第33話 天敵

「次のモンスターが出てくるぞぉー!」


 現れたモンスターは!?


 なんか少し小さいか?

 サイズ感覚がおかしくなってるわ。

 いや、大きいか?


 遠目からはヒラヒラしているように見える。

 宙を舞ってこっちに来ているような……。


「なんだ!? あのデカい蝶は!?」


 あれ、蝶なのか!?

 なんかキラキラしたものを振り撒きながらこっちに来てねぇか!?


「ゴルォォォ!」


「ちょっ! 待って!」


 そう言っても待ってくれる訳もなく。

 恐竜モンスターは穴から足を引っこ抜いてこちらに向かってくる。


 二体相手すんのは無理だって!

 どうすんだこれ!?


「ソアラ! どうする!?」


 ガイエンが指示を委ねてくる。


 えぇ!?

 俺かよ!?

 ………………だぁぁぁ!

 考えれねぇ!


「とりあえず、デカいのはもう少しで倒せるはずだ! 総攻撃しよう! 蝶は放っておくぞ!」


 ガイエンが頷いて指示を出す。


「蝶は一旦置いておいて! デカいのを先に潰す! いいなぁ!?」


「「「おおぉぉぉ!」」」


「かかれーーー!」


ズドドドドドォオォォォンッッ


 魔法が炸裂する。

 下にいる物理攻撃陣も足をきりつけなんとかダメージを食らわせる。


 すると、蝶はヒラヒラと上空を飛んでいる。

 キラキラしたものが攻撃陣に降り掛かっていく。


 あれなんだ?


ズドドドドドドドォォォォォォンッッ


 再び魔法が炸裂し、恐竜はようやく頭から光に変わっていった。


「よっしゃーー!」


「たおし─────」


ドサドサドサドサ……


 先程まで攻撃していた攻撃陣のプレイヤーが軒並み倒れ始めた。


「何が起きてるんだ!?」


 ラブルも倒れたようだ。

 マップでクランメンバーを表示するが動いていない。

 小太郎が駆け寄ってきた。


「ソアラ殿! 麻痺毒の類のようでござる! 拙者は口を隠してるから吸わずにすんだのでござるが……あの粉を吸ったものは皆麻痺でござる」


 毒かよ!

 俺の解毒薬はクランメンバー分しか持ってない。


「俺は解毒薬はあるが数がない……そうだ、あの蝶を攻撃出来る手段がある者を優先的に解毒しよう! まず、解毒薬がどれだけあるか聞いて集めてくれないか!?」


「御意!」


 遠距離攻撃陣に向かっていった。

 今動ける人はそっちにしか居ないだろう。


 俺は魔法も使えない。

 罠が張れないと何も出来ない。

 アイツ……降りて来ないじゃん!

 どうする!?


 魔法が飛び交っているが、ヒラリヒラリと避けられて当らない。

 このままでは時間だけ過ぎてしまう。


「一斉に攻撃して、面で当てないと!」


 ガイエンが遠距離魔法の人達に指示をしに行っている。

 ありがとうガイエン。

 なんか……使いっ走りみたいにしてごめん。


 あっ!

 伝令だね!

 うん。そうだ。


 リーダーがする事では……ないな。

 うん。やっぱりごめん。


ドドドドドドドドォォォォォン


 しっかりと面での攻撃をしていた。

 蝶が吹き飛んだ。


「よしっ!」


 思わずガッツポーズしてしまった。

 俺もなんかしないと……。


 あっ!

 なんかこの前雑貨屋さんであったやつ。

 こんなのあるだって思ったんだよな。


 メニューから罠作成画面に遷移する。

 新しい種類の罠を探す。


 あっ!

 アクティブになってる!

 これを使えば……。


 使ったのは昔ながらのパチンコ。

 ワイ字にゴムが張ってあるやつ。

 それと他の武器を組み合わせる。


 これは、いつも使うような地面に向けて使う罠ではない。

 自分で角度調整ができる罠であった。

 つまり、上にも向けれる。


 ポインターを当てて自分の周りに遠距離性の罠を設置する。

 ほぼ、対空砲に近い。

 これを罠というかは……疑問だ。

 疑問だが、使えるものは使う。


 角度調整のゲージが出てくる。

 飛行系のゲームにありそうな向きと角度の調整のものだ。


 一個一個の角度を調整する。

 蝶の飛び方からどう来るかを予測する。

 方向転換するときに旋回する法則があるようだ。

 それを考えれば。


 視界に蝶がヒラヒラとやってくる。

 設置したパチンコと武器とロープの罠。

 ロープを切ることで発動する。


 旋回を始めた。

 動きを観察し……ここだ!


バシュッ


ズドンッ


 蝶の羽に槍が着弾する。

 少しよろめく。

 が、旋回をしようとして。


バシュッ   ズドンッ


 再びロングソードが着弾する。

 これを蝶は繰り返すこと十回を超えた。

 全て命中している。


 羽に穴があき、墜落してきた。

 だが、なんとか羽ばたこうともがいている。

 が、それを見逃す俺達ではなかった。


「今だ! 撃てーーー!」


ズドドドドドドォォォォンッッ


 これは、新しい罠がなかったら危なかった。

 天敵だったが、俺は克服した。

 何処にでも罠で攻撃できるぞ!


 気持ちが高ぶっている。

 テンションが上がってきた。

 蝶はボロボロになり、墜落。


 小太郎が駆けつけてきた。

 解毒薬を持って。


「もしかして、拙者無駄骨でござったか?」


「いや、次のモンスターが何が出るかで物理攻撃組も必要だ。待機しててくれるか? 今、小太郎に脱落されたらかなり不利になる」


「御意に! そこで控えているでござる!」


「あぁ、そうしてくれ!」


 攻撃陣は最後の追い込み。

 魔法での徹底攻撃をしていた。

 麻痺になってしまったものはそのままである。


 そうこうしているうちに蝶は光に変わった。


 あと五分で最後のモンスターが来る。


「みんなー! HPとMPの回復薬飲んでね! あと、麻痺になってる人を一箇所に集めて!」


 俺が声をかけると皆ハッとして動き出した。

 そう。

 最後のレンドモンスターがくる。


ゴクリッ


 緊張が走る。

 次はなんだ?

 百獣の王か?


 現れたのは白い一つ目の人型のモンスター。

 しっぽも生えている。

 しかし、最初二足歩行だったが、四つん這いになっている。


 そう思った瞬間。


ドォォォォォンッッ


 近くで爆発音が。

 そちらを見るとそのモンスターがいる。


 はぁっ!?

 あんな遠くにいたのにもうここまで来たのかよ!?

 数名のプレイヤーが、今の突撃でやられている。


 おいおい。

 やべーぞコイツ。

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