレーンがある乾ドッグが見えて来た。
「了解しました、減速、緩やかに高度を下げつつドッグへ着陸準備」
「了解」
操舵士が、転舵輪をゆっくり回しながら答えた。
冬の間の三カ月間、鋼鉄都市、”アイアンフェロ―”で、艦の修理と改修が行われることになった。
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