タイトルなし
How_to_✕✕✕
第1話 プロローグ
桜が舞い、眠くなりそうな暖かい春、今から約一ヶ月前。出会いと別れ、環境がかいわったりと様々なことが変化する季節。僕の生活、日常にも変化は表れた。
まず悪いことからあげると僕は死んだ。冗談を言っているわけじゃないのだけれど冗談に聞こえてしまうだろう。説明すると平凡中の平凡とまで言えるつまらない僕の人生は平凡なまま、そのままの状態で終演を迎えた。一発の銃弾によって頭を撃ち抜かれ。肉体的な面でも精神的な面でも両方がこの世界から途絶えた。生きていたときのことに後悔はないかと聞かれたら必ず、後悔はあると言えるだろう。多分、数えあげたらキリがないほどに。けれど強烈に一つしてみたいことがあった。
それは彼女、つまりはガールフレンドと呼ばれるものを作ってみたかった。英語を直訳すると女友達だけれど僕がいいたいのは恋人のほうだ。
短い青春と花のない自分の人生に輝きが欲しかったのだ。一人の人を好きになって色々なところへ出かけたり愛の言葉を囁いてみたりとそんな甘い事をしてみたかった。しかし、死んでしまってはただの儚い夢、幻想にしか他ならない。
結局人間的にも弱かった僕は生前、自分のしたかったことを成し遂げられずに一夜にして十五年間、僕として生きた人生は儚く終わった。これが僕に起きた悪い変化。普通ならここで終わるはずだけれど最初に言ったように良い変化もあるからそれも話さなきゃならない。悪いことのあとには良い事が起きるらしいがどうなのかはわからないが、僕がこの世界を認識できなくなった、つまり死んだ後に彼女が出来た。自分のスウィートハートを手に入れる為には一回、死ななきゃならないとは我ながら滑稽だ。しかし、生前かなわなかったことがこうして叶うとはなんとも皮肉。
僕は少しだけ世界の不条理さを憎んだ。
けれど、そんなことは気にしなくなった。恋人ができたことによって自分の中の何かが変わった。それが僕にとって良い変化だった。
それにしても死んだ後に彼女が出来るということはお前は幽霊なのかと聞かれそうだけど別に幽霊ではない。ちゃんと足もついているし柳の下で怨みのある奴を待ったりはしない。それに恋人はちゃんと生きているし僕だって現在進行形でちゃんと生きている。どう説明すれば話がつくのかわからないし、一ヶ月たったのにも関わらず自分でも理解出来ていない。ただ一つ言えることは僕はあの春の夜、好きな人物からの愛の告白とともに不死に、俗に言うとなるとゾンビになった。ゾンビと言ってもちゃんと理性もあれば体は腐っていない。普通の人間となんら変わりない。けれどなかなか死ぬことがなくなったらしい。
不死になったことは良いも悪いも考えないようにしているのだがただ単純に考えるのが面倒だし実感もわかない。一ヶ月前のことを話すには少し時間がいるし、人に話すほどのものでもない。ただ事件やら事象がまるで自然現象のように目の前で起き、僕はそれに雨の日に傘を忘れ濡れるしかない選択と同じように、強制的に、運命的に巻き込まれた。言えるのは多分、それだけだろうけれど。そんなこんなで高校一年生の僕は蘇り二度目の青春が始まることになった。
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