第15話 一日目スパート

「はい! 落とし穴落ちたよ!」


「ファイヤーストーム!」


「乱れ突!」


 攻撃している間にラブルは新たな技を覚えたようでそればっかり使っている。


 剣技あったんだな……。

 最初からちゃんと使えよな。


 西もだいぶモンスターが少なくなってきていた。

 今回は二日間に分けてのイベントだが、夜中もぶっ通しでやる人がいると健康面にも良くなく、それで差が開くのは如何なものかという運営の意向で、一日目はリポップしないのだ。


 二日目の十時にまたリポップするという仕様で今回のイベントは開催されているらしい。


 ちゃんと公式ページのイベントの詳細のページを昼を食べながら見たら書いてあったのだ。

 そこに小さく書いてあったのを見つけたのだが……。


「あぁ。アイツか……デカイな」


 そこに居たのは二階建ての建物くらいの高さはあるであろうサイクロプスがいた。

 モンスターを食べているようだ。


 公式ページに書いてあったのは、セカドタウンの四方にそれぞれボスのような位置付けのモンスターがいると書かれていたのだ。


 周りのプレイヤーも見つけたようで駆けていく。

 足を切りつけている。

 しかし、あまり効果がないようだ。


 魔術師がアイスアローやアースアロー等、アロー系の魔法で攻撃しているが、弾かれたり当たったりしているがやはり効果がない。


 ん?

 サイクロプスの動きで気になったことがある気がする。


 再び他のプレイヤーが攻撃しているのを観察していると、ある事に気づいた。


「もしかしたら……」


 どう攻略するか考える。

 罠の設置が届く範囲を考えながら、今の行動から行動パターンをイメージする。


「ラブル、シエラ今から……」


◇◆◇


 作戦会議を終え出撃する。


「頼んだぞ!」


「任せて!」

「了解です!」


 サイクロプスに三人で近づく。


 他のプレイヤーの後ろで罠を張る。

 幾重にも罠を張り、後ろに下がる。


「ここに罠を仕掛けたからな! 避けてくれよ!」


 周りのプレイヤーに声を掛ける。


「「「「お、おう」」」」


 皆戸惑いながらも避けて下がっていく。

 下がったのを確認してエサのようなものをばら撒く。


 サイクロプスはエサのようなものに食いついた。


 歩いて罠の領域に入る。


ズズゥゥゥンッ


 まずは落とし穴の罠が発動する。


「ウウウウゥゥゥゥ」


 バランスを崩したサイクロプスは手をついた。


バシュバシュ


 ロープの罠が両手を拘束する。

 それにより地面に顔を叩きつけられたサイクロプス。


「ウゥゥ!」


 混乱したようにあちこちに大きな一つ目をキョロキョロさせている。

 いいチャンス。


「そらよっ!」


 ロープを切る。


ビュゥゥゥゥ

 

 ブーマーの姿をした頭骨が高速で目を目指して迫る。

 速さが他のモンスターの非ではない。

 このモンスターの特性であろう。


ズギャンッッッ


 目に直撃した。


「ウォォォォオォォ」


 相当ダメージを与えられたようだ。ゲージが半分になっている。


「やっぱり! 目が弱点だ! 目を狙えぇぇ!」


 それを合図に目への一斉攻撃が始まる。

 段々とHPが減っていく。

 もう少しというところで、サイクロプスが青白く光出した。


「ウオオォォォォ!」


 ロープをブチブチッと切って暴れ回る。


 何人かのプレイヤーが巻き込まれてしまった。

 俺達は遠くから攻撃していたことで助かった。


 しかし、最後の狂乱状態に陥ってしまった。

 なにか打つ手はあるか?

 …………ようは、切れなきゃいいんだろ?


 暴れているサイクロプスには程遠いところに罠を仕掛ける。

 エサのようなものを撒く。


 ……


 ……


 何故来ない!?


 狂乱状態で匂いの判断が出来ないらしい。


「シエラ! 目に向かって魔法を撃ってくれ!」


「そんな事したら、こっちに来ちゃいますよ!?」


 焦ったように言うシエラ。

 だが、おびき寄せたいのだ。


「頼む!」


「わかりましたよ! ファイヤーアロー!」


 バシッと弾かれるが、こちらを向いた。

 ドスドスとこちらに迫ってくる。


 もう少し……後ちょっと……きた。


ズズゥゥゥンッ


 また落とし穴にハマる。


「ウオオオオン」


 また両手をついた。


 きたっ!


バシュバシュッ


 腕を罠に取られる。


「ソアラ? アレじゃさっきと変わんないよ?」


「いや、素材が違う」


 そう。

 今回の罠は鉄線だ。


「ウウウゥ……ウオォォォ」


 ジタバタしてるが、身動き出来ない。


「今だ! 攻撃!」


 周りのプレイヤーは起きている出来事に衝撃を受け、動きが止まっていた。


 声を掛けられて我に戻ったプレイヤーはサイクロプスの目に攻撃を加える。

 そして、もう一発。


「ほらっ! これでも喰らえ!」


 ロープを切る。


グサッ


 毒付きのナイフが目に刺さる。


 えげつないと自分でも思うが、スリップダメージも入るし丁度いいだろう。


 総攻撃をしかけてHPを減らす。

 そして、遂に。


「ウウゥゥ…………ウゥゥゥ」


 光に変わっていった。


「「「「よっしゃーーーー!」」」」


 周りのプレイヤーが喜んでいる。


――――――――――――――――――――

 只今のユニークモンスターの討伐。

 ラストアタックはソアラさんでした!

――――――――――――――――――――


「えっ!?」


――――――――――――――――――――――

 イベント終了後にアイテムが配布されます!

――――――――――――――――――――――


「ラッキー! スリップダメージもラストアタックになるの!? いいこと知った!」


「むーーー。ソアラズルい」


「はははっ。たまたまだからしょうがなおだろ?」


「次は譲ってやるから」


「絶対だからね!?」


 詰め寄ってくるラブル。

 ゲームだからってそんなに顔近づけるなよな。


「近いぞ?」


「あっ! ごめん!」


 パッと離れるラブル。


 そんなに嫌だったか?

 まぁ、俺みたいなオッサンの顔近かったらそうなるか。


 相変わらずの鈍感を発揮している。


 その頃、ランキングがプレイヤーを騒がせていた。

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