第21話
──柊と友達という関係になり二日がたった。
しかし中学生のときから友達というものを知らない僕はどう接すればいいのか少し迷う。
そういうことは頭の片隅に置くことにしておいた。
柊の周辺で悪魔だのなんだのというのは彼女の口から聞いていない。
嘘はついてはいないと思うけれど油断はできない。
ただ柊自身には問題がないと思った。
何故かって?
悪魔を呼び出す為には心から思う真実の願いが必要だからだ。
その時、僕は結界を破壊し何かを企む人物を探す方を秤にかけ優先した。
これが間違いだと気付くのは先のこと。
順番を間違えたと。
彼女の思いに気付かなかった。
だって誰にでも問題はあるものだろう?
───水曜日。
働く者にとっては休日まで後二日という週の半ば。
僕は朝からずっとどうするか悩んでいた。
デビルスターをばら蒔く犯人を探すにはまずどうすればいいか。
整理した情報をまず復唱する。
女の子であり、僕と同じ青南高校の生徒である。
身長は高い方。
しゃべり方に特徴があるとかないとか。
情報の量が余りにも少なすぎてわからない。
けど考えてみれば犯人は結界を壊したという過去の事実がある。
犯人の足跡を辿れば追いつくだろうか?
そう思って僕はモッチーに借りた地図を使うことを決めた。
──放課後、僕は黒羽に先に帰るとメールを送り、地図を取りに自宅に立ち寄る。
青南高校からは徒歩で二十分くらいのところだ。
だからそんなに時間はかからない。
ただ歩くのが面倒だが。
ふとポケットに手を入れ携帯電話を取り出し開く。
画面には着信を告げるアイコンは出ていなかった。
珍しく柊からメールは来ていない。
まぁ、出会って日にちが浅いのにそう考えるのは早いか。
そんなことを考え、僕は足を早めた。
こんな時に、携帯型音楽プレーヤーがあれば良かったと思う。
ただお金がない、学生にとっては夢だ。
まぁ、バイトとかすればすぐに手に入るだろうけど。
そういえば走っている最中に聴いてる音楽によって走る速度が違うらしい。
歩きの時も速くなるのかな?
けどイヤホンをしているということは耳をふさいでいるのと同じ状態にあるってことだろ。
よくそんな状態で歩くことができるな。
ふといろいろ思考している間に家の近くまで来ていた。
家に到着し、鍵を開ける。
誰も帰って来ていない、家の中にただいまと叫ぶ。
返答はないが日常の習慣だからしょうがない。
両親は共働きな為、午前中から七時頃まで家は留守になっている。
寂しいかと聞かれたら別にと答えると思う。
ただ弟や妹がいたら面白かったんだろうとかは考えるけど。
まぁ、よくわからない幻想を抱くのは無駄だな。
階段を上り、二階にある自分の部屋に入る。
地図は机の上に置いてあった。
鞄をその辺に投げ、机の上にある地図を開く。
ざっと全体に目を通す。
地図上にはカラフルマーカーで街を囲むように五芒星が書かれていた。
結界と思われる場所には赤ペンで丸をつけていた。
結界を構成する点となる場所の名前を見ていく。
先日、黒羽との一件があった御尊神社。
そこから斜めに伸びたマーカーでつけられた線が差した場所は……。
この前、初めて知り柊と再開した場所。
ファリス女子学園にマークされていた。
まぁ、今さら驚いたところで変わりはしい。
僕は地図を小さくたたみ、制服を脱ぐ。
適当に着替えをすませ、地図と財布、鍵と携帯電話をポケットに入れ部屋を出る。
一階におり、玄関へと向かう。
靴をローファーから運動靴に履き替え、玄関をでる。
自宅の鍵を掛け、一回、体全身を伸ばす。
緊張していた筋肉が弛緩するのがわかる。
今はファリス女子学園の近くに行ってどうするか考えたほうがいいな。
青南高校とは別の方向へと足を向け歩く。
ここから約三十分ほどかかる距離だ。
着くのは大体、六時過ぎだろうな。
本当、こんな時に携帯型音楽プレーヤーがあればと思った。
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