第29話 作戦詳細の相談

「俺達はソアラさんの指示に従います!」


「俺らも文句ねぇぜ」


「私達も文句はありません」


 沢山のクランがあったが、出ていくクランは一つのクランを除いていなかった。


「ケッ! なぁんであんな奴の言う事を聞かなきゃなんねぇ!? 俺達はトラオムレーベンと戦えるっつうから来たんだぞ! クソガッ!」


 罵声をあびせて出ていったのは以前、ソアラがコテンパンにした男のクランであった。


「ガイエン、悪いな。あいつには恨まれてるんだ。一つクランが減っちゃったな」


「一つくらいいいんじゃねぇの? さっきの奴態度悪かったし、丁度よく排除できたわ。サンキューソアラ」


 そう言ってくれると、こっちは気が楽だよ。

「ふんっ。なんだったんだアイツ?」と言って鼻で笑っている。

 そういう気遣いができるから大規模クランのトップでいられるんだろうな。


「いや、こちらこそ」


「他に出ていきたい人はいるかぁー!?」


「「「………………」」」


 あのクランにつられるクランがいるかと思ったが、いなかったようだ。

 あのクランの周りにいた人達は態度が悪いのでコイツらとは居たくないと思っていたほどだったのだ。

 出ていってくれて清々したのはガイエンだけではなかったようだ。


「よーっし。じゃあ、作戦会議といこうか! という訳で、ソアラ頼む!」


「えっ!? こっから俺!?」


「あぁ。頼んだ」


 俺を前に出すと自分は下がりやがった。

 欠伸をしながらこっちを見ている。


 くそぉ。

 こっちは緊張してんだぞ。

 呑気に欠伸なんてしやがってぇ。


「あー。では、作戦会議を始めたいと思う。えー、まずは! 遠距離得意なクランと近距離が得意なクラン、バランス型のクランにわかれてもらっていいでしょうか? 右側が遠距離、真ん中がバランス型、左側が近距離で! 別れてくださーい!」


 言われるがままに移動する参加クランの人達。

 少しすると別れ終わった。


 見た感じ遠距離2:バランス型7:近距離1と言ったところだった。

 うん。やっぱりバランス型は多いよな。

 その方がどんな場面にも対応できるからな。


「えー、今回のイベントは大きいモンスターだそうです。なので、基本的な戦術としては転ばせてタコ殴り! これで行きたいと思います!」


 手が挙がる。

 さっき質問してくれた子だった。


「はい。どうぞ! あっ、なるべく名前を覚えたいのでクラン名と名前教えてくれますか?」


「はい! さっきも質問した、マジックイーンのサラです! あの、どうやって転ばせるんですかー!?」


 まぁ、ご最もな疑問だわ。

 俺が罠師だとしてもやり方がわからんよね。

 ちゃんと考えてる子だ。


「俺は、罠師なんだけど、落とし穴と鉄線を使って転ばします!」


 また手が挙がる。


「はい。どうぞ! そちらの方!」


「はい! えーっと、マースルのパワードといいます! 罠師ってそんな大きい罠を作れるんですか!?」


「その質問の返答は、俺ならできるです!」


「おぉ! 凄いですね! 分かりました!」


 素直に話を聞いてくれてありがたい。

 けど、皆で話し合いたいんだよな。

 意見言ってくれる人いるかなぁ。


「なんか、他にも作戦の提案がある人は居ますか!?」


「あー、一応考えてたのがあるんだが?」


 手を挙げてくれた人がいた。

 渋い容姿の鎧を着た男。


「はい! お願いします!」


「あー、ホーリーナイトのアーサーだ。作戦だが、盾職の皆で足止めして、その隙に攻撃するってーのはどうよ? その方が盾職に華があるだろ?」


 アーサーが真っ当な意見を言う。

 それはそうだ。

 基本的に壁役が敵を抑えて、攻撃職が攻撃をする。

 これが基本なのだから。


「それは、真っ当な意見だと思う。それができるくらいの大きさだったらその作戦にしようと思う! ただ、抑えれないくらいの大きさだった場合は罠にかけようと思う! その方が被害が少ないだろう!?」


「たしかに、そうだな。しかし、そんなに大きな罠が作れるというのが不思議だ……まぁ、それは、話せないだろうから、どの位の大きさから罠を使う?」


「気遣い感謝する。そうだなぁ。三メートル位なら足を抑えれるだろうから盾で良いだろうが、それ以上は辛くないか?」


「あー。そうだな。その位を基準にしよう」


「罠を張った位置まで誘い込むのも必要なんだが、それは俺がやる」


「いいのか!? そんな危険な仕事を参謀に任せて!?」


「参謀……気遣いありがたいが、罠師は自分の仕掛けた罠を通過しても発動しないんだ。その後を追ってきたモンスターにのみ発動する」


「なるほどな。ソアラさんが適任って訳か」


「そうだな。罠に関しては俺に任せてくれればいい。他に質問はあるかな?」


 少し静まるが、スッと手を挙げた者がいた。


「はい! どうぞ!」


「はっ! 拙者等は、風魔衆の小太郎というものでござる。拙者等は近接も出来れば、遠距離も出来るのであるが、どのように動けばよろしいか!?」


「忍者か……鉤爪とか使って高い所に登れたりとかって……?」


「できまする! 出来るものは数はいないでござるが。何なりとお申し付けを!」


「じゃあ、三メートル以上の大きいモンスターが出た場合上に乗って攻撃して貰えませんか? それ以外は遠距離からの攻撃をお願いします」


「御意!」


 忍びの如き振る舞いでお願いを了承してくれた。


 なんかホントに色んな人がいるんだなぁ。

 こんな忍者みたいな色もあったんだ。

 俺、ちゃんと見ないでランダム選んじゃったからなぁ。

 ちゃんと見ておけばよかった。


「他に意見とか質問とかある方いますかー?」


「「「…………」」」


 しばらく待ってみるが居ないようだ。


「では、そんな感じでお願いしまーす!」


「おい! なんか締まりがねぇな!」


「そう? まぁ、いいんじゃない?」


 ガイエンが前に出る。

 両手を広げる。


「それじゃあ! 明日! 協力イベント! みんな頼むぜぇ!」


「「「「おうっ!」」」」


 いよいよ、協力イベントが始まる。

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