第21話 遭遇
装備品を得てからモンスターを狩り、素材を大量にゲットした日から少し経ち。
この日はセカドタウンの探索者ギルドに来ていた。
特殊依頼を見る。
「おっ。なんかある……ん? 未知の領域のモンスターの調査?」
モンスターの調査か……。
なんかヤバい奴なのかな?
ヤバいんだろうな。
未知の領域を開放したら報酬百万ゴールドだし。
モンスターの報告だけでも二十万ゴールドだ。
く
やるでしょ。
メニューから特殊依頼を受注する。
場所はここから東に行ったところにあるみたいだ。ギルドを後にする。
街を出て東に向かう。
荒野地帯だ。
マップを確認すると、少し北側のようだ。
北上して行くと少し霧が出てきた。
段々と霧が濃くなってくる。
マップを確認すると、未知の領域に入ったようだ。
「霧でほぼ見えないな。でも、丁度いいかも」
イヤリングを触り、換装する。
姿と気配を消しながら奥に歩いていく。
荒野地帯には変わりがないようだ。
岩に手を付きながら奥に進んでいく。
ズンッズンッズンッ
大きな何かが歩いている音が近くからする。
立ち止まって壁に張り付く。
見えないが近くを通って行ったようだ。
ズンッ…………ズンッ…………
何が通って行ったかが分からない。
この霧がどうにかなればなぁ。
どっから出てるんだろう?
霧の中を壁伝いに進んでいく。
しばらく進んでいたのだが、ここに来て行き止まりな気がする。
ぐるっと回って戻るような道になっている。
ここが最奥か?
ちょっと戻って壁を触りながら足でもなにかないか探る。
んっ?
なんか突起があるな。
ポチッとな。
ゴォォォォォ
岩場の上部の部分が霧を吸っていく。
段々と霧が薄くなり、全容が見えてくる。
やはり、今いる所は行き止まりだった。
地面にあった宝箱も見つけた。
罠は無い。
とりあえずインベントリに回収。
中身の確認は後にしよう。
先にモンスターの正体をつきとめないと。
どこいった?
岩場が入り組んでいる。
微かに音のする方に向かって歩いていく。
見えてはいないと思うが、警戒はする。
ズンッ……ズンッズンッ
音は目の前の岩場の向こうだ。
一呼吸おいて、岩場の向こうを見る。
大きな身体。
三メートルはあるだろうか。
鋭い牙。
そして大きな翼。
茶色い鱗が太陽を反射している。
手には鋭い爪がある。
二足歩行で歩いている。
………………ゴクッ。
今のがあちらに聞こえてないといいが。
慎重にまた岩場に隠れる。
あれは……ドラゴンだ。
茶色ってことはアースドラゴンだろう。
たしかあまり空を飛ぶことがないとなんかで見た気がする。
どうする?
報告だけするならこのまま戻ればいい。
開拓領域にするにはこのドラゴンも倒さなきゃならない。
ドラゴンはここら辺一帯の岩場をこっち行ったりあっち行ったりしながら、遊んでいる?ようだ。
少し観察してから決めよう。
時間はある。
それから一時間ずっとドラゴンの後ろをついて歩き、行動パターンを把握する。
やはりゲームだからだろうか。
ドラゴンは一定の行動パターンで行動しているようだ。
おそらく戦闘になったら変わるのだろうが。
移動中は同じところをグルグル回っている。
これなら、いけるかも。
ハマればいける。
行き止まりの岩場に誘い込めれば……。
一旦ドラゴンのそばを離れる。
行き止まりの岩場に行き、ドラゴンの動きを想像し、予測を立てる。
罠を一つ、二つと仕掛けていく。
行き止まりの岩場を囲むように。
この岩場に入ったら逃げることが出来ないように。
幾重にも罠を張る。
この前のラストアタックの特典がここで効いてくる。
罠を張るのもMPを消費する。
今までは回復薬をガブ飲みしていたが、それもいらない。
これで失敗したら逃げ帰ってドラゴンがいたと報告をしよう。
それだけでも報酬は貰える。
もう少ししたらこの岩場の前を通る。
俺は岩場の影で待機し、罠の発動させる準備をする。
ズンッ……ズンッ……ズズゥンッ
きた。
モンスターの偉いエサのようなものを撒く。
こちらに顔を寄せる。
しかし岩場に入ってこない。
通り過ぎようとする。
これならどうだ。
インベントリに非常食用に用意していた干し肉を投げる。
頭がこっちを向いた。
クンクン嗅いでいる。
「グルァ」
岩場に入ってきた来た。
よしっ! 奥までいけ!
干し肉を求めて奥まで行き、干し肉にむしゃぶりつく。
「グルァッ」
喜んでいるようだが。
突如足場に穴が空く。
ズズズゥゥゥンンッッ
落とし穴の深さは二メートルくらい。
半分以上は落ちた形になる。
しかも下には鉄くず。
「グルルルルルァァァァァ」
足が痛いのだろう。
暴れながら翼で少し飛び穴から出ようとする。
そこに第二の罠を発動。
ここでもジャンピングロックの罠を発動させる。
岩場の上から大きな岩が降ってくる。
ズンッとのしかかり、再び穴に落とした。
「グルルルァァァアアア」
負傷した足を更にやられて痛がっている。
頭も鱗が剥がれている。
次!
大量に手に入れた魔物の頭骨で作った罠を発動する。
周囲を囲むように設置したのだ。
オオオオォォォォォ
各モンスターの頭がエフェクトで出現し、ドラゴンに牙を剥く。
「グルルァ……アアァ」
体力を少し削れただろうか。
胸の辺りの鱗は前も後ろも剥がれている。
これなら次のがいけるはず。
次も周辺に張った罠だ。
普段は罠はロープを切って発動させるのだが、ここまで多いとメニューでの起動になる様なのだ。
発動した感が薄いが、便利。
行くぞ!
トドメだ!
ドスドスドスドスドスドス……
周囲に張り巡らせた槍の罠を発動させる。
大半の槍が胸の周りに突き刺さる。
「グルァァァ……ァァァ」
やったか!?
「グルルルルルルァァァァァ!」
咆哮すると翼を羽ばたかせる。
身体が少し浮く。
胸にはいくつもの槍が刺さった状態である。
やはり、生命力が半端ではない。
最後の罠を発動する。
最後はパワーゴリラの腕を利用した罠。
ドラゴンの上から頭目掛けてパワーゴリラの拳が振り下ろされる。
ドゴォォオォォ
「グルルァァ……」
落とし穴に頭から落ちていき。
動かなくなった。
光に変わっていく。
「ハッハッハッハッ! やった! アースドラゴンはあんまり空を飛べないからBランクだけどな。してやったり! ハッハッハッ!」
誰もいない荒野に笑い声が木霊した。
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