第35話

愛奈・T・ウォーカー。

十六歳。

外国で生まれた父とこの国で生まれた母を持つ。

ダブルというやつか?

その辺は分からないが、県立青南高校の二年生であり、エクソシストだ。

エクソシストというとこの国の言葉で悪魔祓いだ。

本当にそのまんま。

彼女は嘘偽りなく正真正銘のエクソシスト。

この名前を聞いて連想するのは漫画、映画など十字架を持ったイメージだ。

十字架など聖水を使い、祈りを謳い人にとりついた悪魔を祓う。

そんな感じ。

けれど、僕が出会った愛奈・T・ウォーカーは少し違う。

後で、詳しく話すが、少し違うのだ。

確かに神への祈り、十字架などイメージ通りの方法はとるのだが、そこにプラスアルファが付随する。

もう一度いうが彼女は正真正銘のエクソシストだ。

そんな彼女に出会ったのは青南高校。

おんなじ学校の生徒だった。

そして何かの因果か彼女と関わるきっかけは僕の中に残っている悪魔の残滓。

悪魔の力。

彼女はエクソシストとして僕は悪魔のなれの果てとして出会った。

語るのに苦労はない。

けれどそれはまた痛くて苦い話だ。

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