第20話 ランキング特典

「よしっ。ログインするか」


 帰ってきて早速ログインする。


 ログインするとまずギフトを確認する。

 メニューからギフトを選択する。

 二件来てる。


 なんで二件?

 ……過去を思い出す。

 あっ……ラストアタックの?


 そう。ユニークモンスターのラストアタックの特典アイテムを忘れていたのだ。


 開いてみる。

 中身は装備品と、アクセサリーであった。


――――――――――――――――――――――

 MP強化チョーカー

 MPを+100するチョーカーである。

――――――――――――――――――――――

  ――――――――――――――――――――――

 インビジブルスーツ

 装備すると姿と気配を消す。

 隠密行動に最適。

――――――――――――――――――――――


「おぉ!? これ、どっちもめっちゃいいじゃん! けど、スーツの方は毎回装備変えないと行けないのかぁ。ちょっと面倒いな」


ピルルルルル


 ラブルからのボイスチャットだ。


「おう。アイテム見てたとこだ」


『えぇ!? 一緒に見たかったのにぃ! もう見ちゃったの!?』


「あ、あぁ。見たな」


『ちょっと待って、今行く』


「広場で見よう。シエラも来るだろ?」


『あっ、そうだね! シエラには言っておく!』


プツッ


「ったく。慌ただしいやつだなぁ」


 宿屋を出て広場のベンチに向かう。

 すると、もうベンチにラブルが腰掛けて手招きをしている。


「遅いよぉ」


「シエラはまだだろ?」


「いいじゃん! 見せてよ!」


「一緒に見るんじゃないのかよ……」


「そもそも、ソアラが見ちゃったんでしょ!?」


「うっ。そうだけど」


 手で早くしてと捲し立てるように要求してくる。


 メニューの装備品からインビジブルスーツを選択する。


「これが送られてきた装備品だ」


 それを見てラブルが怪訝そうな顔をする。


「これ、チョーカーの方はめちゃくちゃな性能だし、スーツの方は結構クセあるね? 全身スーツだから上下の装備枠取っちゃうし、毎回装備変えないと普段もこれ来てたらいない人になっちゃうよ?」


「まぁ、そうなんだよな。その毎回変えるのは面倒いなとは思ってるんだけどな」


「換装アクセ付けたらどうですか?」


 急に横から声が割り込んできた。

 驚いてバッと二人で声がした方向を向く。

 そこに立っていたのは、シエラだった。


「ビックリしたじゃん!」


 ラブルが抗議の声を上げる。


「ふふふっ。仲良さそうにしてたものだから声を掛けようかと迷ってたのよ。ごめんなさいね?」


「装備について話してたんだよ。それより、換装アクセって?」


 気になるワードが出てきた。


「それは、重戦士とかの人は持ってる装備が重いんで、普段着る装備と別でセットがインベントにあるんですよ。そんな時に使うのが換装機能の付いたアクセサリーってわけです」


「へぇ。そんなのあるんだ? どこに売ってるかな?」


「アクセショップに売ってるんじゃないですか? 二人で見てきてもいいですよ?」


「ん? 三人で行かないのか?」


 不思議そうに聞くと、呆れたようにシエラがため息をする。


「気を使ったんだけど、ソアラには無駄ね」


 そう言いながらラブルをチラッと見た。


「そうだよ。無駄なんだよ。皆で行こう」


 三人でアクセサリーショップに向かう。

 中に入ると色々ある。


「換装アクセは……っと……」


「これですね」


 シエラが指さしたのを見るとネックレス、バングル、イヤリングから選べるようだ。


「んー。バングルはしてるし、チョーカーも手に入れたしなぁ」


「そうだねぇ。両腕に付けるのでもいいけど、イヤリングがいいんじゃない?」


「んー。似合うかな?」


「うん。これなんか似合うんじゃない? リアルで付けないでしょ? ゲームだからいいんじゃない?」


「確かにな。これにしよう」


 それをシエラが微笑ましそうにこちらを眺めている。

 ラブルに近づいていって何やら話している。


「ラブルよかったね? デートみたいじゃない?」


「う……うん。でもさ、ソアラはそんな事思ってないわけよ……」


「じゃあ、リアルでも誘っちゃえばいいんじゃない?」


「えっ? でも……」


「じゃないと、いつまでも発展しないよ?」


「うん……考えてみる」


「頑張って!」


 会計を終わると装備してみた。

 店の鏡で確認する。


「……うん。違和感しかないけど、取り敢えず付けて過ごしてみよう。慣れると信じて」


 ラブル達がこちらに向かってきた。


「やっぱり似合うよ? いいじゃん」


「そうか? いまいち見慣れないけど、付けてれば見慣れるだろ」


「リアルじゃ付けたことないだろうからいいんじゃないですか? ゲームでそういう楽しみ方しても」


「そうだな。そう思うことにしよう。ありがとうシエラ」


「いえいえ」


 シエラがペコリとお辞儀をすると不満を持つ人が隣にいた。


「私にはありがとうないの?」


「ん? 何で?」


「似合ってるよって言ったよ?」


「あぁ、ありがとう?」


「よろしい!」


 なんだ?

 何がよろしいのかが全くわからん。

 女心ってのは分かんねぇな。


 アクセサリーショップを出る。

 出て街の外に向かう。


「どこに行くの?」


「いやー、試してみたいなと思ってさ。テストを兼ねてモンスターを狩って来ようかと」


「ふーん。私達の前でも一回着てみてよ」


「あぁ。あっ! 換装の装備セットの設定してない……」


 装備セットを革装備のセットとインビジブルスーツをセットしておく。


 そして、換装を作動するにはアクセサリーを触るのだそうで、チョンッと触る。


 自分の服装が変わった。

 上下が真っ黒のツナギのような格好になった。


「全身タイツみたいなのかと思ってたからツナギみたいなのでよかったぁ」


 ラブル達を見ると目を見開いている。


「見えるか?」


 すると、目をキョロキョロさせて狼狽えている。


「どこから声が聞こえてるか分かんないし、見えないよ?」


「ソアラ、動いてます?」


「いや、元いたままの場所にいるぞ?」


「じゃあ、尚更すごいです。声の方向からもいる場所が分かりません」


 イヤリングを触り、換装する。


「やっぱり凄い装備なんだなこれ!」


「うわっ! 急に現れた! ソアラ、それ凄いよ! 良いなぁ」


「あげないぞ?」


「分かってるよぉ」


「じゃあ、ちょっとモンスター狩りに言ってくるわ」


 換装して二人を置いて行く。

 

 この装備はホントに使えそうだ。

 こんなにワクワクするとはな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る