第37話 今後の話
「で? どうするの?」
昼休みにいつも通り屋上で昼飯を食べていた。
聞いてきたのは愛琉である。
昨日の夜のMVPの発表の後、一緒にイベントを戦ったプレイヤー達と話した時のこと。
◇◆◇
「拙者、ソアラ殿のおかげで役に立つことが出来たでござる!」
「あっ、小太郎さん! 作戦通りに有難うございました! 助かりましたよ」
「そうでござるか!? それなら良かったでござる! あまり役に立たなかったので、反省していたところでござる」
声を掛けてくれたのは一緒に作戦に参加してくれた風魔衆の小太郎さんであった。
巨大なモンスターが出た時に対応してくれるようにお願いしていたが、あんなに上手く動いてくれるとは、いい意味で予想外だった。
「そんな反省する事ないですよ。あんなに上手く動いてくれるなんて予想を超えましたよ!」
「そうでござるか!? 嬉しいでござる!」
「はい! また一緒に戦いましょう!」
「もちろん、機会があったらお願いしたいでござる!」
小太郎さんとまた一緒に戦うことを誓い別れる。
皆、気を使ってくれているのだろうか。
次々と挨拶をしてきてくれた。
「よぉ! ソアラ凄かったな! 罠であんなに戦えるなんて思わなかったぞ!?」
マースルのパワードが声をかけてきてくれた。
肩をバシバシと叩きながら俺の事を称えてくれている。
痛い痛い。
力が強いからステータスの低い俺には地味に効くんだよな。
「有難う。何とか作戦通りに行けてよかったよ」
「あぁ。一時はどうなるかと思ったけどな。なんたって、俺達が抑えれない大きさの奴が現れたからなぁ」
「あぁ、けど、作戦通りにできただろ?」
「だな。流石は先見と言われるだけあるわ。じゃあ、またなんかあったら一緒に戦おう」
ゴツイ顔をクシャッとさせて笑いかけるパワード。
俺も思わずつられてクシャッと笑いかけ、拳を突き出す。
パワードがコツン拳を当てると去っていく。
「人気者だな?」
酒を持ち、やってきたのはガイエンだ。
ほろ酔いになっているのだろう。
少し顔を赤らめながら隣に座った。
「みんな気を使ってくれてるんだろうな。じゃなきゃ、罠師なんか眼中に無いだろう」
不貞腐れたようにそう言い放つと酒を一気に煽る。そして、また酒を注文した。
「そう思うか? 俺はそうはおもわねぇよ? みんなお前について行って、結果が伴った。ソアラのことは皆が評価してるさ」
慰めるでもなく、淡々と事実を語るように話すガイエン。
酒を飲みながらこちらの様子を伺っている。
「んー。そっか。別にMVPが取れなかったからっていじけてる訳じゃないからな?」
口を尖らせて抗議する。
「違かったのか? 俺はてっきりいじけてんのかと思ったぜ!?」
「皆にもそう思われたのか? 恥ずかしいな。そんなんじゃないんだけど。俺は自分が陰ながら支えてた感じていたんだよ。だから、そこまで評価される程でもないと……そう思っててだな」
「あぁ。そういう事か! ハッハッハッ! あんだけ自分で作戦立てて、皆にも実戦で指示しながら前線で戦ったのに、評価されるまでもないとか……ハッハッハッ!」
大口をあけて笑うガイエン。
腹を抱えて苦しそうにしながら笑う。
目から少し涙を流しながら。
「あぁー。面白ぇ。ソアラは自分の事を過小評価し過ぎだっての! もう皆に注目されてんだよ! 自覚しろよな!」
「そうなのか? 罠師なのに?」
怪訝な顔で聞き返す。
こんなにステータス低くて何にもできない職業のやつを皆は、そんなに認めてくれる物なのだろうか?
むしろ、それでチートだ何だと言われるのはかなり面倒だ。
「罠師だとかそんなのは関係ねぇよ! 敵を仕留める実力があるかどうか。その力があれば職業なんて関係ないのさ! 他の罠師が弱くても、ソアラは強い! それでいいんだって!」
「んー。そうか?」
「あぁ、そうだ! それでな、これは今後の話なんだけどよ……やっぱり、俺達のクランに入って前線で戦わないか? そうすれば、こっちも開示出来る情報っつうのもあるんだよ。ソアラも、隠してることがあるだろうけどよ?」
そう言うって事は、ガイエンも何かしら隠していることがあるということだろう。
俺は、もちろん、バングルの話はラブルとシエラにしか話していない。
もしかしたら、シエラはガイエンの秘密についても知っているかもしれないな。
しかし、プリディクターはせっかく三人で作ったクランだ。
やはり、無くすのは嫌な気がするな。
ガイエンの秘密は気になるが、別に知らなくても今まで通りやって行ける。
げとな、ラブルと、シエラにも聞いてからどうしたいか三人で決めよう。
三人のクランなんだから。
「トップクランからの誘いは有難いよ。けど、ラブルとシエラと作ったプリディクターもある。それを俺だけの意向で無くすのはなんか違うと思うんだ。話し合ってどうするか決めるよ。少し時間を貰えないか?」
「あぁ。いいぜ? 来週になったらまた前線に戻る気でいるんだ。来週までに返事をくれればいい」
「わかった。悪いな」
そう言うと別れた。
◇◆◇
「愛琉と志恵と、三人で話して決めようと思うんだ。来週まで返事は待ってもらってる」
「私は、先輩について行くよ? 志恵も同じだよ? 昨日、その事で連絡取ったから間違いないよ」
志恵はあっちのクランの事情もわかっているとみるべきだろう。
俺はせっかく作ったクランを無くすつもりは無い。
「おれは……」
俺の出した答えは……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます