第16話 ランキング
ログアウトして夜ご飯を食べながらUWOの攻略ページを読んでいた時。
ピロンッ
スマホが鳴った。
見てみると、レインがきてた。
レインは登録されているお友達にメッセージを送ることが出来るアプリである。
「んー? なんだ?」
レインは愛琉からだった。
『公式ページで今のランキング見てみて!』
はて。
ランキングの途中経過が上がってんのかな?
公式ページにアクセスする。
イベントのページを開く。
ランキングと書かれたバーナーがある。
そこを、クリックする。
表示されたのは個人ランキングの一位から五十位、クランランキングは一位から十位が表示されている。
一位はいつものトップの人だ。
十位までは見たことあるような名前が並んでいる。
そのまま下の方にスクロールしていく。
二十位……三十位……よんじゅ────
「えっ!?」
もう一度名前をよく確認する。
――――――――――――――――――――――
38位 ソアラ(プリディクター)
――――――――――――――――――――――
「おいおい。マジかよ……」
『おれ38位に載ってたよ……』
ピロンッ
『私も41位に載ってるんだよ』
「おぉ。ホントだ。あれ? シエラは……いた。46位。なんで俺が上なんだ?」
この疑問を解消するべく攻略サイトを見てみる。ランキングに関しての記載があった。
貢献度によるランキングなのだそうだ。
「あぁ。罠も貢献したことにカウントされてるんだな。そしたら、こうなるか……しかし、このランキングに入ってるってことは、頑張れば狙えるってことだろ?」
興奮してきた。
夜飯を食べてからはログインしないで寝ようと思っていたが、罠を作成したくなってきた。
どんな組み合わせで罠を作るか。
思いを巡らせながら、カップ麺を啜る。
食べ終わるとログインした。
◇◆◇
「素材がいっぱいだからなぁ。いい感じに色々作れるだろう」
宿の一室で黙々と罠を作成していると。
ピルルルルル
ボイスチャットが来た。
「どうした?」
通話をタップしてボイスチャットに出る。
『なんか珍しいなと思って……ご飯の後にログインするの』
「あぁ。明日の準備でもしておこうかと思ってな。せっかくランキングにのれたんだから、もう少し頑張ろうかと思ってな」
『そう。それはいい事だと思う。あたし達のために働くのだ!』
「別に二人のために働いてる訳でもないけどな」
『今どこにいるの?』
「ん? 宿屋だけど?」
『罠作るの見てみたいなぁ。そっちいっていい?』
「あぁ。良いけど、面白いもんでもないぞ?」
『いいよ。じゃあ、行くね』
プツッ
少し待つとコンコンッとやってきたのはラブル。
クランの昨日でクランメンバーの居場所がわかるらしい。
もちろん、プライバシーのために居場所を送る信号を切る事もできる。
まぁ、俺は別に見られても困らないし。
そもそも俺の行動を見る人なんて居ないだろうからなぁ。
「おう。こっち来て座るか?」
ベッドの中央に座っていたので少しズレて隣に案内する。
ポンポンッとベッドを少し叩く。
「うん」
トコトコ来てポスッと座る。
ウインドウを見て「ふーん」と言っている。
「こうなってるのかぁ」
「そう。ここでメインになる材料を選択して罠の種類が決まるんだ。で、オプションにこうやって追加の素材をつける」
「ふーん」
ウインドウを覗き込んでくるラブル。
距離が自然と近くなる。
横顔が近いぞ?
そんなに近づいたら身体が当たるって!
「ねぇ、これはなんでアクティブになってるの?」
さらに近づけて来て肩が密着する。
ゲームなのに体温が伝わってくる気がする。
「ん? あっ……あぁ。素材が揃ってるから作成できるっていう意味だな」
「そうなんだ。ねぇ、クランのランキングの方も見た?」
「いや? 個人だけしか見てないけど……」
「そうなの? 見て?」
メニューからランキングを表示してイベントクランランキングを表示する。
「ほら、ここ!」
なんと、十位にプリディクターがランクインしていた。
「おぉ! こっちもランクインしてたのか!」
「頑張れば行けるかもしれない!」
「それなら、明日は大物を狙って行こうか」
「うん! 頑張ろう!」
ランキングとか他のゲームでは気にしたこと無かったけど、なんかこのゲームだと上のランキングにのりたいって自然と思うんだよな。
なんでだろ?
やっぱり知り合いとやってるっていうのが大きいのかもしれないなぁ。
「ねぇ、先輩?」
肩口で急にしおらしく話し始めたラブル。
「んー? どうした?」
「先輩、このゲーム楽しんでる?」
「おう! 最初は正直そこまでやる気はなかったんだけどな、何だかんだでのめりこんじゃってるんだよな。感謝してるよ、ラブル」
「うむ。感謝してるならよろしい」
ベシッとチョップする。
「イタッ!」
「だから、なんで偉そうなんだ!」
「このゲームでは私が先輩だもん!」
頬を膨らませながらこちらを見ている。
ちょっと可愛いと思ってしまった。
ダメだぞ。
こんな年下の後輩。
「確かにそうだな。このゲームでは、ラブルが先輩だ」
「では、先輩と呼んでもいいよ?」
「それは無理」
「むーーー」
再び顔を膨らませるラブル。
「「プッ! ハッハッハッ!」」
二人きりでの楽しいひと時を過ごしたのであった。二人の距離が縮まろうとしていた。
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