第6話 特殊依頼を受けてみる

 またログインした日。


 ギルドに行って特殊依頼を確認する。

 依頼が一個出ていた。


 やった!

 金策になる!


 特殊依頼

 東の先にある未知の領域を探索して欲しい。

 探索が終わればその先への道が開けそう。


 なんか、先に繋がりそうな話だ。

 これを受けよう。


 カウンターに行く。


「すみません。特殊依頼の今張り出されてるやつ挑戦したいんですけど……」


「はい! 依頼は達成した際に報酬が支払われます。ギルドカード貰えますか?」


「はい」


 ギルドカードを渡すと機械に通してポチポチやっている。


「はい。できました。受注しておきましたけど、他の探索者の方は自分で受注できるみたいですよ?」


「あっ、そうなんですか? 確認してみます」


 メニューを開いて確認するとギルドのタブをタップする。

 すると、依頼を受注する、依頼を発注する、依頼を中止するのボタンがアクティブになっていた。


 なるほど。

 これでできるのか。


 できることを確認するとギルドを後にする。

 町を出て東の未知の領域にアタックだ。


 マップを頼りに草原を抜け、森を抜ける。

 時折モンスターの気配を感じると隠れてやり過ごした。

 俺の隠密レベルが上がっている気がする。


 なんとか昼前には着きそうだ。

 見ると下に続いているであろう細い道とこちら側とあちら側の断崖絶壁にかかるボロボロの橋。


「こんなボロボロの橋絶対途中で落ちるよなぁ」


 足でツンツンするとグラグラと揺れる。


「俺にはこと橋を渡る勇気はない」


 下に下りる道を行く。

 遠いかもしれないけどこっちを行こう。

 人一人分通れるくらいの幅しかない通路。

 横には何もない。

 落ちれば奈落の底だ。


 慎重に壁に手をつきながら降りていく。


「……ォオン」


「ん? 今何か聞こえた気が────」


「オオオォォォォォン」


 少し下から黒い狼のようなモンスターが駆けてくる。


「ここではやめてくれよなぁ」


 一応剣を構える。

 

「グルルルルァァァ」


 飛び掛かってきた。


 なんで!?


 咄嗟に剣でガードするが逃げ腰になってしまい、バランスを崩した。


「えっ!? ちょっ!?」


 段々と壁が遠ざかり身体が斜めになる。


「落ちる――――」


 奈落へ落ちて行く。


◇◆◇


 目を半分開けると仄かに明るい。


「ん? 俺は確か崖から落ちて……」

 

 上を見上げると大きな木が奈落の底で大きく育っている。

 これは、魔素を吸って生きている木とか、そういう設定なのかな?


 木の下に小さな宝箱が佇んでいた。


「おぉ。ラッキーだ。お宝がある」


 念の為宝箱をツンツンとしてロックの所も罠がないか確認する。


「罠はなさそうだな。何が入っているかな?」


 パカッと開けるとシルバーの大きめのリングのようなものが入っている。


「一回インベントリに入れてみよう。収納するっと」


 収納しますか?のメッセージが出たのではいをタップする。


 アイテムの詳細をタップする。


「えっ!? バグ?」


 アイテムの詳細欄にはこう書かれていた。


 ――――――――――――――――――――――――

 このバングルは装備するとDEXを9999にします。

 ――――――――――――――――――――――――


 うそでしょ!?

 呪いの品とか?


 そう言いながらも装備してみる。

 ホントだ。

 DEXが9999になってる。


 やばいもの拾った。

 これは、罠師でも上手くやればいい線行けるぞ。


 そういえば、開拓した領域になったかな?

 マップを見て確認する。

 開拓した領域になっている。


 今までこの宝箱が発見されなかったから未知の領域のままだったんだな。

 周りで登れる所がないか確認する。

 ない。


「ないことないだろう!?」


 不安になりながら周辺の壁を手探りで何かないか探す。


「ん? これは……」


 小さなボタンがあった。

 ポチッとボタンを押すと。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 横の岩がスライドしていき、鉄の扉が出てきた。


 なんだこれ?


 開けてみる真っ暗だ。

 入った瞬間扉が閉まった。

 何か揺れている。


 しばらくすると扉が開いた。

 目の前には草原が広がっている。


「あれ? 戻ってきた」


 マップを確認すると未知の領域だった場所の横に出たようだ。


「こんな近未来的な装置あるんだな」


 不思議に思いながらも町へ戻っていく。


◇◆◇


 街に着くとギルドに真っ先に立ち寄った。


「依頼達成の報告に来ました」


「えぇ!? もう完了したんですか!? 未知の領域の開拓ですよね!?」


「はい。確認お願いします」


 ギルドカードを出す。

 このギルドカードに依頼に関する情報が詰め込まれて居るらしい。


 カードを読み取ると。


「はい! 確かに未知の領域の開拓に成功してますね! 凄いです! あっ! それがもしかしてお宝ですか!?」


 付けていたバングルをみて反応する。

 流石は女の子。

 現地人か? それとも運営?


「良いですねぇ! お似合いですよ?」


「あっ、有難う御座います! 気に入ったので付けてみたんです!」


「良いですねぇ。では、報酬の10万ゴールドになります!」


「えっ!? そんなに?」


「そこが開拓領地になったことで通行が可能になったんですよ! 凄いことなんですよ!?」


「そうですか? なら良かったです」


「はい! また特殊依頼が出たら挑戦してくださいね!」


「はい!」


 こりゃいいな。

 かなり儲かったわ。

 次は野営の道具と、オプション用の武器が欲しいな。


 これは、罠の作成捗るわ。

 楽しくなってきたぁー!

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