第5話 探索者登録をしよう

 街に戻りギルドをマップで確認する。


 わかりやすい大通りに面していた。

 剣が交差しているマークが目印のようだ。


 中に入ると活気がある。

 窓口に魔石を渡してる人、宝箱を開けている人、未知の領域の情報を見ている人。


 こんなにプレイヤーが居るんだ。

 それぞれの防具にそれぞれの武器。

 何も着てない状態なのは俺くらいなもんだ。


 受付窓口に行く。


「いらっしゃいませ! ご要件をお伺い致します!」


「あのー。探索者登録をしたいんですけど……」


「はい! では、登録料の千ゴールドのお支払いとこの紙の記入をお願いしまーす!」


 紙には名前、職業を書く欄があった。


 名前はソアラで、職業……シーフ。

 これなら身体を軽くして素早さを生かそうとしてると思われるだろう。


「はい。ありがとうございます」


 機械に入れるとピンッとカードが発行された。


「はい。ギルドカードになります。最初はFランクから始まります。説明をなさいますか?」


「そうですね。一応お願いします」


「かしこまりました。ランクは一番下がFランク、E、D、C、B、Aと上がっていき、一番上がSランクになります。魔石の収めた量とランク、未知の領域でのお宝の提出によって探索者ランクが上がっていきます。ここまではよろしいですか?」


 ここまでは知ってる事だったな。


「はい。大丈夫です」


「たまに特殊依頼というのがあります。これは、緊急クエストのようなものです。あそこの特殊依頼板にしか張り出されませんが、モンスターの討伐依頼から探し物など色んな依頼があります。普段の魔石の買取なんかより報酬が高いのでお勧めです!」


 おっ。なんかすげぇいい情報聞いた。


「わかりました。ありがとうございます」


「最後に、探索者のチュートリアルを完了したと見なされ、報酬が出ます。革鎧とロングソードと、一万ゴールドです」


 やった!

 こんなの攻略サイトには載ってなかったぞ!

 みんな飛ばしてるんだ。


「ありがとうございます!」


 早速革鎧とロングソードを装備する。


 これは儲けもんだ。

 素直に話聞いてみるもんだな。


「それでは、お気をつけて! 未知の探索が成功しますように!」


「はい! 行ってきます!」


 なんかめっちゃいい気分だ。

 特殊依頼の掲示板を見てみよう。

 んー。

 今は何も無いみたい。


 ちょこちょこ、見ることにしよう。


 掲示板は他にもある。

 クラン貢献度ランキング。

 一位 栄光の騎士団

 二位 フリーターズ

 三位 暁

 

 個人貢献度ランキング。

 一位 オーウェン(栄光の騎士団)

 二位 塁(暁)

 三位 メル(メル魔法師団)


 おぉ。

 なんかランキングとかに乗るなんて凄いんだろうな。


 それより下のランキングもあり、二十位くらいまでは見れるみたいだ。

 今度見てみよう。

 今見ても知ってる人とか居なさそうだしな。


 ギルドには併設して酒場がある。

 一応ゲームだがお酒を飲むことができる。

 気分的に寄っている気分になるんだそうだ。


 チラホラ人が居る。

 カウンターに座り、注文を見る。


 エールに、ワイン、カクテルにソフトドリンクはコーラとかサイダーとかだな。

 飯も食えるんだ。

 いいな。


「すみませーん」


「あいよ。なににします?」


「まず、エールを一つと、あとステーキお願いします」


「いいよ。料金は先にもらうよ」


 機械に手をかざして自動で料金を払う。

 残りの残金が心許ない。

 早く金策を考えないと。


「はい。お待ち」


 エールとステーキが運ばれてきた。


 グイッとエールを飲む。

 炭酸の感じが喉を通っていく。


「くーーーっ! 美味い! これホントにゲームか!?」


 ステーキもナイフで切って口に運ぶ。

 肉汁が口いっぱいに広がって肉の味がする。


「ちゃんと肉の味がするぞ。こりゃホントに凄いことだ。みんな毎日やりたくなるわ」


 お腹もいっぱいになった気がする。


 探索者登録して思わぬ儲けものがあったからな。ラッキーだった。


 ギルドを出て宿に行く。


 今日はここまでだ。

 明日からまた仕事だ。

 憂鬱だが止めておこう。


 ログアウトだ。


◇◆◇


 ヘッドセットを外す。


「んあぁぁ! 身体が固くなってるな」


 身体を動かして解す。


グゥゥーーー


 腹がなった。

 あぁ、さっき食べたけどこっちの身体は腹減ってんだもんだ。


 ちゃんとお腹空いてるもんな。

 不思議だ。


「カップラーメンあったかな?」


 台所の戸棚を開けて確認する。

 あった。


 お湯を沸かす。

 待ってる間携帯で攻略情報を見る。

 初期の状態の時の攻略情報をみて、自分の発見した情報がないことを知る。


「俺の遭遇した情報ないじゃん。もしかして、かなりいい情報なんじゃないか」


 そう思うが、どこにも提供するツテはない。


 ラーメンを啜りながらこれからどうするか考える。


 攻略サイトで金策に関してを見る。

 モンスターの狩りがしやすい場所があるらしい。


 俺はそんなに狩れないからなぁ。

 あとは……やっぱり未知の領域での一獲千金を狙うという情報。


「あれ? 特殊依頼の情報がないな……もしかして、それもレアな情報?」


ズルズルッ


 と啜りながら食べる。


「うん。美味い。ビールビール」


 冷蔵庫を開けてビールを取り出す。


 グビッグビッと一気に飲む。


「ぷはぁーー! 美味い! やっぱりリアルのビールは違ぇわ。あぁー。明日愛琉に会うからゲームの話されるんだろうなぁ。今回のこと少し話してみるかな」


◇◆◇


 次の日の昼休み。


「先輩? ご飯一緒に食べません?」


「あぁ? いいぞ。ちょうど話したいこともあったし」


 ビルの屋上のベンチで並んで座る。


「あの後はどうでした? 罠師って難しいんですよね?」


「あぁ。でも、少しはやれそうな気がしてんだけど、DEXがなぁ。もう少し何とかなったら素材さえあれば罠をいっぱい作れるんだけどな……」


 愛琉は実家の母親の作ってくれた弁当だ。

 俺は、コンビニ弁当。


「手伝えることがあったら手伝いますから、言ってくださいね!」


「あぁ。まぁ、しばらくは金策をしてみるよ。金貯めて罠作るわ」


「私は剣士なので、前衛は任せてください!」


「そんな気はしてた。けど、助けて欲しい時は連絡するよ。そうだ、俺さ探索者ギルドで説明を全部聞いたら報酬で革鎧とロングソードとゴールドを貰ったんだよ。攻略サイト見ても載ってないしさ。新情報かなと思って……」


「えぇ!? なんですかそれ!? そんなの聞いた事ないですよ!」


「だよな。載ってなかったからな」


「それは……検証班に売れそうですねぇ」


「検証班?」


「えぇ。検証をしてる稀有な方々がいるんですよ」


「高値で売れるかな?」


「シエラに聞いてみますよ。検証班の人と知り合いみたいなので」


「頼む」


 こっちも金になりそうな話になってきた。

 徐々に話が動きそうであった。

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